怖い夢を見て、思わず大声で叫んで起きてしまう経験はありませんか?
夜中に突然覚醒し、心臓がバクバクしている、息が荒い、怖いイメージが頭に残っている、といった状態は、体験した本人だけでなく、一緒に寝ている家族にとっても不安なものです。
この現象は、単なる嫌な夢とは少し異なり、睡眠中の特定の状態や、心身の状態が影響している可能性があります。
なぜ、怖い夢を見て叫んで起きてしまうのでしょうか?
これは一時的なものなのか、それとも何か病気のサインなのでしょうか?
この記事では、「怖い夢を見て叫んで起きてしまう」という現象の原因や、関連する可能性のある睡眠障害、そして自分でできる対処法や、専門機関に相談すべきタイミングについて詳しく解説します。
あなたの不安を少しでも解消し、安心して眠りにつけるための一歩を踏み出すお手伝いができれば幸いです。
気になる方はぜひ最後までチェックしてください。
怖い夢を見て叫んで起きる原因とは
怖い夢を見て叫んで起きてしまう現象は、睡眠中の脳と体の状態が複雑に関わり合って起こります。
これは、単に「嫌な夢を見たから」という単純な理由だけではなく、様々な要因が影響していると考えられます。
ストレスや不安が睡眠に与える影響
私たちの心身は、日中に受けたストレスや抱える不安に大きく影響されます。
過度なストレスや解消されない不安は、自律神経のバランスを乱し、睡眠の質を低下させることが知られています。
特に、レム睡眠中に見ることの多い「悪夢」は、日中の心理的な出来事や感情と深く結びついていると考えられています。
仕事でのプレッシャー、人間関係の悩み、将来への不安、過去のトラウマなどが、夢の中で恐怖や脅威として具現化され、悪夢となって現れることがあります。
また、ストレスや不安は、睡眠中の覚醒閾値(どれくらいの刺激で目が覚めるか)を低下させる可能性があります。
これにより、怖い夢の内容に反応して、通常よりも強く脳が覚醒し、叫ぶといった行動や、急激な覚醒を伴うと考えられます。
精神的なストレスだけでなく、身体的なストレス(疲労、体調不良、病気など)も睡眠の質を低下させ、悪夢を見やすくする要因となります。
生活習慣の乱れが睡眠リズムを崩す
規則正しく健康的な生活習慣は、良質な睡眠を維持するために不可欠です。
しかし、現代社会では、多忙な生活や娯楽の多様化により、生活習慣が乱れがちです。
- 睡眠不足や不規則な睡眠時間: 睡眠時間が足りなかったり、寝る時間や起きる時間が毎日バラバラだったりすると、体内時計が乱れ、睡眠の質が低下します。
特に、睡眠不足が続くと、睡眠の深い段階であるノンレム睡眠や、夢を見るレム睡眠のバランスが崩れやすくなります。 - 寝る直前の行動: 寝る直前にカフェインを摂取したり、アルコールを飲んだり、スマートフォンやパソコンのブルーライトを浴びたりすることは、脳を覚醒させてしまい、寝つきを悪くしたり、睡眠を浅くしたりします。
浅い睡眠中や不安定な睡眠中に、脳が不十分な覚醒を起こし、怖い夢やそれに伴う行動を引き起こす可能性が考えられます。 - 運動不足または過度な運動: 適度な運動は睡眠の質を高めますが、寝る直前の激しい運動は交感神経を活発にし、寝つきを悪くすることがあります。
逆に運動不足も、日中の活動量が少ないことで睡眠の質を低下させる原因となり得ます。 - 食生活の乱れ: 不規則な食事時間や、寝る直前の重い食事も胃腸に負担をかけ、快適な睡眠を妨げることがあります。
これらの生活習慣の乱れは、睡眠の安定性を損ない、怖い夢を見たり、睡眠中に異常な行動(叫ぶ、手足を動かすなど)を起こしやすくする要因となります。
特定の薬やアルコールが睡眠に与える影響
私たちが日常的に服用している薬の中には、睡眠の質や夢の内容に影響を与えるものがあります。
また、アルコールやその他の物質も、睡眠中の脳の活動を変化させ、怖い夢や異常な行動を引き起こす可能性があります。
- 特定の薬: 抗うつ薬、抗不安薬、降圧薬(特にベータ遮断薬)、パーキンソン病治療薬、ステロイドなど、様々な種類の薬が悪夢を誘発したり、睡眠中の行動異常(特にレム睡眠行動障害のような症状)を引き起こしたりすることが報告されています。
これらの薬は、脳内の神経伝達物質に作用したり、自律神経に影響を与えたりすることで、睡眠のメカニズムに変化をもたらすと考えられています。 - アルコール: アルコールは一時的に寝つきを良くするように感じることがありますが、睡眠の後半には覚醒を増やし、睡眠を分断させます。
また、レム睡眠を抑制する作用があり、アルコールが分解されるとレム睡眠がリバウンドして増えるため、悪夢を見やすくなると言われています。
大量のアルコール摂取は、睡眠時無呼吸症候群を悪化させる可能性もあり、これも睡眠中の覚醒や異常行動の原因となり得ます。 - カフェインとニコチン: カフェインは覚醒作用があり、寝る前に摂取すると寝つきが悪くなり、睡眠が浅くなります。
ニコチンも同様に覚醒作用があり、さらに禁煙中の離脱症状として悪夢を見やすくなることがあります。 - 違法薬物: 覚せい剤やLSDなどの違法薬物は、脳に深刻な影響を与え、幻覚や妄想、極端な悪夢、睡眠障害を引き起こす可能性があります。
もし、特定の薬を服用し始めてから怖い夢を見て叫んで起きるようになった場合や、飲酒や喫煙習慣がある場合は、これらが原因である可能性も考慮する必要があります。
自己判断せず、医師や薬剤師に相談することが重要です。
これらの原因は単独で作用することもあれば、複数組み合わさって現象を引き起こすこともあります。
次に、この「怖い夢で叫んで起きる」という現象が、何らかの病気と関連している可能性について見ていきましょう。
怖い夢で叫んで起きる現象は病気?
怖い夢を見て叫んで起きてしまう現象は、多くの場合、日中のストレスや生活習慣の乱れなどによって一時的に起こることが多いです。
しかし、その頻度が高かったり、症状が重かったり、特定の行動を伴う場合は、何らかの睡眠障害のサインである可能性も考えられます。
睡眠障害は多岐にわたりますが、怖い夢に関連し、叫ぶといった行動を伴うものとして、主に以下の3つが挙げられます。
考えられる睡眠障害の種類
怖い夢や睡眠中の叫びに関連する代表的な睡眠障害には、悪夢障害、レム睡眠行動障害、睡眠時驚愕症(夜驚症)があります。
これらはそれぞれ、睡眠のどの段階で起こるか、どのような症状が現れるか、覚醒後の記憶があるかなど、特徴が異なります。
悪夢障害とは
悪夢障害は、恐ろしくて不安な夢の内容によって繰り返し覚醒してしまう睡眠障害です。
- 特徴:
- 主にレム睡眠中に起こります。
レム睡眠は脳が活発に活動し、鮮明な夢を見やすい段階です。 - 夢の内容は非常に恐ろしく、身の危険を感じるようなものが多く、鮮明に覚えています。
- 夢から覚めると、すぐに覚醒し、夢の内容を詳細に語ることができます。
- 夢の内容に対する恐怖や不安が強く残り、再び眠りにつくのが難しくなることがあります。
- 叫ぶというよりは、恐怖のあまり声が出てしまったり、泣き叫んだりすることがあります。
- 小児期に多く見られますが、成人でも発症することがあります。
- 主にレム睡眠中に起こります。
- 原因: ストレス、不安、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、特定の薬剤(抗うつ薬など)、睡眠不足などが関連していると考えられています。
- 診断: 繰り返し悪夢を見て、それによって著しい苦痛を感じたり、日中の機能(集中力、気分など)に支障をきたしている場合に診断されます。
- 治療: ストレスの軽減、睡眠習慣の改善、心理療法(特にイメージリハーサル療法:悪夢の内容を書き換える認知行動療法)、必要に応じて薬物療法が行われることがあります。
レム睡眠行動障害とは
レム睡眠行動障害(RBD)は、通常、夢を見ているレム睡眠中に体の筋肉が弛緩しないために、夢の内容に反応して実際に体を動かしたり、声を出したりしてしまう睡眠障害です。
- 特徴:
- レム睡眠中に起こります。
- 夢の内容は攻撃的、暴力的であることが多く、それに合わせて叫ぶ、怒鳴る、手足を振り回す、飛び起きるといった行動が見られます。
- 夢の内容と行動が一致していることが多いです(例:「襲われた夢を見て、抵抗するために手足を動かした」)。
- 覚醒すると、夢の内容や直前の行動を比較的鮮明に覚えていることが多いです。
- 主に中高年の男性に多く見られますが、女性や若年者でも起こることがあります。
- この障害は、パーキンソン病やレビー小体型認知症などの神経変性疾患と関連があることが知られており、これらの疾患の初期症状として現れることがあります。
- 原因: 原因不明な一次性のものと、神経変性疾患や特定の薬剤、ナルコレプシーなどに伴う二次性のものがあります。
- 診断: 睡眠ポリグラフ検査(PSG)でレム睡眠中の筋活動の亢進が確認されることや、特徴的な行動症状によって診断されます。
- 治療: 安全確保(寝室の環境整備、危険物の除去など)が最も重要です。
薬物療法(クロナゼパムなど)が有効なことが多いです。
睡眠時驚愕症(夜驚症)とは
睡眠時驚愕症(夜驚症)は、ノンレム睡眠中に突然、恐怖様症状を伴って覚醒し、大声で叫んだり、泣き叫んだり、パニック状態になったりする睡眠障害です。
- 特徴:
- 主にノンレム睡眠中の深い眠り(ステージ3・4)で起こります。
睡眠開始から1~2時間後に起こることが多いです。 - 突然起き上がり、大声で叫ぶ、泣き叫ぶ、震える、汗をかく、心拍数や呼吸数が増加するといった強い恐怖やパニックのサインを示します。
- 目を開けていることがありますが、周囲の呼びかけには反応せず、意識がはっきりしない状態です。
- 数分から十数分続き、その後再び眠りにつくことが多いです。
- エピソード中の出来事や夢の内容をほとんど覚えていません。
- 主に幼児期や学童期の子どもに多く見られ、思春期以降は自然に消失することがほとんどですが、成人でも稀に発症することがあります。
- 悪夢とは異なり、夢の内容よりも「パニック状態になる」という行動自体が特徴です。
- 主にノンレム睡眠中の深い眠り(ステージ3・4)で起こります。
- 原因: 遺伝的要因、睡眠不足、発熱、ストレスなどが誘因となると考えられています。
ノンレム睡眠からの覚醒が不十分な状態(覚醒障害)であると考えられています。 - 診断: 特徴的な臨床症状と、必要に応じて睡眠日誌や睡眠ポリグラフ検査の結果から診断されます。
- 治療: 小児の場合はほとんどの場合、自然に改善するため特別な治療は不要ですが、睡眠不足の解消や規則正しい生活が推奨されます。
成人の場合や症状が重い場合は、誘因の除去や薬物療法が検討されることがあります。
睡眠障害の比較表
これら3つの睡眠障害の主な違いを、以下の表にまとめました。
特徴 | 悪夢障害 | レム睡眠行動障害 | 睡眠時驚愕症(夜驚症) |
---|---|---|---|
起こる睡眠段階 | レム睡眠 | レム睡眠 | ノンレム睡眠(深い眠り) |
発症しやすい年齢 | 小児〜成人 | 中高年男性に多い(他も起こりうる) | 幼児期〜学童期に多い(成人稀) |
主な症状 | 恐ろしい夢による覚醒 | 夢に反応した叫び、行動(手足の動き、飛び起きる) | 突然の叫び、泣き叫び、パニック、混乱、暴れる |
覚醒後の記憶 | 夢の内容を鮮明に覚えている | 夢の内容や行動を比較的覚えている | エピソード中の出来事をほとんど覚えていない |
覚醒時の意識 | 覚醒して意識がはっきりしている | 覚醒して比較的意識がはっきりしている | 意識がはっきりせず、呼びかけに反応しにくい |
再度眠りにつくこと | 恐怖や不安で難しい場合がある | 比較的容易 | エピソード後は自然に眠りにつくことが多い |
関連する病気 | ストレス、不安、PTSD、薬剤 | 神経変性疾患(パーキンソン病、レビー小体型認知症) | 遺伝、睡眠不足、発熱、ストレス(覚醒障害) |
叫ぶ | 恐怖のあまり声が出たり、泣き叫んだりすることはある | 夢の内容に合わせて叫ぶ、怒鳴る(行動の一部) | 突然大声で叫ぶ、泣き叫ぶ(主要症状の一つ) |
病気かどうかを見分けるポイント
怖い夢を見て叫んで起きるという現象が、単なる一時的なものなのか、それとも上記のいずれかの睡眠障害のサインなのかを見分けるためには、いくつかのポイントに注目することが重要です。
- 頻度と持続期間: どのくらいの頻度で現象が起こるか(例: 週に数回、毎晩など)や、それがどれくらいの期間続いているか。
一時的なストレスや体調不良であれば数日で改善することが多いですが、長期にわたって続く場合は注意が必要です。 - 症状の程度: 叫び声の大きさ、暴れるなどの行動の激しさ。
特に、自分や同居人が怪我をする可能性があるような危険な行動(ベッドから落ちる、壁にぶつかる、物を壊すなど)を伴う場合は、レム睡眠行動障害などの可能性が高まり、早期の受診が必要です。 - 覚醒後の状態: 夢の内容を鮮明に覚えているか(悪夢障害、レム睡眠行動障害)、ほとんど覚えていないか(睡眠時驚愕症)。
また、覚醒後にすぐに意識がはっきりするか、しばらく混乱したり、パニックが続いたりするか。 - 日中の影響: 睡眠中の出来事によって、日中に強い疲労感、眠気、集中力の低下、気分の落ち込みなどを感じているか。
睡眠の質が著しく損なわれているサインです。 - その他の症状: 不安や抑うつ、日中の過度な眠気、足がむずむずする、いびきがひどいなど、他の睡眠に関する症状や精神的な症状を伴っているか。
- 発症年齢: 成人になってから、以前はなかった叫びや行動を伴う夢を見るようになった場合は、レム睡眠行動障害などの可能性を考慮する必要があります。
特に中年以降の男性で、激しい夢見を伴う体動や発声がある場合は、神経変性疾患との関連も視野に入れる必要があります。
これらのポイントを総合的に判断し、もし心配な点がある場合や、症状が生活に支障をきたしている場合は、専門機関に相談することを検討しましょう。
自己診断は難しいため、専門家の意見を聞くことが最も重要です。
怖い夢を見て叫んで起きる場合の対処法
怖い夢を見て叫んで起きる状態が続く場合、原因の特定と適切な対処が必要です。
病気と関連している場合は医療的な介入が必要ですが、まずは日常生活の中で実践できるセルフケアを試みることも有効です。
日常で実践できるセルフケア
病気ではない場合や、病気と診断された場合でも、日常生活の改善は症状の緩和に役立ちます。
- 睡眠環境の整備:
- 寝室は暗く、静かで、快適な温度・湿度(一般的に温度は20℃前後、湿度は50%前後が良いとされています)に保ちましょう。
- 寝具は自分に合った快適なものを選びましょう。
- 寝室は寝るためだけの場所にし、仕事や趣味のものを置かないように心がけましょう。
- 規則正しい生活リズム:
- 毎日ほぼ同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように努めましょう。
休日も平日との差を1~2時間以内にとどめるのが理想です。 - 体内時計を整えるために、朝起きたらすぐに太陽の光を浴びましょう。
- 毎日ほぼ同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように努めましょう。
- 寝る前のルーティン:
- 寝る前にリラックスできる習慣を取り入れましょう。
温かいお風呂に入る(寝る1~2時間前が効果的)、軽い読書、穏やかな音楽を聴く、アロマテラピー、ストレッチ、軽い瞑想などがおすすめです。 - 寝る直前のカフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなど)やアルコールの摂取は避けましょう。
- 寝る直前の喫煙も避けましょう。
- スマートフォンやパソコンなどの使用は、ブルーライトが脳を覚醒させるため、寝る1時間前までには終えましょう。
- 寝る前に怖いテレビ番組や映画を見る、刺激的なニュースに触れるといったことも避けましょう。
- 寝る前にリラックスできる習慣を取り入れましょう。
- ストレスマネジメント:
- 日中に感じたストレスや不安を解消する方法を見つけましょう。
趣味に没頭する、友人や家族と話す、ジャーナリング(書き出す)などが有効です。 - リラクセーション法(腹式呼吸、筋弛緩法など)を学び、実践することも役立ちます。
- 軽い運動を定期的に行いましょう。
ただし、寝る直前は避けましょう。
- 日中に感じたストレスや不安を解消する方法を見つけましょう。
- 悪夢への対処法(イメージリハーサル療法 – IPT):
- 悪夢の内容を詳細に書き出し、その悪夢を「ハッピーエンド」や「怖くないストーリー」に書き換えます。
- 寝る前に、書き換えた新しいストーリーを頭の中で繰り返し思い描く練習をします。
これにより、悪夢の内容や感情的な反応を変えることを目指します。
これは悪夢障害に対して効果が示されている認知行動療法の一つです。
これらのセルフケアは、睡眠全体の質を高め、悪夢や睡眠中の異常行動を誘発する要因を減らすのに役立ちます。
ただし、これらの方法を試しても改善が見られない場合や、症状が悪化する場合は、専門家の助けを借りる必要があります。
病院など専門機関への相談タイミング
怖い夢を見て叫んで起きるという現象が続く場合、以下のような状況では積極的に専門機関への相談を検討しましょう。
- 頻度が高い: 週に数回以上、または毎晩のように症状が起こる場合。
- 症状が重い: 叫び声が非常に大きい、激しい体動や暴れる行動を伴う場合。
- 危険を伴う: 睡眠中の行動で自分や同居人が怪我をしたり、物を壊したりする危険がある場合。
- 日中の生活に支障がある: 睡眠不足による強い疲労感、日中の耐えられない眠気、集中力の低下、学業や仕事への影響がある場合。
- 精神的な苦痛が大きい: 睡眠中の恐怖や覚醒後の不安によって、眠ること自体が怖くなり、精神的に参ってしまっている場合。
- セルフケアで改善が見られない: 上記のセルフケアを一定期間(例えば数週間〜1ヶ月)試しても症状が変わらない、あるいは悪化する場合。
- 他の症状を伴う: いびきがひどい、呼吸が止まる(睡眠時無呼吸症候群の可能性)、足がむずむずする、日中の過度な眠気(ナルコレプシーなどの可能性)、抑うつや強い不安感など、他の気になる症状がある場合。
- 成人してから発症した、または発症年齢に疑問がある: 特に中年以降になってから、これまでにないレム睡眠行動障害のような症状が出始めた場合は、神経変性疾患の可能性も考慮し、精密検査が必要になることがあります。
何科を受診すべきか
怖い夢や睡眠中の異常行動について相談する場合、以下の診療科が考えられます。
- 精神科/心療内科: ストレス、不安、うつ病、PTSDなど、精神的な要因が悪夢や睡眠障害の原因となっている場合。
また、悪夢障害や睡眠時驚愕症などの治療経験が豊富な場合があります。 - 睡眠外来/睡眠センター: 睡眠障害全般を専門的に扱っている医療機関です。
睡眠ポリグラフ検査などの精密検査が可能で、様々なタイプの睡眠障害に対して専門的な診断と治療を受けることができます。
レム睡眠行動障害の診断には睡眠ポリグラフ検査が必須となることが多いです。 - 神経内科: レム睡眠行動障害など、脳神経系の疾患と関連が疑われる場合に相談を検討します。
まずはかかりつけ医に相談し、適切な専門医を紹介してもらうのも良いでしょう。
症状や状況を詳しく伝えるために、いつ頃から始まったか、どれくらいの頻度か、どのような症状(叫ぶ、動くなど)か、覚えているか、日中の状態などを記録した「睡眠日誌」をつけておくと、診察の際に役立ちます。
夢占いが示す叫ぶ夢の意味
医学的な観点からは、怖い夢を見て叫んで起きる現象は、睡眠状態や心身の健康状態の表れとして捉えられます。
しかし、古くから夢には様々な意味があると信じられており、「夢占い」という視点から叫ぶ夢の意味を解釈することもあります。
ここでは、夢占いの一般的な解釈をいくつか紹介しますが、これらは科学的根拠に基づくものではないことを理解しておきましょう。
恐怖や不安の解放を示す叫ぶ夢
夢占いにおいて、「叫ぶ」という行為は、抑圧された感情やストレスの解放を象徴することがあります。
現実世界では言えずに溜め込んでいる感情、特に恐怖、不安、怒りなどが、夢の中で「叫ぶ」という形で外に発散されていると解釈されることがあります。
この解釈では、夢の中で叫ぶことは、必ずしもネガティブなサインではなく、むしろ心理的な負担を軽減しようとする自己防衛のメカニズムと捉えることもできます。
夢の中で思いっきり叫ぶことで、現実世界でのストレスや不安が軽減される方向に向かう可能性を示唆している、と考えることもできます。
特に、夢の中で叫んでスッキリした、恐怖から解放された、といったポジティブな感情を伴う場合は、心の中の重荷が取り除かれつつあるサインだと解釈されることがあります。
ストレスを暗示する叫ぶ夢
一方で、叫ぶ夢が、現実世界での強いストレスや精神的なプレッシャーを直接的に反映していると解釈されることもあります。
夢の中で叫んでも声が出ない、誰にも届かない、といった状況の場合は、自分の置かれた状況に対する無力感や孤立感、伝えたいことが伝わらないもどかしさなどを暗示していると考えられます。
また、叫び声が誰かを呼んでいる場合、助けを求めている心理状態や、誰かに頼りたい、支えてほしいという願望の表れと解釈されることもあります。
繰り返し同じような叫ぶ夢を見る場合は、解消されていない根深いストレスやトラウマ、あるいは無視できない問題が存在している可能性を示唆していると考えることができます。
夢占いはあくまで心理的な解釈の一つであり、科学的な診断や治療の代わりにはなりません。
しかし、夢の内容を通して、自分がどのような感情やストレスを抱えているのかを振り返るきっかけにするのは良いかもしれません。
もし、怖い夢や叫ぶ夢が頻繁で、強い苦痛を感じる場合は、医学的なアプローチ(睡眠障害の専門家や精神科医への相談)を優先することが重要です。
まとめ|怖い夢で叫んで起きる状態が続く場合は専門家へ
怖い夢を見て叫んで起きてしまう現象は、多くの人が経験し得るものであり、一時的なストレスや生活習慣の乱れが原因であることが少なくありません。
しかし、その背景には、悪夢障害、レム睡眠行動障害、睡眠時驚愕症といった特定の睡眠障害が隠れている可能性もゼロではありません。
この記事では、怖い夢を見て叫んで起きる原因として、ストレスや不安、生活習慣の乱れ、特定の薬やアルコールの影響を解説しました。
また、関連する睡眠障害の種類(悪夢障害、レム睡眠行動障害、睡眠時驚愕症)とその特徴、病気かどうかを見分けるポイントについても詳しく触れました。
これらの睡眠障害は、それぞれ異なる睡眠段階で起こり、症状や覚醒後の記憶に違いがあります。
特にレム睡眠行動障害は、特定の神経変性疾患と関連がある場合があり、注意が必要です。
対処法としては、睡眠環境の整備、規則正しい生活リズム、寝る前のリラクセーション、ストレスマネジメントなど、日常で実践できるセルフケアが有効であることを紹介しました。
これらのセルフケアは、多くのケースで症状の緩和に役立ちます。
しかし、症状の頻度が高く、重症である場合、自分や周囲の人に危険が及ぶ可能性がある場合、または日中の生活に支障をきたしている場合、あるいはセルフケアを試しても改善が見られない場合は、迷わず精神科、心療内科、睡眠外来などの専門機関に相談することが最も重要です。
専門家による正確な診断と、状態に合わせた適切なアドバイスや治療を受けることで、症状の改善や安心して眠れる日々を取り戻すことができます。
夢占いの観点から叫ぶ夢の意味に触れましたが、これは心理的な側面の理解の一助とする程度に留め、医学的な問題が疑われる場合は必ず専門家の判断を仰ぐようにしましょう。
睡眠は心身の健康にとって非常に大切です。
怖い夢やそれに伴う現象に一人で悩まず、必要であれば専門家のサポートを得て、質の高い睡眠を目指しましょう。
免責事項: この記事は情報提供を目的としており、医療的なアドバイスや診断を提供するものではありません。
個別の症状や状態については、必ず医師や専門家にご相談ください。
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