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セルシンの効果を徹底解説!不安や緊張への作用と注意点

セルシン(ジアゼパム)は、主に心身の緊張や不安を和らげるために処方されるベンゾジアゼピン系と呼ばれるお薬です。
その効果は多岐にわたり、多くの疾患や症状に対して用いられます。
しかし、効果の裏には注意すべき副作用や依存性のリスクも存在します。
この薬剤を安全かつ効果的に使用するためには、その特性や注意点を正しく理解することが非常に重要です。
この記事では、セルシンの主な効果や効能、効果が現れるまでの時間や持続性、注意すべき副作用や依存性のリスク、そして他の抗不安薬との比較や服用上の注意点について詳しく解説します。
セルシンを服用中の方や、処方を検討されている方が、薬剤に対する正しい知識を得て、より安心して治療に臨めるよう、分かりやすく説明していきます。
ただし、ここで提供する情報は一般的なものであり、個々の患者さんの状態は異なります。
必ず医師や薬剤師の指示に従って使用してください。

セルシン 効果

目次

セルシンとは?成分名「ジアゼパム」とベンゾジアゼピン系

ジアゼパムについて

ジアゼパム(Diazepam)は、ベンゾジアゼピン系の代表的な薬剤の一つです。
化学的には、ベンゼン環とジアゼピン環が結合した構造を持ちます。
経口投与後の吸収は比較的速やかで、服用後数十分から数時間で血中濃度がピークに達します。
体内に入ったジアゼパムは、肝臓で代謝を受け、複数の活性代謝物(ノルジアゼパム、テマゼパム、オキサゼパムなど)に変換されます。
これらの活性代謝物も薬効を持つため、ジアゼパムの効果は比較的長く持続します。
特にノルジアゼゼパムは半減期が非常に長く、数日間に及ぶこともあります。
この長い半減期が、セルシンの長時間作用の根拠となっています。
ただし、代謝速度には個人差があり、特に高齢者や肝機能障害のある方では代謝が遅延し、薬剤が体内に蓄積しやすくなるため注意が必要です。

ベンゾジアゼピン系薬剤としての特徴

ジアゼパムを含むベンゾジアゼピン系薬剤は、脳内にあるGABA(ガンマ-アミノ酪酸)という神経伝達物質の働きを強めることで効果を発揮します。
GABAは、脳の神経活動を抑制する「抑制性」の神経伝達物質です。
ベンゾジアゼピン系薬剤は、GABAが結合する受容体(GABA-A受容体)に結合し、GABAの作用が増強されるように働きます。
これにより、神経細胞の興奮が鎮められ、様々な薬理作用が生じます。

ベンゾジアゼピン系薬剤は、作用時間の長さや力価(薬の効き目の強さ)によっていくつかの種類に分けられます。
セルシン(ジアゼパム)は、一般的に作用時間が「長時間型」に分類され、比較的穏やかな効き目を持つとされています。
しかし、用量によっては強力な作用を示すこともあります。
ベンゾジアゼピン系薬剤は、効果が高い一方で、眠気やふらつきといった副作用や、長期連用による依存性の問題も指摘されており、その使用にあたっては医師の慎重な判断と患者さんの正しい理解が不可欠です。

セルシン効果:主な効能と適応症

セルシン(ジアゼパム)は、その多様な薬理作用に基づき、様々な精神症状や身体症状に対して処方されます。
主な効能・効果は以下の通りです。

不安、緊張、抑うつへの効果

セルシンの最も代表的な効果は、不安や緊張を和らげる抗不安作用です。
これは、脳内のGABA神経系の抑制作用が増強されることによって、過剰な神経活動が鎮静されるためです。
神経症における不安・緊張・抑うつ・愁訴、うつ病における不安・緊張に広く用いられます。
例えば、

  • 全般性不安障害: 持続的な不安や心配が続く状態。
  • パニック障害: 突然強い不安に襲われるパニック発作を繰り返す状態。
  • 社交不安障害: 人前での行動に強い不安や緊張を感じる状態。
  • 適応障害: 特定のストレス因が原因で精神症状や行動の変化が生じる状態。
  • 心身症: ストレスが原因で身体的な症状が現れる疾患(胃潰瘍、過敏性腸症候群、高血圧症、頭痛、肩こり、腰痛など)における不安・緊張・抑うつ・愁訴。

これらの疾患や状態に伴う、いらいら、焦燥感、落ち着きのなさ、恐怖感、ゆううつ感といった精神的な症状や、それに伴う身体的な症状(動悸、息苦しさ、発汗、震えなど)の軽減に有効です。
ただし、抑うつそのものに対する効果は限定的であり、主に抑うつに伴う不安や緊張を緩和する目的で使用されます。

筋痙攣への効果

セルシンは、筋肉の過緊張や痙攣を和らげる筋弛緩作用も持っています。
これは、脊髄の介在神経系におけるGABA神経系の抑制作用を高めることで、筋肉への過剰な神経伝達を抑制するためです。
具体的には、

  • 脊髄損傷: 脊髄の損傷によって生じる筋肉のつっぱりや痙攣。
  • 脳性麻痺: 生まれる前や生まれて間もない時期の脳の損傷による運動機能障害に伴う痙攣。
  • 脳血管障害後遺症: 脳卒中などの後遺症として生じる筋肉の硬直(痙縮)。
  • 外傷: 骨折や脱臼などに伴う筋肉の痛みや痙攣。
  • 炎症性疾患: 腰痛症や頸肩腕症候群などにおける筋肉の緊張やこわばり。
  • てんかん: けいれん発作の抑制にも用いられることがあります。(特にジアゼパム静注製剤が救急時に使用されることが多いですが、経口剤も補助的に用いられる場合があります)

これらの状態によって引き起こされる筋肉のつっぱり、こわばり、痛み、動きにくさといった症状の緩和に有効です。
ただし、原因疾患そのものを治すのではなく、症状を和らげる対症療法として用いられます。

麻酔前投与としての効果

手術や検査の前に患者さんの不安や緊張を和らげ、全身麻酔や局所麻酔の効果を補助する目的で、セルシンが麻酔前投与薬として用いられることがあります。
鎮静作用により、患者さんはリラックスした状態で手術や検査を受けることができます。
また、麻酔薬の量を減らすことができる場合もあります。

自律神経への働き

不安や緊張は、動悸、息切れ、発汗、消化器症状(吐き気、下痢、便秘)、めまいといった自律神経系の症状を伴うことがよくあります。
セルシンの抗不安作用や鎮静作用によって心身の緊張が和らぐと、これらの自律神経系のバランスの乱れからくる症状も間接的に改善されることが期待できます。

セルシンは睡眠薬?不眠への効果について

セルシンは強い催眠作用を持つわけではありませんが、その鎮静作用によって眠気を引き起こすことがあります。
また、不安や緊張が原因で眠れない、いわゆる「精神生理性不眠」に対しては、不安や緊張を和らげることで入眠しやすくする効果が期待できます。

ただし、セルシンは不眠症の治療薬として第一選択されることは少なく、主に他の抗不安作用や筋弛緩作用を期待して処方された結果、眠気を催すというケースが多いです。
純粋な睡眠薬として使用する場合は、より催眠作用が強く作用時間の短いベンゾジアゼピン系薬剤や、非ベンゾジアゼピン系薬剤などが選択されるのが一般的です。
セルシンを不眠目的のみで使用する際は、医師と十分に相談し、適切な指示を受けてください。

セルシンの効果時間と持続性

セルシン(ジアゼパム)の効果時間や持続性は、他のベンゾジアゼピン系薬剤と比較して長いことが特徴です。
これは、ジアゼパム自体の半減期が比較的長いことに加え、体内で生成される活性代謝物(特にノルジアゼパム)の半減期が非常に長いためです。

効果が出るまでの時間

セルシン錠を内服した場合、一般的に服用後30分から1時間程度で効果が現れ始めるとされています。
ただし、効果の発現時間には個人差があります。
食事の影響を受けやすい薬剤ではないため、食前・食後どちらに服用しても大きな違いはありませんが、空腹時に服用した方が若干吸収が早い可能性があります。
錠剤を粉砕したり、カプセルを開けて服用したりすると、吸収速度が変わる可能性があるため、特別な指示がない限りはそのまま服用するのが望ましいです。

効果の持続時間(ジアゼパム2mgなど用量別)

ジアゼパムの体内からの消失半減期は、成人で20時間から70時間と非常に幅広く、個人差が大きいです。
特に高齢者や肝機能障害のある方では半減期がさらに長くなる傾向があります。

この長い半減期を持つことから、セルシンの効果は24時間以上にわたって持続すると考えられます。
海外では「ロングアクティング(長時間作用型)」のベンゾジアゼピンとして位置づけられています。
一度服用すると、その効果が翌日まで持ち越されるため、1日1回または1日2回の服用で効果を維持できることが多いです。

用量(例えばジアゼパム2mg、5mg、10mgなど)によって、効果の強さや持続時間、血中濃度のピーク値は変化しますが、半減期そのものが大きく変わるわけではありません。
高用量を服用すれば、より強い効果が長時間持続すると考えられます。
ただし、用量が多いほど副作用が現れやすくなるリスクも高まります。

例えば、2mgを服用した場合でも、体内でゆっくりと代謝され、活性代謝物が長時間にわたって血中に残存するため、効果は長時間持続します。
毎日服用を続けると、薬剤が体内に蓄積していき、一定の血中濃度が保たれる「定常状態」に達します。
この定常状態になるまでには数日から数週間かかることがあり、効果を十分に実感できるようになるまでには時間がかかる場合もあります。
逆に、中止する際も薬剤が体内から完全に消失するまでに時間がかかるため、離脱症状が現れる可能性がある期間も長くなる傾向があります。

セルシンの副作用と依存性

セルシン(ジアゼパム)は有効性の高い薬剤ですが、副作用や長期連用による依存性のリスクが存在します。
これらの可能性について正しく理解しておくことが安全な使用のために不可欠です。

主な副作用について

セルシンで比較的頻繁に見られる副作用は、中枢神経抑制作用に関連したものです。

  • 眠気: 最も一般的な副作用です。
    特に服用開始時や用量を増やした際に現れやすく、日中の活動に影響を与える可能性があります。
  • ふらつき、めまい: 体のバランスを取りにくくなり、転倒のリスクを高めることがあります。
    高齢者では特に注意が必要です。
  • 脱力感、倦怠感: 力が入らない、体がだるいと感じることがあります。
  • 運動失調: 手足の協調運動がうまくいかなくなることがあります。
  • 口渇: 口の中が乾く症状です。
  • 便秘: 腸の動きが抑制されることで生じることがあります。

これらの副作用の多くは、服用を続けるうちに軽減していく傾向がありますが、症状が重い場合や持続する場合は、医師に相談してください。
用量の調整や他の薬剤への変更が必要となることがあります。

まれではありますが、以下のような副作用が現れる可能性もゼロではありません。

  • 肝機能障害: AST(GOT)、ALT(GPT)などの肝酵素の数値が上昇することがあります。
  • 遅発性ジスキネジア: 口の周りがもぐもぐ動く、舌が出るなどの不随意運動が現れることがあります。
    これはベンゾジアゼピン系薬剤では稀ですが、注意が必要です。
  • 奇異反応: 不安や興奮が増強する、攻撃的になる、幻覚が現れるなど、通常とは逆の精神症状が現れることがあります。
    特に小児や高齢者、精神疾患の患者さんで起こりやすいとされています。
    このような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師に連絡してください。

セルシンは癖になりますか?依存性のリスク

セルシンを含むベンゾジアゼピン系薬剤は、長期にわたって(通常は数週間以上、特に数ヶ月以上)連用した場合に、依存性を形成するリスクがあります。
依存性には、精神的依存と身体的依存の二つの側面があります。

  • 精神的依存: 薬の効果によって得られる安心感や快適さに慣れてしまい、「薬がないと落ち着かない」「薬がないと眠れない」と感じるようになる状態です。
  • 身体的依存: 長期間薬を服用していると、体が薬のある状態に慣れてしまい、薬が体内から急に減った際に、様々な不快な症状が現れるようになる状態です。
    これを「離脱症状」といいます。

セルシンは作用時間が長い薬剤ですが、それでも長期連用によって身体的依存が形成される可能性があります。
離脱症状は、不安の増強、不眠、いらいら、焦燥感、発汗、手の震え(振戦)、吐き気、筋肉の硬直や痛み、感覚異常(しびれ、チクチク感)、耳鳴り、めまいなど多岐にわたります。
重症の場合には、けいれんや精神病症状(幻覚、妄想など)が現れることもあります。

依存性のリスクは、服用量が多いほど、また服用期間が長いほど高まります。
しかし、比較的少量であっても、長期間連用すれば依存が生じる可能性はあります。

服用を中止する際の注意点

依存性を形成している可能性がある場合、自己判断で急にセルシンの服用を中止したり、量を大きく減らしたりすることは非常に危険です。
急な中止は、上で述べた離脱症状を強く引き起こす可能性があります。

セルシンを中止したい場合や減量したい場合は、必ず医師と相談し、指示に従って行ってください。
医師は、患者さんの服用期間、服用量、現在の症状などを考慮し、徐々に薬の量を減らしていく(漸減法)計画を立てます。
漸減のペースは、個々の患者さんの状態に合わせて非常にゆっくりと行うことが重要です。
数週間から数ヶ月、場合によってはそれ以上の時間をかけて慎重に減量していくこともあります。

減量中に軽い離脱症状が現れることはありますが、医師の指導のもとであれば適切に対処できます。
不安や症状について遠慮なく医師に伝え、相談しながら進めることが、安全かつスムーズな中止・減量につながります。

他の抗不安薬との比較

抗不安薬にはいくつかの種類があり、それぞれ作用のメカニズムや効果時間、力価、副作用プロファイルなどが異なります。
セルシン(ジアゼパム)を他の抗不安薬と比較することで、その特徴をより深く理解できます。

抗不安薬の強さランキングにおけるセルシンの位置づけ

抗不安薬の「強さ」(力価)は、薬の種類や文献によって評価が異なることがありますが、一般的にベンゾジアゼピン系抗不安薬の中での力価の目安として、ジアゼパム(セルシン)5mgが基準とされることがあります。
この基準と比較して、

  • 力価が強いとされる薬剤: アルプラゾラム(ソラナックス、コンスタン)、ロラゼパム(ワイパックス)、ブロマゼパム(レキソタン)など。
    これらの薬剤は比較的少量で抗不安効果が得られやすい傾向があります。
  • 力価が同程度またはやや弱いとされる薬剤: クロチアゼパム(リーゼ)、エチゾラム(デパス – ベンゾジアゼピン骨格ではないが作用機序は類似)、オキサゾラム(セレナール)など。

セルシン(ジアゼパム)は、力価としては中程度からやや弱めと分類されることが多いですが、作用時間が非常に長いという特徴があります。
そのため、即効性を求めるよりは、長時間にわたって穏やかな抗不安効果を維持したい場合に適しています。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、個人によって薬の効き方や合う合わないは異なります。

ソラナックスやワイパックスとの違い

比較項目 セルシン(ジアゼパム) ソラナックス(アルプラゾラム) ワイパックス(ロラゼパム)
有効成分 ジアゼパム アルプラゾラム ロラゼパム
作用時間 長時間型(半減期が長く、活性代謝物もある) 短時間~中間型 中間型
力価(強さ) 中程度~やや弱め(5mg基準) 比較的強い(ジアゼパムの約10倍の力価とされることも) 中程度~比較的強い(ジアゼパムの約2~3倍の力価とされることも)
効果発現 比較的速やか 速やか 比較的速やか
主な効果 抗不安、鎮静、筋弛緩、抗けいれん 抗不安、鎮静、催眠 抗不安、鎮静、催眠、筋弛緩
適応症 不安・緊張、筋痙攣、麻酔前、てんかん補助など 不安・緊張、パニック障害 不安・緊張、心身症に伴う不安・緊張、麻酔前など
依存性・離脱 長期連用で依存リスク。
作用時間が長いため、比較的穏やかな離脱になる場合もあるが、半減期が長いため離脱期間が長引くこともある。
短期間で依存リスク。
作用時間が短いため、急な中止で強い離脱症状が出やすい。
短期間で依存リスク。
作用時間が短いため、急な中止で離脱症状が出やすい。
代謝 肝臓で代謝(活性代謝物あり) 肝臓で代謝(活性代謝物なし) 肝臓で代謝(抱合される:比較的代謝が安定)

このように、セルシンは作用時間が長く、安定した効果が長時間持続することが大きなメリットです。
一方、ソラナックスやワイパックスは比較的速やかに効果が現れ、不安発作時など頓服薬としても用いられやすい特性があります。
ただし、作用時間が短い薬剤は、効果が切れると同時に離脱症状が出やすいというデメリットもあります。

どの薬剤を選択するかは、患者さんの症状の種類、重症度、経過、他の病気の有無、併用薬、ライフスタイルなどを総合的に考慮して医師が判断します。

セルシンに関する注意点

セルシン(ジアゼパム)を安全に、そして効果的に使用するためには、いくつかの重要な注意点があります。
服用を開始する前や服用中は、必ず医師や薬剤師からの説明をよく聞き、指示を守ることが大切です。

服用時の注意(車の運転、飲酒など)

  • 眠気・注意力・集中力の低下: セルシンは中枢神経抑制作用により、眠気、注意力の低下、集中力の低下、反射運動能力の低下などを引き起こす可能性があります。
    これらの作用は、服用開始時や用量を増やした際に特に顕著に現れることがあります。
    車の運転、機械の操作、高所での作業など、危険を伴う作業に従事することは避けてください。
  • アルコールとの併用: アルコールも中枢神経抑制作用を持ちます。
    セルシンとアルコールを一緒に摂取すると、それぞれの作用が増強され、過度の鎮静、呼吸抑制、意識障害などを引き起こすリスクが著めて高まります。
    セルシン服用中の飲酒は絶対に避けてください。
  • 他の中枢神経抑制薬との併用: 抗うつ薬、抗精神病薬、他の抗不安薬、睡眠薬、麻酔薬、一部の鎮痛薬(オピオイド系)など、他の中枢神経に作用する薬剤と併用すると、過度な鎮静や呼吸抑制のリスクが増加します。
    現在服用している全てのお薬(処方薬、市販薬、サプリメントなども含む)を必ず医師や薬剤師に伝えてください。
  • グレープフルーツジュース: グレープフルーツジュースは、一部の薬剤の代謝酵素(CYP3A4)の働きを阻害することが知られています。
    ジアゼパムの代謝も影響を受ける可能性があり、血中濃度が上昇して作用が強く出すぎたり、副作用が現れやすくなったりする可能性があります。
    セルシン服用中はグレープフルーツジュースの摂取を控えることが推奨されます。

妊娠中・授乳中の服用

  • 妊娠中: 妊娠中にセルシンを服用すると、胎児に影響を与える可能性が指摘されています。
    妊娠初期の服用で、口唇裂や口蓋裂といった先天異常のリスクが高まる可能性が示唆された報告があります(ただし、明確な因果関係は確立されていません)。
    また、妊娠後期に連用した場合、生まれた新生児に「新生児離脱症候群」(振戦、過緊張、哺乳力低下など)や「フロッピーインファント症候群」(筋緊張低下、呼吸抑制など)が現れる可能性があります。
    妊娠している可能性のある方、または妊娠を希望される方は、必ず医師にその旨を伝えてください。治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ慎重に投与されますが、可能な限り避けるべきとされています。
  • 授乳中: セルシン(ジアゼパム)は母乳中に移行することが知られています。
    母乳を介して乳児が薬剤を摂取すると、乳児に傾眠(眠くてうとうとしている状態)、体重増加不良などが現れる可能性があります。
    授乳中の方は、授乳を中止するか、薬剤の服用を中止するかのどちらかを検討する必要があります。必ず医師と相談し、指示に従ってください。

高齢者の服用について

高齢者では、若い成人に比べて薬の代謝や排泄機能が低下していることが多く、セルシン(ジアゼパム)が体内に蓄積しやすくなる傾向があります。
これにより、薬の作用が強く出すぎたり、副作用(特に眠気、ふらつき、運動失調など)が現れやすくなったりするリスクが高まります。
転倒による骨折のリスクも無視できません。

そのため、高齢者にセルシンを処方する際は、少量から開始し、患者さんの状態を慎重に観察しながら必要に応じて用量を調整するなど、よりきめ細かい配慮が必要です。
ご自身が高齢者である場合や、高齢の家族がセルシンを服用している場合は、医師や薬剤師から指示された用量や回数を厳守し、副作用のサインに注意することが重要です。
不安な点があれば、遠慮なく医療機関に相談してください。

セルシンの処方について

セルシン(ジアゼパム)は、医師の診察と処方が必要は「医療用医薬品」です。
これは、薬の効果が高い一方で、副作用や依存性などのリスクがあり、専門的な知識を持つ医師の管理のもとで使用されるべき薬剤であることを意味します。

病院での処方

セルシンを必要とする症状(不安、緊張、筋痙攣など)がある場合、精神科、心療内科、神経内科、整形外科、内科など、様々な診療科の医師が診断を行い、必要性を判断した上で処方箋を発行します。
処方箋を受け取ったら、調剤薬局で薬剤師がその処方箋に基づいて薬を調剤し、患者さんに渡します。
この際、薬剤師は薬の効果、副作用、飲み方、注意点などについて詳しく説明を行います。

薬局やドラッグストアなどで、医師の処方箋なしにセルシンを購入することはできません。
また、個人輸入代行業者などを介して海外から入手する行為は、偽造品や品質の保証されていない製品のリスク、健康被害、適切な医療管理を受けられないといった非常に大きな危険を伴います。
必ず日本の医療機関を受診し、正規のルートで処方を受けてください。

最近では、精神科や心療内科のオンライン診療も普及してきており、症状によってはオンラインで医師の診察を受け、セルシンを含む抗不安薬の処方を受けることができる場合もあります。
通院が困難な場合や、まず相談してみたいという場合には、こうしたオンライン診療の選択肢も検討できます。
ただし、オンライン診療にも向き不向きがあり、症状によっては対面診療が必要となることもあるため、利用する医療機関の方針を確認することが重要です。

セルシンは、あくまで現在の症状を和らげるための対症療法として用いられることが多い薬剤です。
症状の根本原因に対処するためには、薬物療法だけでなく、精神療法(認知行動療法など)やリハビリテーションなどを併せて行うことが有効な場合もあります。
医師は、患者さんの全体的な状態を評価し、最も適切な治療計画を提案します。

まとめ:セルシン効果の正しい理解と安全な使用

セルシン(ジアゼパム)は、不安や緊張、筋痙攣など、様々な症状に対して有効なベンゾジアゼピン系薬剤です。
その効果は、脳内のGABA神経系の働きを強めることによってもたらされ、比較的速やかに現れ、長時間持続するという特徴があります。

しかし、セルシンは効果が高い一方で、眠気やふらつきといった副作用、そして長期連用による依存性のリスクが存在する薬剤です。
特に依存性については、自己判断での急な中止が離脱症状を引き起こす危険があるため、十分な注意が必要です。

セルシンの安全かつ効果的な使用のためには、以下の点を常に意識することが重要です。

  • 必ず医師・薬剤師の指示を守る: 用量、服用回数、服用期間など、全て医師の指示通りに行ってください。
    自己判断で量を変えたり、急に中止したりしないでください。
  • 副作用に注意する: 眠気、ふらつき、脱力感などの副作用が現れた場合は、車の運転や危険な作業を避け、症状が続く場合は医師に相談してください。
  • 依存性のリスクを理解する: 長期連用には依存性のリスクがあることを理解し、漫然と使い続けないように、定期的に医師と使用継続の必要性について話し合ってください。
  • 併用薬・飲酒に注意する: 他の薬剤やアルコールとの併用は、副作用を増強させるリスクがあります。
    服用中の全てのお薬や飲酒の習慣について医師に正確に伝えてください。
  • 特定の状況下での服用: 妊娠中・授乳中の方、高齢者の方は、特に慎重な対応が必要です。
    必ず医師に該当する旨を伝えてください。

セルシンは、適切に使用すれば、つらい症状を和らげ、日常生活の質を改善するために非常に役立つ薬剤です。
しかし、その特性を理解し、リスクを避けながら使用することが何よりも大切です。
不安なことや疑問点があれば、遠慮なく医師や薬剤師に相談し、最善の治療方法を共に見つけていきましょう。

免責事項: 本記事の情報は一般的な知識を提供するものであり、個々の症状に対する医学的なアドバイスや診断、治療法の推奨を行うものではありません。
薬剤の使用に関しては、必ず医師や薬剤師の専門的な判断と指導に従ってください。
本情報の利用によって生じたいかなる結果についても、当社は一切の責任を負いかねます。

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