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【躁鬱】気分の切り替わりはなぜ起こる?きっかけと周期、対処法

双極性障害(躁鬱病)は、気分が高揚する「躁状態」と気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。
これらの気分の波は、まるでジェットコースターのように、ご本人だけでなく周囲の人々も振り回してしまうことがあります。
特に、躁状態とうつ状態が切り替わるタイミングは、予測が難しく、ご本人にとって辛い時期となることが多いです。

この記事では、双極性障害における気分の「切り替わり」に焦点を当て、その周期や期間、そして切り替わりを招く可能性のある具体的な「きっかけ」について詳しく解説します。
病気への理解を深め、切り替わりへの適切な対処法や、専門家へ相談することの重要性についても触れていきます。

目次

躁鬱(双極性障害)とは?気分の波と病相の基本

双極性障害は、以前は「躁鬱病」と呼ばれていた精神疾患です。
特徴は、一般的な気分の変動の域を超えた、極端な気分の高まり(躁状態または軽躁状態)と落ち込み(うつ状態)を繰り返すことです。

【主な病相】

  • 躁状態:
    気分が異常に高揚し、開放的になる、または異常に怒りっぽく、イライラする。
    活動量が著しく増加し、睡眠時間が短くても平気になる。
    多弁になり、次々とアイデアが浮かぶ(観念奔逸)。
    自尊心や万能感が異常に高まる。
    後先考えずにお金を使いすぎたり、無謀な行動(ギャンブル、性的逸脱行為など)に走ったりする。
    注意散漫になる。
    これらの症状が1週間以上続き、社会生活や人間関係に著しい支障をきたす状態です。
  • 軽躁状態:
    躁状態と同様の気分の高まりや活動性の増加が見られますが、躁状態ほど極端ではなく、社会生活への支障も比較的軽度です。
    気分が良くなり、仕事がはかどるなど、一見ポジティブに見えることもありますが、判断力が低下したり、周囲との摩擦を生じたりすることもあります。
    診断基準では4日間以上持続するとされています。軽躁状態の後にはしばしば、より重いうつ状態が訪れます。
  • うつ状態:
    気分がひどく落ち込み、何をしても楽しめなくなる(興味・関心の喪失)。
    強い倦怠感や疲労感があり、活動量が著しく低下する。
    食欲や睡眠に変化が現れる(増えることも減ることもある)。
    自分を責める気持ち(罪悪感)、無価値感が強くなる。
    思考力や集中力が低下する。
    死について考えたり、自殺を計画したりすることもある。
    これらの症状が2週間以上続き、社会生活や人間関係に著しい支障をきたす状態です。

双極性障害は、躁状態の程度によって双極I型障害と双極II型障害に分けられます。
双極I型障害は典型的な躁状態とうつ状態を繰り返すタイプ、双極II型障害は軽躁状態とうつ状態を繰り返すタイプです。
病気への理解を深めることが、適切な治療と付き合い方の第一歩となります。

躁鬱の「切り替わり」とは?周期と期間の種類

双極性障害における「切り替わり」とは、躁状態(または軽躁状態)からうつ状態へ、あるいはうつ状態から躁状態(または軽躁状態)へと病相が変化することを指します。
この切り替わりのタイミングや周期は、人によって、あるいは同じ人でも時期によって大きく異なります。

切り替わりの周期や期間、そして特別なパターンについて理解することは、病気との付き合い方を考える上で非常に重要です。

病相が切り替わる「周期」はどのくらい?

双極性障害の病相の周期は、個人差が非常に大きいです。
ある人は数ヶ月ごとに躁状態とうつ状態を繰り返すかもしれませんし、別の人は数年おきに大きな波を経験するかもしれません。

  • 一般的な病相期間: 一回のうつ状態や躁状態が続く期間は、治療を受けない場合、うつ状態の方が長く、数ヶ月から1年程度続くことが多いと言われています。
    躁状態はうつ状態に比べて短く、数週間から数ヶ月で治まることが多いですが、その間の言動が大きな問題を引き起こすことがあります。
  • 波の大きさ: 気分の波の大きさ(重症度)も人それぞれです。ごく軽い軽躁状態とうつ状態を繰り返す人もいれば、重篤な躁状態と重いうつ状態を繰り返す人もいます。
  • 寛解期: 躁状態でもうつ状態でもない、比較的安定した時期(寛解期)がどのくらい続くかも人によって異なります。この寛解期をいかに長く保つかが、治療の大きな目標となります。

病相の周期や期間は、年齢、病歴、治療状況、ストレスなどの様々な要因によって影響を受けます。
自身の病気のパターンを把握するためには、日々の気分の状態を記録することが有効です。

1日のうちに切り替わる「日内変動」

厳密には「病相の切り替わり」とは少し異なりますが、双極性障害の特にうつ状態にある人に見られる特徴として、「日内変動」があります。
これは、1日の中でも気分の状態が変動することで、特に朝方に気分が最も落ち込み、午後から夕方にかけて少し改善するというパターンが多いです。

例えば、午前中は起き上がるのも辛く、何も手につかないような状態でも、夕方になると少しだけ動けるようになる、といったケースが見られます。
この日内変動は、うつ病の典型的な症状の一つですが、双極性障害のうつ状態でも経験することがあります。

日内変動がある場合、その日の体調や活動計画を立てる上で考慮が必要になります。
ただし、双極性障害の診断においては、この日内変動そのものが躁転やうつ転といった病相の切り替わりを直接的に示すものではありません。

1年間に何度も繰り返す「急速交代型(ラピッドサイクラー)」

双極性障害の病状パターンの一つに、「急速交代型(Rapid Cycling)」があります。
これは、1年の間に4回以上の躁病エピソード、軽躁病エピソード、または大うつ病エピソードを経験する病型です。
病相の間に寛解期がある場合も、病相から病相へと直接移行する場合もあります。

  • 特徴: 病相の切り替わりが非常に頻繁で、気分が短期間で大きく変動します。
    躁状態とうつ状態が混じり合う混合状態を呈しやすいこともあります。
  • 治療の難しさ: 急速交代型は、一般的な双極性障害と比較して治療が難しい傾向があります。
    気分安定薬の効果が出にくかったり、抗うつ薬の使用が病相の切り替わりをさらに早めたりすることがあるため、慎重な治療計画が必要です。
  • 性差: 女性に多く見られるとされています。
    甲状腺機能の異常との関連も指摘されることがあります。

急速交代型の患者さんは、気分の変動が激しいため、日常生活への影響が非常に大きくなります。
適切な診断と専門的な治療が不可欠です。

病相の切り替わりのパターンを理解することは、自身の病状を把握し、適切な治療法や対処法を見つける上で役立ちます。
自身の気分の波に疑問を感じたら、専門家に相談することが重要です。

躁鬱の切り替わりを招く主な「きっかけ」

双極性障害の気分の切り替わりは、何の前触れもなく起こることもありますが、多くの場合、特定の「きっかけ」や誘因が存在すると考えられています。
これらのきっかけは、必ずしも病相を引き起こす唯一の原因ではありませんが、病気になりやすい体質(脆弱性)を持つ人にとって、気分の波を誘発する引き金となり得ます。

ここでは、躁状態やうつ状態への切り替わりを招きやすい主なきっかけについて説明します。

ストレスや人間関係の変化

精神的なストレスは、双極性障害の病相を誘発する主要な要因の一つです。
特に、以下のような状況は注意が必要です。

  • 大きなライフイベント: 就職、転職、結婚、離婚、引越し、進学、親しい人との死別など、人生における大きな変化はストレス源となります。
    ポジティブな出来事(昇進、結婚など)であっても、適応にはエネルギーが必要であり、気分の波を引き起こすことがあります。
  • 日常的なストレス: 仕事でのプレッシャー、経済的な問題、家庭内のトラブル、育児の負担など、慢性的なストレスも病相のきっかけとなります。
  • 人間関係のトラブル: 対人関係での衝突、孤立、大切な人との別れなどは、うつ状態の強力な誘因となります。
    一方で、過剰な人間関係や刺激も躁状態につながることがあります。

ストレスを感じると、脳内で様々な神経伝達物質やホルモン(コルチゾールなど)のバランスが変化し、これが気分の調整機能に影響を与えると考えられています。

生活リズムの乱れ(睡眠不足など)

規則正しい生活、特に十分な睡眠は、双極性障害の気分の安定に不可欠です。
生活リズムの大きな乱れは、病相の切り替わりを招く非常に有力なきっかけとなります。

  • 睡眠不足: 徹夜、夜更かし、不規則な睡眠時間、睡眠障害などは、特に躁状態(軽躁状態)を誘発しやすいことが知られています。
    睡眠不足によって脳が過活動になり、気分が高揚したり、思考が活発になったりすることがあります。
  • 過眠: 一方で、過剰な睡眠はうつ状態の症状である場合が多く、活動量の低下につながります。
  • 食事時間や活動時間の不規則: 決まった時間に食事をとらない、日中の活動量が極端に少ない・多いなども、体内時計を乱し、気分の波に影響を与える可能性があります。
  • 時差のある移動: 海外旅行などで大きな時差を経験することも、体内時計を狂わせ、病相の切り替わりを引き起こすことがあります。

人間の体内時計は、光や食事、活動などによって調整されています。
このリズムが乱れると、気分の安定を保つ機能がうまく働かなくなるのです。

薬の影響(抗うつ薬の使用など)

特定の薬剤の使用が、双極性障害の病相の切り替わりを招くことがあります。

  • 抗うつ薬: 双極性障害のうつ状態に対して抗うつ薬を使用すると、うつ状態は改善されるものの、気分が急激に高揚し、躁状態(躁転)を引き起こすリスクがあることが知られています。
    特に、双極II型障害と診断されずに単極性うつ病として治療を受けている場合、抗うつ薬のみの治療によって躁転しやすい傾向があります。
    双極性障害の治療では、気分安定薬などが主に用いられ、抗うつ薬の使用は慎重に行われます。
  • ステロイド薬: 副腎皮質ステロイド薬を長期間使用していると、気分の高揚や不眠、活動性の増加など、躁状態に似た症状が出現することがあります。
  • 甲状腺ホルモン薬: 甲状腺機能亢進症の治療薬が、気分に影響を与える可能性が指摘されています。
  • 市販薬やサプリメント: 一部の市販薬やサプリメントに含まれる成分(例:カフェイン、エフェドリンなど)が、気分の高まりや不眠を誘発することがあります。

服薬中の薬については、必ず医師や薬剤師に相談し、自己判断で種類や量を変更しないことが重要です。

環境や季節の変化

環境の変化や特定の季節も、病相の切り替わりのきっかけとなることがあります。

  • 環境の変化: 転居、職場や学校の異動、長期の旅行など、生活環境が大きく変わることは、ストレスや生活リズムの変化を伴い、病相を誘発する可能性があります。
  • 季節の変化: 季節性うつ病のように、特定の季節に気分の変動が見られる人もいます。
    双極性障害でも、冬にうつ状態、夏に躁状態(軽躁状態)が出やすいというパターンが見られることがあります。
    日照時間の変化や気温の変化などが、生体リズムに影響を与えていると考えられています。

過度な刺激や活動

ポジティブな出来事や活動であっても、度を超えると病相のきっかけになることがあります。

  • 過剰な活動: 仕事や趣味に没頭しすぎる、遊び歩く、旅行に行きすぎるなど、心身に過剰な負荷をかける活動は、特に躁状態を誘発しやすいです。
  • 過度な刺激: 大勢でのパーティー、騒がしい場所、刺激的なイベントへの参加、過剰な情報(インターネット、SNSなど)なども、脳を興奮させ、気分の高まりにつながることがあります。
  • アルコールやカフェイン: アルコールは一時的に気分を高揚させますが、その後気分の落ち込みを招くことがあります。
    また、睡眠を妨げるため、生活リズムの乱れにつながります。
    カフェインも覚醒作用があり、過剰摂取は不眠や不安を引き起こし、気分の波に影響を与える可能性があります。
  • 薬物乱用: 覚せい剤や大麻などの違法薬物は、脳機能に深刻な影響を与え、病相を悪化させたり、精神病症状を引き起こしたりする非常に危険なきっかけです。

これらのきっかけをすべて避けることは現実的ではありませんが、ご自身の気分の波に影響を与えやすい要因を把握し、可能な範囲でコントロールしたり、事前に備えたりすることが、病状の安定につながります。

切り替わりへの対処法と安定した状態を保つために

双極性障害の気分の切り替わりを完全に防ぐことは難しい場合もありますが、適切な対処法を実践することで、波の大きさを小さくしたり、周期を長くしたり、あるいは切り替わった後の病相の期間を短くしたりすることが期待できます。
病状を安定させ、日常生活への影響を最小限に抑えるためには、以下の点が重要です。

規則正しい生活と睡眠

最も基本的でありながら、最も重要な対処法の一つが、規則正しい生活リズムを保つことです。
特に睡眠時間は、気分の安定に直結します。

  • 毎日の決まった時間に起床・就寝: 休日も含めて、可能な限り毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように心がけましょう。
  • 十分な睡眠時間の確保: 一般的に7〜8時間程度の睡眠が必要とされていますが、ご自身にとって適切な睡眠時間を見つけ、確保することが重要です。
  • 寝室環境の整備: 快適な温度・湿度、暗さ、静かさを保ち、寝る直前のスマホやパソコンの使用を控えるなど、睡眠衛生に気を配りましょう。
  • 昼寝は短時間に: 長時間の昼寝は夜間の睡眠を妨げることがあります。昼寝をする場合は、20〜30分程度の短い時間にとどめましょう。
  • 体内時計の調整: 朝起きたら太陽の光を浴びる、日中に適度な運動をするなども体内時計の調整に役立ちます。

生活リズムの乱れは、躁状態の強力な誘因となるため、日頃から意識して整えることが大切です。

ストレス管理

ストレスは気分の波の大きな引き金となります。
ストレスをゼロにすることは不可能ですが、適切に管理し、ストレスに対処するスキルを身につけることが重要です。

  • ストレス源の特定: どのような状況や出来事がストレスになっているのかを把握しましょう。
    気分記録をつける際に、その日あった出来事やストレスレベルを書き加えてみるのも有効です。
  • ストレス解消法の発見と実践: ご自身に合ったリラクゼーション法(深呼吸、瞑想、ヨガ、アロマテラピーなど)を見つけ、日常的に実践しましょう。
    趣味に時間を使う、軽い運動をする、親しい人と話すなども有効です。
  • 問題解決スキル: ストレスの原因となっている問題に対して、具体的な解決策を考える練習をしましょう。
    すべてを一人で抱え込まず、誰かに相談することも重要です。
  • 休息の確保: 疲れている時は無理せず休息を取りましょう。
    自分を労わる時間を意識的に作ることが大切です。

服薬アドヒアランスの維持

双極性障害の治療は、気分安定薬を中心とした薬物療法が非常に重要です。
医師から処方された薬を指示通りに服用し続けることが、病状を安定させ、再発や切り替わりを防ぐ上で最も効果的な方法の一つです。

  • 自己判断での服薬中止・減量・増量はしない: 気分が安定している時や、副作用が気になる時でも、必ず医師に相談してから、服薬量や種類の変更を検討しましょう。
    自己判断で薬を止めたり減らしたりすると、病状が悪化したり、リバウンドのように強い病相が出現したりするリスクが高まります。
  • 飲み忘れを防ぐ工夫: 服用時間を決める、お薬カレンダーを使う、スマートフォンのリマインダー機能を活用するなど、飲み忘れを防ぐ工夫をしましょう。
  • 副作用について医師に相談: 副作用が辛い場合は我慢せず、医師に相談しましょう。
    薬の種類や量を調整することで、副作用が軽減される場合があります。
  • 薬の役割を理解する: 服薬が単に症状を抑えるだけでなく、病相の切り替わりを防ぎ、脳を保護する役割もあることを理解することが、服薬を続けるモチベーションにつながります。

気分を安定させるためのセルフケア

ご自身の病状や気分の波のパターンを理解し、日々の生活の中で実践できるセルフケアも、病状の安定に役立ちます。

  • 気分記録(ライフチャート): 毎日の気分、睡眠時間、活動量、服薬状況、ストレスになった出来事などを記録することで、ご自身の気分の波のパターンや、切り替わりのきっかけとなる要因を客観的に把握することができます。
  • 早期兆候の把握: ご自身の場合、病相が切り替わる前にどのような変化(早期兆候)が現れるのかを理解しておくことが非常に重要です。

【早期兆候の例】

項目 躁状態への早期兆候の例 うつ状態への早期兆候の例
睡眠 睡眠時間が極端に短くなる、眠らなくても平気になる 過剰に眠る、寝つきが悪くなる、夜中に何度も目が覚める
気分 異常に気分が高揚する、イライラする、落ち着きがなくなる 気分がひどく落ち込む、何も楽しめなくなる、悲しくなる
活動量 活動的になる、じっとしていられない、衝動的になる 活動量が低下する、体がだるく重い、何もする気にならない
思考 次々とアイデアが浮かぶ、考えがまとまらない、多弁になる 考えがまとまらない、集中できない、自分を責める
言動 早口になる、大きな買い物をする、無謀な計画を立てる 口数が少なくなる、引きこもりがちになる、身だしなみに無関心になる
対人関係 人に干渉する、攻撃的になる、詮索する 人との関わりを避ける、連絡を取らなくなる
身体症状 体が軽い、疲れを感じない 体が重い、頭痛、肩こり、食欲不振または過食

これらの早期兆候に気づいたら、病相が本格化する前に休息をとる、医師に相談する、ストレスを減らすなどの対策をとることで、病相を軽く済ませたり、回避したりできる可能性があります。
早期兆候のリストを作成し、ご家族や信頼できる人と共有しておくことも有効です。

  • 休息と気分転換: 疲労を感じる前に意識的に休息を取り、気分転換を図ることも大切です。
  • サポートシステムの活用: 家族、友人、自助グループ、ピアサポーターなど、信頼できる人に話を聞いてもらったり、支えになってもらったりすることも、精神的な安定につながります。

これらの対処法を日常的に実践することで、病状の安定を目指し、より良い生活を送ることが可能になります。

専門家への相談が重要な理由

双極性障害は、専門的な診断と治療が不可欠な病気です。
ご自身やご家族だけで対応しようとすると、病状が悪化したり、適切な対処ができなかったりするリスクがあります。
気分の波に悩んでいる場合、あるいは双極性障害の診断を受けている場合は、迷わず専門家へ相談することが非常に重要です。

診断と適切な治療

専門家(精神科医など)に相談することで、以下のようなメリットがあります。

  • 正確な診断: 気分の波が双極性障害によるものなのか、それとも他の精神疾患(うつ病、パーソナリティ障害、ADHDなど)によるものなのかを正確に診断してもらえます。
    自己判断や誤った診断は、不適切な治療につながり、かえって病状を悪化させる可能性があります。
    双極性障害の診断には、慎重な問診や病歴の確認が必要です。
  • 適切な治療計画の立案: 診断に基づき、ご本人の病状やライフスタイルに合わせた最適な治療計画を立ててもらえます。
    • 薬物療法: 気分安定薬が治療の中心となりますが、病状に応じて非定型抗精神病薬、抗うつ薬(慎重に)、睡眠薬などが組み合わせて使用されます。
      薬の種類や量は、医師が慎重に判断し、調整します。
    • 精神療法: 認知行動療法(CBT)、対人関係・社会リズム療法(IPSRT)、家族療法などが有効とされています。
      これらの療法は、病気への理解を深め、ストレスや生活リズムの管理スキルを身につけ、人間関係を改善するのに役立ちます。
  • 入院治療: 重症の躁状態やうつ状態、自殺の危険性がある場合など、必要に応じて入院による集中的な治療を受けることができます。

専門家は、医学的な知識に基づいて適切な診断を下し、最新の治療法を提供することができます。

早期発見と再発予防

早期に専門家へ相談し、適切な治療を開始することは、病気の予後を大きく左右します。

  • 早期発見の重要性: 発症早期に適切な治療を開始することで、病相の重症化を防ぎ、慢性化や急速交代型への移行を防ぐことができる可能性が高まります。
    特に、軽躁状態は本人や周囲が病気と認識しにくいため見過ごされがちですが、その後のうつ状態を防ぐためにも早期の気づきが重要です。
  • 再発予防: 双極性障害は再発しやすい病気ですが、継続的な治療と適切なセルフケアによって、再発率を低下させることができます。
    専門家は、再発のサイン(早期兆候)に気づくためのアドバイスや、再発した場合の対処法について指導してくれます。
  • サポート体制: 精神科医だけでなく、公認心理師や臨床心理士、精神保健福祉士など、様々な専門職がサポートに関わります。
    彼らは、心理的なサポート、社会資源の活用方法、家族へのアドバイスなど、多角的な支援を提供してくれます。

気分の波に一人で悩まず、専門家の力を借りることで、病気と上手に付き合いながら、安定した日常生活を送ることが可能になります。
精神科やメンタルヘルス専門のクリニックにまずは相談してみましょう。
どこに相談すれば良いか分からない場合は、地域の精神保健福祉センターなどに問い合わせてみるのも良い方法です。

まとめ|躁鬱の切り替わりを理解し、適切に対処しましょう

双極性障害における躁状態とうつ状態の「切り替わり」は、病気の特徴の一つであり、ご本人や周囲の人にとって予測が難しく、戸惑いや辛さを伴う場合があります。
この切り替わりには、特定の周期や期間のパターン(急速交代型など)があり、またストレス、生活リズムの乱れ、薬の影響、環境の変化、過度な刺激など、様々な「きっかけ」が影響を与える可能性があります。

病気との付き合い方をより良くするためには、まず双極性障害がどのような病気であるかを正しく理解することが重要です。
そして、ご自身の気分の波のパターンや、どのような時に切り替わりやすいのか(早期兆候やきっかけ)を把握し、具体的な対処法を実践していくことが大切です。

規則正しい生活、特に十分な睡眠を確保すること、ストレスを適切に管理すること、そして最も重要なのは、医師から処方された薬を指示通りに飲み続ける「服薬アドヒアランス」を維持することです。
これらに加えて、気分記録をつける、早期兆候に気づく訓練をするなどのセルフケアも有効です。

気分の波に悩んでいる場合や、双極性障害の診断を受けている場合は、一人で抱え込まず、必ず専門家(精神科医など)に相談しましょう。
専門家による正確な診断と適切な治療は、病状の安定、再発予防、そしてより良い生活を送るために不可欠です。
ご家族や周囲の人も、病気への理解を深め、温かいサポートを提供することが、ご本人の支えとなります。

双極性障害は、適切な治療とケアによって、多くの人が安定した生活を送ることができる病気です。
病気の波を理解し、上手に付き合っていくことで、希望を持って日々を過ごすことができるはずです。

免責事項:
本記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や助言に代わるものではありません。
双極性障害の診断や治療については、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。

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