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声がかすれる原因はストレス?声枯れ・声が出ない時の対処法

声のかすれは、日常生活で誰にでも起こりうる症状です。風邪や喉の使いすぎなどが原因で起こることが多いですが、中には「なぜか声がかすれる」「痛みはないのに声が出にくい」といった症状に悩まされている方もいらっしゃるかもしれません。
もし心当たりがないのに声のかすれが続くようなら、それはもしかするとストレスが原因で引き起こされている可能性があります。

ストレスは心だけでなく、身体にも様々な影響を及ぼします。喉や声帯も例外ではありません。自律神経の乱れや筋肉の緊張などにより、声が出しにくくなったり、質が変わってしまったりすることがあります。

この記事では、声がかすれる原因として考えられる「ストレス」に焦点を当て、なぜストレスが声に影響するのか、そのメカニズムや特徴について詳しく解説します。また、ストレス以外の一般的な声のかすれの原因や、ご自身でできる対処法、そしてどのような場合に医療機関を受診すべきかについても紹介します。

声のかすれに悩んでおり、「もしかしてストレスかな?」と感じている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

目次

ストレスが声にかすれを引き起こすメカニズム

声は、肺から送られた空気が声帯という粘膜のひだを振動させることで生まれます。声帯は喉仏の中にある喉頭という器官にあり、普段は開いて呼吸をしていますが、声を出す時には閉じたり振動したりと精緻な動きをしています。この声帯の動きや状態に異常が生じると、声のかすれ(嗄声:させい)となって現れます。

ストレスは、この繊細な発声メカニズムに様々な形で影響を及ぼすことが知られています。

自律神経の乱れと喉の筋肉への影響

人間の体は、自律神経によって無意識のうちに様々な機能を調整しています。自律神経には、活動時に優位になる交感神経と、リラックス時に優位になる副交感神経があり、この二つのバランスが保たれていることで心身の調和が保たれています。

しかし、過度なストレスがかかると、この自律神経のバランスが乱れやすくなります。特に交感神経が優位になりすぎると、全身の筋肉が緊張しやすくなります。これは喉の筋肉も例外ではありません。

喉頭には、声帯を開閉したり、声帯の張りを調整したりするための多数の小さな筋肉があります。ストレスによってこれらの筋肉が無意識のうちに強く緊張したり、逆に過度に緩んでしまったりすることがあります。

  • 筋肉の過緊張: 声帯を閉じる筋肉が強く緊張しすぎると、声帯がスムーズに振動できず、声が絞り出されるようなかすれ声になったり、声が出にくくなったりします。これを緊張性発声障害と呼ぶこともあります。
  • 筋肉の協調性の乱れ: ストレスによって、発声に関わる様々な筋肉(喉頭筋だけでなく、呼吸筋や構音筋なども含む)の動きのタイミングや連携がうまくいかなくなることがあります。これにより、声帯が適切に閉じなかったり、振動パターンが不規則になったりして、声のかすれや声質の変化が生じます。

自律神経の乱れは、喉の乾燥を引き起こすこともあります。交感神経の働きが活発になると、唾液の分泌が抑制される傾向があり、喉が乾きやすくなります。声帯の粘膜が乾燥すると、滑らかな振動が妨げられ、声のかすれにつながります。また、ストレスによる口呼吸の増加も喉の乾燥を助長する要因となります。

このように、ストレスは自律神経を介して喉の筋肉の状態や声帯の粘膜環境に影響を与え、声のかすれを引き起こす可能性があるのです。

心因性失声症・心因性発声障害とは

ストレスや精神的な要因が直接的に声に影響を与える病態として、「心因性失声症」や「心因性発声障害」があります。これらは、喉頭や声帯そのものに明らかな器質的な異常(炎症や腫瘍など)が見られないにも関わらず、声が出なくなったり、かすれたりする状態を指します。

  • 心因性失声症: 強い精神的ショックや長期にわたるストレスなどが引き金となり、突発的に声が出なくなってしまう状態です。全く声が出せない「失声」となることもあれば、囁き声しか出せなくなることもあります。しかし、咳払いや笑い声は普通に出せる場合が多く、これが器質的な問題との鑑別点の一つとなります。声が出ないことでさらに不安やストレスが増し、症状が悪化するという悪循環に陥ることも少なくありません。
  • 心因性発声障害: 失声ほど重度ではないものの、声のかすれ、声が出しにくい、声が震えるなどの症状が精神的な要因によって生じる状態です。声帯の動きに微妙な協調性の乱れが生じていることが多く、特定の状況(人前で話す、電話に出るなど)で症状が顕著になることもあります。

これらの心因性の発声障害は、ストレスや心理的な葛藤、不安などが無意識のうちに身体的な症状として現れたものと考えられています。診断には、耳鼻咽喉科での詳細な喉頭の検査で器質的な異常がないことを確認するとともに、心理的な評価も重要となります。治療には、音声治療(リハビリ)や心理療法、ストレス管理などが組み合わされることが多いです。

このように、ストレスは単に喉の筋肉を緊張させるだけでなく、より直接的に発声機能そのものにブレーキをかけてしまうこともあります。

ストレス以外の声のかすれの主な原因

声のかすれの原因は多岐にわたります。ストレスによるものと決めつける前に、他の可能性についても知っておくことが重要です。ここでは、ストレス以外の一般的な声のかすれの原因をいくつか紹介します。

風邪や炎症による声帯の腫れ

声のかすれの最も一般的な原因は、風邪(急性上気道炎)などによる喉頭炎です。ウイルスや細菌の感染により、喉頭や声帯に炎症が起こり、声帯が腫れたり赤くなったりします。

声帯が腫れると、声帯の粘膜の振動がスムーズに行えなくなり、声がかれます。通常、喉の痛みや咳、鼻水、発熱などの風邪の症状を伴うことが多いですが、声のかすれが一番最初に現れる症状であることもあります。炎症が治まれば、声のかすれも徐々に改善していきます。

また、声の使いすぎや、乾燥した空気、喫煙、アレルギーなども喉頭に炎症を起こし、声のかすれの原因となることがあります。

声帯ポリープ・声帯結節などの声帯疾患

声帯そのものにできたできもの(病変)が原因で声がかれることもあります。代表的なものに「声帯ポリープ」と「声帯結節」があります。

  • 声帯ポリープ: 声帯の片側または両側にできる、水ぶくれのような良性の腫瘍です。カラオケでの熱唱や長時間の発声など、一回性の強い発声負荷によって声帯の血管が破れ、出血やむくみが生じてできることが多いとされています。突然声がかれる、声が出しにくいといった症状が現れます。
  • 声帯結節: 声帯の片側または両側にできる、ペンだこの様な硬いできものです。歌手や教師など、日常的に声を酷使する職業の方に多く見られ、声帯の同じ場所に繰り返し摩擦刺激が加わることで生じます。「使いすぎると声がかれる」「歌いにくい」といった症状が特徴です。

これらの声帯疾患は、耳鼻咽喉科で喉頭鏡(スコープ)を使って声帯を直接観察することで診断されます。治療法は、まずは声の安静や音声治療(リハビリ)が行われますが、改善が見られない場合や病変が大きい場合は手術が必要となることもあります。

加齢による声帯萎縮

年齢を重ねると、全身の筋肉量が減少したり、粘膜の潤いが失われたりするように、声帯も変化します。声帯を構成する筋肉や粘膜が薄くなったり(萎縮)、弾力性が失われたりすることで、声帯が十分に閉じきれなくなり、声と同時に息が漏れるようなかすれ声(息漏れ声)になります。また、声の高さが不安定になったり、大きな声が出しにくくなったりすることもあります。

これは自然な加齢現象の一つですが、日常生活でのコミュニケーションに支障をきたす場合は、音声治療(声帯を閉じる筋肉を鍛えるリハビリなど)が有効な場合もあります。

その他の病気(甲状腺疾患など)

声のかすれは、喉や声帯以外の病気が原因で起こることもあります。

  • 反回神経麻痺: 声帯の動きをコントロールしている反回神経という神経が麻痺すると、声帯が動かなくなり、声がかれます。反回神経は首から胸にかけて走行しており、甲状腺の手術の後遺症、肺がん、食道がん、大動脈瘤など、様々な病気が原因で神経が圧迫されたり傷ついたりして麻痺することがあります。片側の声帯だけが麻痺した場合はかすれ声になりますが、両側の声帯が麻痺すると声が出なくなるだけでなく、呼吸困難を引き起こすこともあり、注意が必要です。
  • 神経疾患: パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、神経や筋肉に影響を与える病気でも、喉頭筋の動きが悪くなり声がかれることがあります。
  • 逆流性食道炎: 胃酸が食道から喉頭まで逆流し、声帯に炎症を起こすことで声がかれることがあります。胸焼けや呑酸(酸っぱいものがこみ上げてくる感覚)といった症状を伴うことが多いです。
  • アレルギー: 喉頭にアレルギー性の炎症が起こり、声帯がむくむことで声がかれることがあります。
  • 心理的な要因: 前述の心因性失声症・発声障害も含まれます。

このように、声のかすれは様々な原因で起こり得ます。特に症状が長引く場合や、他の全身症状を伴う場合は、原因を特定するために医療機関を受診することが非常に重要です。

ストレスによる声のかすれの特徴

ストレスが原因で声がかすれる場合、他の原因によるかすれとは少し異なる特徴が見られることがあります。もちろん個人差はありますが、ご自身の症状と照らし合わせてみてください。

痛くないのに声がかすれる場合

風邪や喉の炎症による声のかすれは、通常、喉の痛みやイガイガ感を伴います。しかし、ストレスによる声のかすれは、喉の痛みをほとんど伴わないことが多いのが特徴です。

これは、炎症のように声帯そのものに組織的な損傷があるわけではなく、主に筋肉の緊張や機能的な問題によって声が出にくくなっているためです。声を出そうとすると努力が必要だったり、声が裏返りそうになったりする感覚はあるかもしれませんが、「喉がヒリヒリ痛む」といった感覚はあまりありません。

もちろん、ストレスによって免疫力が低下し、風邪をひきやすくなって炎症が起こるという間接的な影響は考えられますが、直接的なストレス性の声かすれは「痛みのなさ」が一つの目安となることがあります。

喉が閉まる感覚を伴う場合

ストレスや強い不安を感じているときに、「喉がキュッと閉まる」「喉に何か詰まっているような感覚」を経験したことがある方もいるかもしれません。これは、ストレスによって喉の筋肉が緊張し、無意識のうちに収縮しているために起こると考えられています。

ストレスによる声のかすれでは、この喉の閉塞感や違和感を伴うことが比較的よくあります。「声を出そうとしても喉が固まっている感じがする」「スムーズに声が出せない」「息苦しさを感じる」といった感覚を伴う場合、ストレスや心理的な要因が関連している可能性が考えられます。

特に、人前で話すときや緊張する場面で症状が悪化するなど、特定の状況で症状が顕著になる場合は、心因性の発声障害の可能性も考慮する必要があります。

ただし、喉の閉塞感や違和感は、甲状腺の腫れや食道の病気など、他の病気が原因で起こることもあります。自己判断せず、気になる症状があれば医療機関を受診することが大切です。

ストレスによる声かすれへの対処法

ストレスが声のかすれの原因であると考えられる場合、最も重要なのはストレスそのものに対処することです。しかし、同時に喉への負担を減らし、声が出やすい環境を整えることも大切です。

ストレスのセルフケア方法

ストレスの感じ方や解消法は人それぞれですが、一般的に効果があるとされるセルフケア方法をいくつか紹介します。ご自身に合った方法を見つけて、日常生活に取り入れてみましょう。

  • 十分な睡眠をとる: 睡眠不足は心身のストレスを増大させます。質の高い睡眠を確保できるよう、寝る前にリラックスする時間を作ったり、寝室の環境を整えたりしましょう。
  • バランスの取れた食事: 栄養バランスの偏りは体調を崩しやすくし、ストレス耐性を低下させます。特に、ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物を積極的に摂りましょう。
  • 適度な運動: ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどの有酸素運動は、ストレス解消効果が期待できます。運動によって気分転換になり、睡眠の質を高める効果もあります。
  • リラクゼーションを取り入れる:
    • 深呼吸: ゆっくりと鼻から息を吸い込み、口から細く長く吐き出す深呼吸は、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果があります。
    • 瞑想・マインドフルネス: 現在の瞬間に意識を集中する練習は、思考の堂々巡りを止め、心の平静を取り戻すのに役立ちます。
    • 入浴: ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、体の緊張がほぐれ、リラックスできます。
    • アロマテラピー: ラベンダーやカモミールなどの香りは、リラックス効果が期待できます。
  • 趣味や好きな活動の時間を作る: 好きなことに没頭する時間は、ストレスから一時的に離れ、気分転換になります。
  • 信頼できる人に話を聞いてもらう: 悩みや不安を一人で抱え込まず、家族や友人など、信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも心が軽くなることがあります。
  • デジタルデトックス: スマートフォンやパソコンから離れる時間を作り、情報過多による疲れを軽減しましょう。

これらのセルフケアを継続的に行うことで、ストレスを軽減し、声のかすれの改善につなげられる可能性があります。

喉の乾燥を防ぐケア

声帯の粘膜は乾燥に非常に弱く、乾燥すると声がかれやすくなります。ストレスの有無にかかわらず、喉のケアは声の健康のために重要です。

  • 十分な水分補給: こまめに水分を摂り、喉を潤しましょう。特に乾燥する季節や、長時間話す際は意識的に水分を摂るようにします。水やお茶が適していますが、カフェインやアルコールは利尿作用があり、かえって体を乾燥させる可能性があるため、摂りすぎには注意が必要です。
  • 部屋の加湿: 空気が乾燥していると、吸い込む空気によって喉が乾燥しやすくなります。加湿器を使用したり、洗濯物を部屋に干したりするなどして、室内の湿度を適切(50~60%程度)に保ちましょう。
  • マスクの着用: マスクを着用すると、口や鼻から出る息でマスク内が加湿され、喉の乾燥を防ぐ効果があります。特に外出時や寝る際に有効です。
  • 声の安静: 声がかれているときは、できるだけ声を使わないようにすることが大切です。大きな声を出したり、長時間話したりすることは避けましょう。囁き声は、普通に話すよりも声帯に負担がかかる場合があるため、できるだけ控えた方が良いとされています。
  • 禁煙: 喫煙は喉頭や声帯に慢性的な刺激を与え、炎症やむくみを引き起こします。声の健康を考える上で、禁煙は非常に重要です。

症状が続く場合の専門家への相談

セルフケアを試みても声のかすれが改善しない場合や、症状が悪化する場合、あるいは他の気になる症状(痛み、息苦しさ、飲み込みにくさなど)がある場合は、必ず医療機関を受診しましょう。

声のかすれの原因はストレスだけではありません。前述のように、声帯の病気や全身の病気が隠れている可能性もあります。早期に正確な診断を受けることが、適切な治療につながります。

受診すべき目安としては、以下のような場合が挙げられます。

  • 声のかすれが2週間以上続く場合
  • 声のかすれが悪化している場合
  • 喉の痛みを伴う場合
  • 息苦しさを伴う場合
  • 飲み込みにくい、むせるなどの症状がある場合
  • 首にしこりがあるなど、他の症状がある場合
  • 全く声が出ない場合

何科を受診すれば良いか?

声のかすれに関する専門家は、主に耳鼻咽喉科医です。耳鼻咽喉科では、喉頭鏡を使って声帯を直接観察し、炎症やポリープ、腫瘍、神経麻痺などがないかを確認します。必要に応じて、音声機能検査などが行われることもあります。

もし、耳鼻咽喉科での検査で声帯に明らかな異常が見られないにも関わらず、声のかすれが続く場合や、強いストレスや不安を感じている自覚がある場合は、精神科や心療内科への相談も検討すると良いでしょう。ストレスや心理的な側面からのアプローチが必要となる場合があります。

また、大学病院などでは「音声外来」を設けているところもあり、発声障害の診断や治療、音声リハビリテーションに特化した専門的な診療を受けることができます。

専門家は、症状や検査結果に基づいて適切な診断を行い、原因に応じた治療法(薬物療法、音声治療、心理療法など)を提案してくれます。一人で悩まず、まずは専門家の力を借りましょう。

まとめ:声のかすれが続く場合は医療機関へ

声がかすれる原因の一つとして、ストレスが挙げられます。過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、喉の筋肉を緊張させたり、声帯の動きを妨げたりすることで声のかすれを引き起こすことがあります。また、強い精神的ショックやストレスが心因性失声症や心因性発声障害として現れることもあります。

しかし、声のかすれの原因はストレスだけではありません。風邪や炎症、声帯のポリープ・結節、加齢、さらには甲状腺疾患や神経疾患など、様々な病気が隠れている可能性があります。

ご自身の声のかすれがストレスによるものかもしれないと感じたら、まずは十分な睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動、リラクゼーションなどを通じてストレス軽減を図るとともに、喉の乾燥を防ぐケアを行いましょう。

これらのセルフケアを試みても症状が改善しない場合や、症状が長引く(2週間以上)、悪化する、他の気になる症状を伴う場合は、自己判断せずに必ず医療機関(まずは耳鼻咽喉科)を受診してください。早期に原因を特定し、適切な治療を受けることが声の健康を取り戻すために非常に重要です。

声はコミュニケーションの重要なツールです。気になる症状があれば、専門家のサポートを受けながら、安心して日常生活を送れるようにしましょう。

免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。声のかすれにお悩みの方は、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。

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