毎日、あるいは非常に高い頻度で頭痛に悩まされている方は、大きな不安を感じていることでしょう。「この頭痛はいつまで続くのだろう」「何か怖い病気が隠れているのではないか」など、様々な心配が頭をよぎるかもしれません。
頭痛が毎日続く原因は一つではなく、様々なものが考えられます。中には専門的な治療が必要なケースや、すぐに医療機関を受診すべき危険な頭痛もあります。
この記事では、毎日頭痛が続く場合に考えられる主な原因や、危険なサイン、医療機関を受診する目安、そしてご自身でできる対処法や医療機関での治療法について、詳しく解説します。つらい毎日の頭痛の原因を知り、適切な対応を取るための一助となれば幸いです。
毎日頭痛が続く場合に考えられる主な原因
毎日頭痛が続く場合、考えられる原因は大きく分けて二つあります。一つは「一次性頭痛」と呼ばれる、特定の病気が原因ではない慢性の頭痛です。もう一つは「二次性頭痛」と呼ばれる、何らかの病気が原因で起こる頭痛です。毎日続く頭痛の多くは一次性頭痛に分類されますが、中には注意が必要な二次性頭痛が隠れていることもあります。
一次性頭痛(病気ではない頭痛)
一次性頭痛は、頭痛そのものが病気であり、脳や体の他の部分に明らかな異常が見つからない頭痛です。慢性的な経過をたどることが多く、日常生活に大きな影響を及ぼします。毎日続く頭痛の場合、この一次性頭痛が原因となっている可能性が高いと考えられます。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、一次性頭痛の中で最も一般的で、毎日頭痛が続く原因として最も頻繁に挙げられます。この頭痛の特徴は、頭全体を締め付けられるような、あるいは重い感じの鈍痛です。痛みの程度は一般的に軽度から中等度で、体を動かすことで悪化することはあまりありません。頭の両側に痛みを感じることが多いですが、片側だけに起こることもあります。
緊張型頭痛の主な原因は、精神的なストレスや体の緊張、特に首や肩周りの筋肉の緊張と考えられています。長時間同じ姿勢で作業したり、パソコンやスマートフォンを長時間使用したりすることによる不良姿勢、目の疲れなども原因となり得ます。睡眠不足や不規則な生活も関与することがあります。
緊張型頭痛は、エピソード性(ときどき起こる)と慢性に分類され、毎日あるいは週に数回以上起こる場合は慢性緊張型頭痛と呼ばれます。慢性緊張型頭痛になると、痛みがほぼ毎日続き、常に頭が重い、だるいといった不快な状態が継続するため、生活の質が著しく低下してしまいます。精神的なストレスや不安が強いと、さらに頭痛が悪化するという悪循環に陥ることも少なくありません。
痛みのメカニズムとしては、ストレスなどによって脳の痛みを調整する機能がうまく働かなくなったり、首や肩の筋肉の持続的な緊張が痛みを引き起こしたりすると考えられています。
慢性片頭痛
一般的に「片頭痛」というと、月に数回、ズキンズキンと脈打つような強い痛みが片側または両側に起こり、吐き気や光・音に過敏になるなどの症状を伴う頭痛をイメージされるかもしれません。しかし、この片頭痛が慢性化し、「慢性片頭痛」と呼ばれる状態になることがあります。
慢性片頭痛は、月に15日以上の頭痛が3ヶ月以上にわたって続き、そのうち少なくとも8日間は片頭痛の診断基準を満たす頭痛である場合に診断されます。つまり、痛みの性質としては片頭痛の特徴を持っていることが多いのですが、痛みの強さや種類は日によって異なり、緊張型頭痛のような痛みが混じることもあります。ほぼ毎日頭痛があるため、「毎日片頭痛が続く」と感じる方もいます。
慢性片頭痛の原因は完全には解明されていませんが、脳の血管や神経系の機能異常が関連していると考えられています。遺伝的な要因も指摘されています。精神的なストレスや睡眠不足、特定の食品(チーズ、チョコレート、アルコールなど)、女性ホルモンの変動(生理周期など)、気圧や温度の変化などが誘発因子となることが知られています。これらの誘発因子が日常的に存在したり、脳の興奮性が高まったりすることで、痛みが頻繁に起こりやすくなると考えられます。
慢性片頭痛の場合、痛みの頻度があまりに高いため、ついつい市販の鎮痛薬を毎日、あるいは高頻度に使用してしまいがちです。しかし、これが後述する「薬物乱用頭痛」を招き、さらに頭痛を悪化させるという非常に厄介な状況を生み出すことがあります。
二次性頭痛(病気が原因の頭痛)
二次性頭痛は、脳や全身の病気が原因で起こる頭痛です。毎日続く頭痛の場合、一次性頭痛が原因であることが多いですが、二次性頭痛が隠れている可能性もゼロではありません。特に、普段経験したことのない頭痛や、痛みの性質が変化した場合、他の神経症状を伴う場合は、二次性頭痛を疑い、速やかに医療機関を受診する必要があります。
薬物乱用頭痛
毎日頭痛が続く原因として、近年特に注目されているのが「薬物乱用頭痛(Medication Overuse Headache: MOH)」です。これは、頭痛の治療のために使用している薬(特に急性期治療薬である鎮痛剤やトリプタン製剤など)を使いすぎることによって、かえって頭痛が悪化・慢性化してしまう状態です。
薬物乱用頭痛は、一次性頭痛(特に片頭痛や緊張型頭痛)を持つ患者さんが、痛みを抑えるために頻繁に薬を使用することで発症します。薬の効果が切れると痛みがぶり返し、再び薬を服用するというサイクルを繰り返すうちに、脳が薬に対して鈍感になったり、痛みを抑制する機能が異常をきたしたりすると考えられています。その結果、薬を飲まなければ痛みが起こり、飲んでも十分に効かなかったり、効果が短時間しか持続しなかったりするようになり、ほぼ毎日頭痛が続く状態に陥ります。
薬物乱用頭痛を起こしやすいのは、市販の鎮痛薬(アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)や、医療機関で処方されるトリプタン製剤、エルゴタミン製剤、あるいはこれらの成分を含む合剤などです。特に、カフェインを含む市販薬や、複数の成分が配合された薬は依存性が高く、薬物乱用頭痛を起こしやすい傾向があります。
薬物乱用頭痛の診断基準では、以下の条件を満たす場合に診断されます。
- 一次性頭痛、または頭頚部痛を引き起こしうる他の疾患がある。
- 頭痛治療薬を月に10~15日以上、3ヶ月以上にわたって定期的に乱用している。(薬の種類によって日数は異なります)
- 頭痛が月に15日以上存在する。
- 薬物乱用によって頭痛が発症または著しく悪化している。
症状の特徴としては、以前からあった頭痛とは異なり、毎日あるいはほぼ毎日、持続的な鈍痛が起こることが多いです。朝起きた時に頭痛があることもよくあります。痛みの性質は緊張型頭痛に似ていることもあれば、片頭痛のような性質を持つこともあります。最大の特徴は、「薬を飲むと一時的に楽になるが、すぐにまた痛くなる」というサイクルに陥っていることです。患者さん自身は「薬が効かなくなってきた」と感じて、さらに薬の使用量や頻度を増やしてしまうことが少なくありません。
薬物乱用頭痛の治療は、原因となっている薬を中止することが原則です。薬を中止すると一時的に頭痛が悪化することが多いですが、これを乗り越えることで頭痛が改善される可能性があります。薬の中止には、専門医の指導のもと、代替薬を使用したり、予防薬を併用したり、場合によっては入院して行うこともあります。自己判断で薬を中止するのは難しく、適切な医療的なサポートが必要です。
薬物乱用頭痛は、頭痛患者さんの生活の質を著しく低下させるだけでなく、うつ病や不安障害などを合併することも多く、深刻な問題となります。市販薬を含め、頭痛薬の使用頻度が高いと感じたら、薬物乱用頭痛の可能性を疑い、早めに専門医に相談することが重要です。
その他の危険な頭痛(すぐに受診が必要なケース)
毎日続く頭痛の場合、頻度としては少ないものの、命に関わるような危険な病気が原因となっている二次性頭痛の可能性も考慮する必要があります。これらの危険な二次性頭痛は、多くの場合、「突然発症する」「痛みが非常に強い」「普段とは明らかに違う」といった特徴を伴いますが、中には持続的な痛みとして現れることもあります。以下の症状が頭痛に加えて現れた場合は、迷わず救急車を呼ぶか、救急外来を受診してください。
- 突然の激痛(バットで殴られたような痛み): くも膜下出血などが強く疑われます。経験したことのないような「人生最悪の頭痛」と表現されることもあります。
- 手足の麻痺、感覚障害、ろれつが回らない: 脳卒中(脳出血、脳梗塞など)の可能性があります。
- 高熱、首の硬さ(項部硬直)、意識がおかしい: 髄膜炎や脳炎などが疑われます。
- けいれん: 脳の異常を示唆します。
- 視力や視野の異常(物が二重に見える、視野が欠けるなど): 脳腫瘍や視神経の病気などが原因の可能性があります。
- 頭を強く打ったり、転んだりした後から始まった頭痛: 頭蓋内出血(硬膜下血腫、硬膜外血腫など)の可能性があります。時間の経過とともに症状が悪化することもあります。
- がんの既往がある方で、新しい頭痛が出現・悪化した場合: 脳転移の可能性があります。
- 免疫抑制状態にある方(エイズ、免疫抑制剤使用など)で頭痛がある場合: 日和見感染など、特殊な感染症の可能性があります。
- 50歳以降で初めて経験する、または痛みの性質が変わってきた頭痛: 側頭動脈炎など、高齢者に多い特定の病気を考慮する必要があります。
- 立ったり座ったりすると痛みが強くなり、横になると和らぐ頭痛: 脳脊髄液減少症などが考えられます。
- 咳やくしゃみ、いきみなどで誘発・増悪する頭痛: 脳腫瘍やキアリ奇形などが原因の可能性があります。
これらの危険なサインは、時間との勝負となる病気である可能性が高いため、一刻も早く専門的な診断と治療が必要です。毎日続く頭痛であっても、これらのサインが少しでも見られる場合は、「いつもの頭痛とは違う」と判断し、速やかに医療機関を受診してください。
毎日続く頭痛は受診すべき?目安を解説
毎日頭痛が続く状態は、たとえ痛みの程度が軽度であっても、放置すべきではありません。原因が一次性頭痛であっても、生活の質を著しく低下させますし、適切な対処や治療によって改善する可能性があります。また、前述のように、まれに危険な二次性頭痛が隠れている可能性もゼロではないため、専門医による診断を受けることが重要です。
頭痛 何日続いたら病院?
頭痛が何日続いたら病院に行くべきか、明確な基準はありませんが、一般的には以下のような場合は医療機関を受診することを検討すべきです。
- 数日以上続く頭痛: 普段は数時間で治まる頭痛が、数日経っても治まらない場合は、いつもと違う頭痛の可能性があります。
- 痛みが徐々に強くなる、あるいは頻度が増える: 以前は週に1~2回だったのが毎日になり、さらに痛みが強くなってきた、というように悪化傾向にある場合は注意が必要です。
- 市販薬で十分に痛みがコントロールできない: 市販薬を飲んでも効果がない、あるいはすぐに痛みがぶり返してしまう場合は、専門医に相談して適切な診断と治療薬を検討してもらう必要があります。特に、市販薬の使用頻度が高くなっている場合は、薬物乱用頭痛の可能性も考慮して受診が必要です。
- 日常生活に支障が出ている: 頭痛のために仕事や学校に行けない、家事ができない、趣味を楽しめないなど、日常生活に支障が出ている場合は、原因に関わらず医療的なサポートを受けるべきです。
- 頭痛の原因について不安を感じる: 「何か大きな病気だったらどうしよう」という不安を抱えているだけでも、精神的なストレスとなり頭痛を悪化させる可能性があります。専門医に相談することで、不安が解消され、適切な対応を取ることができます。
そして何よりも、「毎日頭痛が続く」という状態自体が、医療機関、特に頭痛専門医や脳神経内科医に相談する十分な理由となります。漫然と市販薬を飲み続けたり、我慢したりせず、一度専門家の意見を聞くことが大切です。
頭痛は何日続くとやばいですか?(危険なサイン)
前述の「その他の危険な頭痛」で挙げた症状は、「やばい」サインであり、これらの症状が頭痛に加えて現れた場合は、直ちに、あるいは速やかに医療機関を受診する必要があります。これらのサインは、命に関わる病気や、後遺症を残す可能性のある病気の兆候である可能性があるからです。
危険なサイン | 疑われる主な病気(例) | 受診の目安 |
---|---|---|
突然、これまでにない激しい頭痛 | くも膜下出血、脳出血 | 救急受診 |
手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない | 脳卒中(脳出血、脳梗塞) | 救急受診 |
高熱、首が硬い(項部硬直)、意識障害 | 髄膜炎、脳炎 | 救急受診 |
けいれん | 脳腫瘍、脳卒中など | 救急受診 |
視力や視野の急な変化(二重に見えるなど) | 脳腫瘍、視神経の病気など | 早めの受診 |
頭を打った後の頭痛が悪化 | 頭蓋内出血(硬膜下血腫など) | 早めの受診 |
がん患者さんの新しい・悪化する頭痛 | 脳転移など | 早めの受診 |
50歳以降で初めて経験する頭痛 | 側頭動脈炎など | 早めの受診 |
咳・いきみで誘発・悪化 | 脳腫瘍、キアリ奇形など | 早めの受診 |
起床時に強く、時間の経過で軽減するもの | 脳腫瘍、睡眠時無呼吸症候群など | 早めの受診 |
立位で悪化し、臥位で軽減するもの | 脳脊髄液減少症など | 早めの受診 |
これらのサインは、頭痛が何日続いているかにかかわらず、出現した時点で速やかに医療機関を受診すべきサインです。「毎日続く頭痛だからいつものことだ」と自己判断せず、少しでも「いつもと違う」「おかしい」と感じたら、医療機関に相談することが大切です。
毎日続く頭痛への対処法
毎日続く頭痛の対処法は、その原因によって異なります。一次性頭痛の場合は、痛みを和らげる対症療法と、頭痛の頻度や程度を軽減するための予防療法、そして生活習慣の改善が中心となります。二次性頭痛の場合は、原因となっている病気の治療が最優先されます。特に薬物乱用頭痛の場合は、原因となっている薬の中止が不可欠です。
日常生活でできること(ストレス軽減など)
一次性頭痛、特に緊張型頭痛や慢性片頭痛の場合、日常生活におけるセルフケアや生活習慣の見直しが頭痛の軽減に繋がることがあります。
- ストレスマネジメント: ストレスは頭痛の大きな誘発因子です。リラクゼーション techniques(深呼吸、瞑想)、軽い運動、趣味に時間を使うなど、ご自身に合ったストレス解消法を見つけ、実践しましょう。完璧主義になりすぎず、適度に休息を取ることも大切です。
- 規則正しい生活: 毎日同じ時間に寝て起きる、バランスの取れた食事を規則正しく摂るなど、生活リズムを整えることは、脳の機能を安定させ、頭痛の予防に繋がります。特に睡眠不足や寝すぎは頭痛の誘発因子となることがあるため注意が必要です。
- 適度な運動: 適度な有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)は、ストレス解消になるだけでなく、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果も期待できます。ただし、片頭痛の発作中は運動で悪化することがあるため、無理は禁物です。
- 姿勢の改善: デスクワークなどで長時間同じ姿勢を取り続けると、首や肩の筋肉が緊張し、緊張型頭痛を招きやすくなります。定期的に休憩を取り、ストレッチを行う、正しい姿勢を意識する、自分に合った椅子や机の高さを調整するといった対策が有効です。
- 目の疲れを軽減: パソコンやスマートフォンの画面を長時間見続けることは、目の筋肉を緊張させ、頭痛を引き起こすことがあります。定期的に画面から目を離して遠くを見る、ブルーライトカットメガネを使用する、適切な明るさで作業するといった対策を取りましょう。
- 誘発因子の特定と回避: どのような状況や食品が頭痛を誘発するかを観察し、可能な範囲でそれらを避けるようにします。頭痛ダイアリーをつけることは、誘発因子を特定するのに役立ちます。
- カフェインの摂取量に注意: カフェインは一時的に頭痛を和らげる効果がある一方で、摂りすぎると薬物乱用頭痛のリスクを高めたり、離脱症状として頭痛を引き起こしたりすることがあります。コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどの摂取量を適量に留め、急な中止も避けるのが賢明です。
- 市販薬の適切な使用: 市販薬は一時的な痛みを和らげるのに役立ちますが、漫然と使い続けるのは避けましょう。添付文書を確認し、定められた用法・用量を守り、使用頻度にも注意が必要です。月に10日以上使用している場合は、薬物乱用頭痛のリスクがあるため、医療機関に相談してください。
医療機関での治療法
医療機関を受診した場合、まずは医師による詳細な問診と診察が行われます。頭痛が始まった時期、痛みの性質、頻度、持続時間、悪化因子や緩和因子、随伴症状(吐き気、光過敏など)、服用中の薬、既往歴などを詳しく聞かれます。次に、神経学的診察が行われ、必要に応じて画像検査(頭部CT、MRIなど)や血液検査などが行われ、頭痛の原因を特定します。
原因が特定されたら、それに合わせた治療が開始されます。
- 一次性頭痛(緊張型頭痛、片頭痛):
- 急性期治療薬: 頭痛が起きた時に痛みを和らげる薬です。緊張型頭痛には一般的な鎮痛剤(アセトアミノフェン、NSAIDsなど)が、片頭痛にはトリプタン製剤やCGRP受容体拮抗薬などが用いられます。これらの薬は、効果と副作用のバランスを考慮して、医師が適切に処方します。使いすぎは薬物乱用頭痛を招くため、使用回数に制限が設けられることが一般的です。
- 予防薬: 頭痛の頻度や程度を減らすために、毎日継続して服用する薬です。緊張型頭痛には抗うつ薬などが、片頭痛にはβ遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、最近ではCGRP関連分子を標的とした注射薬などが用いられます。予防薬は効果が出るまでに時間がかかることもあり、医師と相談しながら最適な薬と用量を見つけていきます。
- 非薬物療法: 物理療法(マッサージ、ストレッチ)、認知行動療法、バイオフィードバック法などが、特に緊張型頭痛や慢性頭痛の管理に有効な場合があります。
- 薬物乱用頭痛:
- 原因薬の中止: これが最も重要な治療法です。薬を中止すると、最初の数日から数週間は頭痛が悪化することが多いですが、その後徐々に改善が見られます。中止期間中の頭痛を軽減するために、代替薬(ステロイドなど)を使用したり、制吐剤を併用したりすることがあります。薬の中止は、医師の厳重な管理のもとで行われるべきであり、痛みが強い場合や中止が困難な場合は入院が必要となることもあります。
- 予防薬の開始: 原因薬を中止すると同時に、もともとの頭痛(例えば片頭痛)の予防薬を開始することが一般的です。これにより、薬物乱用頭痛の再発を防ぎつつ、もともとの頭痛をコントロールすることを目指します。
- その他の二次性頭痛:
- 原因となっている病気そのものの治療を行います。例えば、くも膜下出血であれば手術、髄膜炎であれば抗菌薬や抗ウイルス薬、脳腫瘍であれば手術や放射線治療など、病気の種類によって治療法は全く異なります。
毎日続く頭痛に悩んでいる方は、まず脳神経内科や頭痛専門医を受診することをお勧めします。頭痛を専門とする医師は、詳細な問診や診察から頭痛のタイプを見極め、適切な検査を選択し、原因に基づいた最適な治療法を提案してくれます。自己判断で市販薬を飲み続けたり、原因不明のまま我慢したりせず、専門家の力を借りることが改善への近道です。
毎日続く頭痛に関するよくある質問
毎日偏頭痛が続く原因は何ですか?
「毎日偏頭痛が続く」という場合、医学的には「慢性片頭痛」の状態である可能性が高いです。慢性片頭痛は、月に15日以上の頭痛が3ヶ月以上続き、そのうち少なくとも8日間は片頭痛の特徴(ズキンズキンする、片側または両側性、吐き気や光・音過敏を伴うなど)を満たすものです。
毎日頭痛が続く原因としては、もともと片頭痛を持っている方が、頭痛の頻度が高くなる誘発因子(ストレス、睡眠不足、特定の食品、気候の変化など)に日常的にさらされていたり、脳の機能が慢性的に不安定な状態になっていたりすることが考えられます。また、片頭痛の痛みを抑えるために頻繁に鎮痛薬やトリプタンを使用している場合、薬物乱用頭痛を合併している可能性も非常に高く、これが毎日頭痛が続く主要な原因となっていることも少なくありません。慢性片頭痛の診断と治療には、専門医による適切な評価と、急性期治療薬と予防薬を組み合わせた治療計画が必要です。
頭痛が危険なサインは?
頭痛自体が危険な病気のサインである可能性を示す症状を「危険なサイン」と呼びます。これらが一つでも見られる場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。主な危険なサインは以下の通りです。
- 突然発症する、これまでに経験したことのない激しい頭痛
- 痛みが徐々に悪化していく頭痛
- 発熱、首の硬さ、発疹を伴う頭痛
- 手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、顔の歪みなどの神経症状を伴う頭痛
- 意識がおかしい、呼びかけへの反応が鈍いなどの意識障害を伴う頭痛
- けいれんを伴う頭痛
- 視力や視野の急な変化を伴う頭痛
- 頭部外傷後に発生した頭痛
- がんや免疫不全の既往がある方の頭痛
- 50歳以降で初めて出現した頭痛、あるいは痛みの性質が変わった頭痛
- 咳、いきみ、運動などで誘発または増悪する頭痛
これらのサインは、くも膜下出血、脳出血、髄膜炎、脳炎、脳腫瘍などの重篤な病気が原因で頭痛が起こっている可能性を示唆しています。毎日続く頭痛であっても、これらのサインが加わった場合は、迷わず救急医療機関を受診してください。
まとめ:毎日続く頭痛に悩んだら専門医へ相談を
毎日頭痛が続くというのは、非常につらく、生活の質を大きく低下させる状態です。その原因は、緊張型頭痛や慢性片頭痛といった一次性頭痛である場合がほとんどですが、頭痛薬の使いすぎによる薬物乱用頭痛や、まれにですが脳の病気など重篤な二次性頭痛が隠れている可能性も否定できません。
毎日続く頭痛に悩んでいる場合は、まずは自己判断で済ませたり、市販薬に頼りすぎたりせず、医療機関を受診することをお勧めします。特に、以下のような場合は専門医への相談を強く推奨します。
- 頭痛がほぼ毎日続いている
- 市販の頭痛薬の使用頻度が高い(月に10日以上など)
- 頭痛のために日常生活に支障が出ている
- 痛みの性質が変わった、あるいは普段とは違う症状(吐き気、光・音過敏など)を伴うようになった
- 前述の「危険なサイン」に当てはまる症状がある
脳神経内科や頭痛専門医は、頭痛の原因を正確に診断し、一人ひとりの状態に合わせた適切な治療法(急性期治療薬、予防薬、非薬物療法など)や、日常生活でのアドバイスを提供してくれます。薬物乱用頭痛の場合も、専門医の指導のもとで安全に薬を中止し、頭痛をコントロールしていくことが可能です。
頭痛は我慢するものではありません。適切な診断と治療を受けることで、痛みが軽減され、より快適な毎日を取り戻すことができます。毎日続くつらい頭痛に悩んでいる方は、ぜひ勇気を出して専門医に相談してみてください。
免責事項: 本記事は、一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。個々の症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。本記事の情報に基づいて行った行為によって生じたいかなる損害についても、当方は一切責任を負いません。
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