焦るとパニックになる症状に悩んでいませんか?
仕事で締め切りが近づくと心臓がバクバクしたり、人前での発表で頭が真っ白になったり。こうした「焦り」がエスカレートして、どうしようもなく不安になったり、体調に異変を感じたりする場合、それは単なる気の持ちようではなく、何らかの病気のサインかもしれません。この記事では、焦りがパニックにつながる背景にある原因、考えられる病気の種類、自分でできる対処法、そして専門家への相談目安について詳しく解説します。「焦るとパニックになる」という悩みを抱えている方が、ご自身の状態を理解し、適切な一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。
日常的に誰もが経験する「焦り」。これは、目標達成に向けて時間がない、予期せぬ出来事が起きた、困難な状況に直面した、といった際に生じる感情です。適度な焦りは集中力を高め、行動を促す原動力にもなり得ます。
しかし、その焦りが度を超え、心身に強い不調をもたらす場合、それは単なる感情の揺れ動き以上の意味を持つかもしれません。特に、「焦るとパニックになる」という状態は、身体の警告サインである可能性が考えられます。
焦りやパニックが引き起こす症状
「焦るとパニックになる」というとき、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。これは人によって、また状況によって様々ですが、主に以下のような症状が組み合わさって現れることが多いです。
精神的な症状
強い不安感、恐怖感(「このままどうにかなってしまうのではないか」「死んでしまうかもしれない」といった破滅的な考え)
思考力の低下、頭が真っ白になる
集中力の欠如
落ち着きのなさ、そわそわする
イライラ、怒りっぽくなる
現実感の喪失(自分が自分ではないような感覚、周囲が現実ではないような感覚)
身体的な症状
動悸、心拍数の増加
呼吸が速くなる、息苦しさ、過呼吸
めまい、ふらつき
吐き気、腹部の不快感
発汗、手足の震え
手足のしびれやピリピリ感
胸の痛みや圧迫感
寒気、または暑さ
筋肉の緊張、体のこわばり
これらの症状が、特定の状況(例えば、大勢の前で話す時、時間に追われている時、満員電車の中など)で突然、あるいは徐々に現れ、強い苦痛や困難を引き起こします。多くの場合、症状は短時間で収まりますが、「また起きたらどうしよう」という予期不安につながり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
「焦燥感」とは?病気との関連性
「焦燥感(しょうそうかん)」も、「焦り」や「パニック」と関連して語られることが多い言葉です。焦燥感とは、文字通り「焦って落ち着かない」「そわそわしていても立っていられない」といった、不快な落ち着きのなさや、強い焦りを伴う精神状態を指します。
焦燥感は、単なる一時的な焦りとは異なり、比較的持続したり、理由もなく現れたりすることがあります。例えば、
- 何もしていないのに、体の中がざわざわして落ち着かない
- 一つの場所にじっとしていることが苦痛
- 絶えず何かをしていないと不安になる
- 考えがまとまらず、堂々巡りになる
といった状態です。
この焦燥感は、後述するような精神疾患、特にうつ病、不安障害、双極性障害などの症状の一つとして現れることがあります。また、甲状腺機能亢進症のような身体疾患でも見られることがあります。
つまり、「焦燥感」は、より病的で持続的な「焦り」の状態であり、これが極限まで高まった際に「パニック」に近い状態、あるいは精神運動興奮と呼ばれる強い落ち着きのなさと衝動的な言動につながる可能性もゼロではありません。焦燥感が頻繁に起こったり、長く続いたりする場合は、その背景に病気が隠れている可能性を検討する必要があります。
焦るとパニックになる主な原因と背景
焦りがパニックにつながる背景には、様々な要因が絡み合っています。大きく分けて、精神的な要因、身体的な要因、そしてストレスや環境による要因が考えられます。
精神的な要因による病気
焦りやパニック発作は、特定の精神疾患の主要な症状として現れることがよくあります。以下に、焦るとパニックになることと関連が深い主な精神疾患を挙げます。
パニック障害
パニック障害は、「パニック発作」を特徴とする病気です。パニック発作とは、突然、強い不安や恐怖とともに、動悸、息苦しさ、めまい、吐き気などの身体症状がピークに達するものです。多くの場合、発作は予期せず起こりますが、特定の状況(人混み、電車の中など)や、過去に発作が起きた場所や状況を恐れるようになり(広場恐怖)、そうした状況を避けるようになることがあります。
パニック障害の人は、発作が起きそうな状況や、過去に発作が起きた状況で強い「予期不安」を感じます。この予期不安が、「またパニック発作が起きたらどうしよう」という「焦り」や恐怖心をさらに募らせ、実際に発作を引き起こす引き金になることがあります。「焦るとパニックになる」という症状は、パニック障害における予期不安や、発作そのものの兆候として現れている可能性があります。
不安障害(全般性不安障害など)
不安障害は、過剰な不安や心配が持続し、日常生活に支障をきたす病気の総称です。その中でも「全般性不安障害」は、特定の対象や状況だけでなく、様々なこと(仕事、家族、健康、将来など)に対して、コントロールできないほどの過剰な心配や不安が持続することを特徴とします。
全般性不安障害の人は、常に何かに対して心配したり、悪い結果を想像したりしているため、慢性的な「焦り」や緊張感を抱えています。些細なことでも過剰に反応し、不安が高まると動悸や発汗などの身体症状が現れることもあります。強いストレスや予期せぬ出来事が起こった際に、この慢性的な焦りや不安が一気に高まり、「パニック」に近い状態になることがあります。
この他の不安障害として、特定の対象や状況に対する強い恐怖(例:高所恐怖、閉所恐怖)がある「特定の恐怖症」や、人前で話すことや注目されることに対する強い不安がある「社交不安障害」なども、特定の状況で強い焦りやパニックを引き起こす可能性があります。
適応障害
適応障害は、特定のストレス要因(例:仕事での配置転換、人間関係のトラブル、引越し、病気など)をきっかけに、精神的な症状や行動面の変化が現れ、社会生活に支障をきたす病気です。ストレス要因から離れると症状が改善するのが特徴です。
適応障害の症状は多様ですが、ストレスを感じる状況で強い不安、抑うつ気分、イライラ、不眠などが現れます。ストレス要因に直面した時や、それを予期する際に強い「焦り」や緊張感が生じ、それが過剰になるとパニックに近い状態になることがあります。例えば、職場でパワハラを受けている人が、出勤前や上司に会うたびに激しい動悸や息苦しさを感じるといったケースです。
うつ病
うつ病は、気分の落ち込みや興味・関心の喪失が持続する病気ですが、不安や焦燥感が強く現れることも少なくありません。特に、精神運動焦燥と呼ばれる状態では、落ち着きのなさ、そわそわ、体の震え、じっとしていられない、といった症状が見られます。
うつ病による焦燥感は、内側から突き動かされるような強い「焦り」として感じられることがあります。この焦りが高まると、思考が混乱したり、強い不安感や絶望感が襲ってきたりして、精神的な「パニック」に近い状態になることがあります。ただし、パニック障害のような典型的なパニック発作とは症状の現れ方や経過が異なる場合があります。
発達障害(ADHDなど)
注意欠如・多動性障害(ADHD)などの発達障害を持つ人の中には、特定の状況で強い焦りやパニックを経験しやすい傾向が見られることがあります。ADHDの特性として、時間管理が苦手、衝動性が高い、マルチタスクが苦手といった点があります。
例えば、納期が迫っているのに作業が進まない、複数のタスクを同時にこなそうとして混乱する、といった状況で強い「焦り」を感じやすくなります。この焦りが高まると、さらに集中力が低下したり、イライラしたり、どうしていいか分からなくなって「パニック」状態に陥ったりすることがあります。これは、特性からくる困難に直面した際の二次的な反応として現れることが多いと考えられます。
強迫症
強迫症(旧称:強迫性障害)は、自分でも不合理だとわかっていながら、特定の考え(強迫観念)が頭から離れず、それに伴う強い不安を打ち消すために特定の行為(強迫行為)を繰り返してしまう病気です。
例えば、「鍵を閉め忘れたかもしれない」という不安(強迫観念)が頭から離れず、何度も鍵を確認に戻る(強迫行為)といった症状が見られます。強迫観念や強迫行為を止めようとすると、強い不安や「焦り」が生じ、それが高まるとパニックに近い苦痛を伴うことがあります。特定の状況(例:確認できない状況、不潔だと感じる場所)で、強迫観念が強まり、強い焦りやパニックを引き起こすことがあります。
双極性障害
双極性障害(旧称:躁うつ病)は、気分の波が特徴的な病気で、活動的で気分が高揚する「躁状態」と、気分が落ち込み活動性が低下する「うつ状態」を繰り返します。
躁状態の時期には、考えが次々と浮かび(観念奔逸)、落ち着きがなく、色々なことに手を出したくなるなどの症状が見られます。この状態が極端になると、頭の中で考えが渋滞し、体がついていかないような「焦り」を感じたり、衝動的な行動を抑えられなくなったりして、混乱や興奮状態(精神運動興奮)を引き起こし、パニックに近い状態になることがあります。また、混合状態(躁とうつの症状が同時に現れる状態)でも、抑うつ気分と焦燥感が同時に現れ、強い苦痛を伴うことがあります。
身体的な要因が関係する病気
焦りやパニックのような症状は、精神的な問題だけでなく、身体の病気が原因となっている場合もあります。以下に、関連が考えられる主な身体疾患を挙げます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンは体の代謝を活発にする働きがあるため、過剰になると様々な身体症状が現れます。
代表的な症状として、動悸、頻脈、手の震え、発汗の増加、体重減少、暑がり、疲れやすいなどがありますが、精神的な症状として、イライラ、落ち着きのなさ、不眠、そして強い「焦り」や不安感が見られることもあります。これらの症状がパニック発作のように感じられることもあります。甲状腺機能亢進症による症状は、甲状腺ホルモンの値を調べる血液検査で診断できます。
更年期障害
更年期は、女性では閉経を挟んだ前後約10年間を指し、ホルモンバランスが大きく変化する時期です。このホルモンの変動に伴い、様々な身体的・精神的な不調が現れることがあり、これを更年期障害と呼びます。
更年期障害の症状は多岐にわたりますが、ほてり、発汗(ホットフラッシュ)、動悸、めまいなどの身体症状とともに、イライラ、不安感、気分の落ち込み、不眠などが現れます。これらの精神症状として、「焦り」や落ち着きのなさが強く感じられたり、動悸などの身体症状が不安と結びついてパニックに近い状態になったりすることがあります。男性にも更年期障害(LOH症候群)があり、同様の精神症状が見られることがあります。
ストレスや環境による要因
病気と診断されるほどではない場合でも、強いストレスや特定の環境が、焦りやパニックを引き起こす要因となることがあります。
- 過度なストレス: 仕事の重圧、人間関係の悩み、経済的な問題、家庭内の不和など、慢性的なストレスや突発的な強いストレスは、心身に大きな負担をかけ、不安や焦りを増大させます。ストレス反応として、自律神経のバランスが乱れ、動悸や息苦しさといった身体症状が現れ、それがパニックにつながることがあります。
- 睡眠不足: 睡眠不足は、心身の機能を低下させ、感情のコントロールを難しくします。疲労が蓄積すると、些細なことでもイライラしたり、不安を感じやすくなったりして、焦りが生じやすくなります。
- カフェインやアルコールの過剰摂取: カフェインは覚醒作用がありますが、過剰に摂取すると動悸や手の震え、不安感を引き起こすことがあります。アルコールは一時的に不安を和らげるように感じることがありますが、長期的には不安を増大させたり、睡眠の質を低下させたりします。
- 特定の環境: 過去にパニック発作を経験した場所や状況(電車、人混み、閉鎖空間など)に再び遭遇することや、自分の能力を超えた役割を求められるようなプレッシャーのかかる環境も、焦りやパニックを引き起こす引き金となり得ます。
焦りやパニックになりやすい人の特徴
誰もが焦りやパニックを経験する可能性はありますが、特定の性格傾向や状況にある人は、よりそうした状態になりやすい傾向があります。
- 完璧主義で責任感が強い: 物事を完璧にこなそうとし、些細なミスも許せない人は、自分の能力を超えた目標を設定したり、予定通りに進まない状況で強い焦りを感じやすくなります。
- 心配性でネガティブ思考: 常に最悪の事態を想定したり、物事をネガティブに捉えがちな人は、不確実な状況や困難に直面した際に、過剰な不安や焦りを感じやすくなります。
- 他人の評価を気にしすぎる: 人からどう見られるか、どう思われるかを過度に気にする人は、人前でのパフォーマンスや、他者との関係性において強いプレッシャーや焦りを感じることがあります。
- 過去にトラウマ体験がある: 過去に強い恐怖や衝撃を受けた経験(トラウマ)がある場合、それに似た状況や、自分のコントロールが効かないと感じる状況で、過剰な不安反応やパニックが引き起こされることがあります。
- 疲労や睡眠不足が続いている: 心身が疲弊している状態では、ストレスへの耐性が低下し、感情のコントロールが難しくなるため、些細なことでも焦りやパニックにつながりやすくなります。
これらの特徴に当てはまるからといって必ず病気になるわけではありませんが、ご自身の傾向を理解しておくことは、適切な対処法を見つける上で役立ちます。
焦りやパニックへの対処法|自分でできること
焦りやパニックの症状が現れたとき、あるいはそうした症状が起きないようにするために、自分でできる対処法があります。
急な発作が起きた時のセルフケア
もし急に強い焦りやパニックの症状が現れたら、まずは安全な場所を確保し、以下の方法を試してみてください。
- ゆっくりと深い呼吸をする: 息苦しさを感じて呼吸が速くなりがちですが、意識的に「ゆっくりと」「深く」呼吸することを心がけます。鼻からゆっくり息を吸い込み、口からさらにゆっくりと、吸うときの倍くらいの時間をかけて吐き出すイメージです。呼吸に集中することで、高まった心拍数を落ち着かせ、リラックス効果が得られます。過呼吸になりそうになったら、袋を口に当てる(ペーパーバッグ法)のは現在は推奨されていません。落ち着いてゆっくり呼吸する練習をしましょう。
- 体の力を抜く(筋弛緩法): 体に力が入っていることに気づいたら、意識的に力を抜いてみます。手や肩、首など、特に力が入っていると感じる部分の筋肉を一度ぐっと緊張させてから、フッと一気に力を抜きます。これを繰り返すことで、体の緊張が和らぎ、リラックス効果が得られます。
- 「今ここ」に意識を集中させる(グラウンディング): 不安な考えから意識をそらし、現実世界に意識を戻すための方法です。「今ここ」で感じている五感に意識を向けます。
* 見る: 5つのものを見る(例:壁の色、机の上にあるペン、自分の手、窓の外の景色など)
* 触る: 4つのものに触れる(例:服の生地、座っている椅子の感触、手のひら、髪の毛など)
* 聞く: 3つの音を聞く(例:エアコンの音、外の車の音、自分の呼吸の音など)
* 嗅ぐ: 2つの匂いを嗅ぐ(例:コーヒーの香り、自分の服の匂いなど)
* 味わう: 1つの味を感じる(例:口の中の味、何かを飲んでいるならその味など)
このように、具体的に数えながら五感に意識を向けることで、不安な思考から離れることができます。 - 安全な場所へ移動する: 可能であれば、人混みや騒がしい場所から、落ち着ける静かな場所へ移動します。
- 誰かに助けを求める: 一人で抱え込まず、信頼できる家族や友人、同僚に「大丈夫?」と声をかけてもらうだけでも気持ちが楽になることがあります。すぐに話せなくても、そばにいてもらうだけでも安心できる場合があります。
日常生活でできる工夫
焦りやパニックを起こしにくい心身の状態を作るために、普段の生活の中でできる工夫があります。
- 規則正しい生活を心がける: 毎日同じ時間に寝て起きる、三食バランスの良い食事を摂るなど、基本的な生活リズムを整えることは、自律神経の安定につながります。
- 十分な睡眠をとる: 睡眠不足は心身の不調を招きやすいです。自分に必要な睡眠時間を確保し、質の良い睡眠をとることを意識しましょう。
- 適度な運動を取り入れる: ウォーキング、ジョギング、ヨガなどの有酸素運動は、ストレス解消効果があり、心身のリフレッシュになります。無理のない範囲で、継続できる運動を見つけましょう。
- リラクゼーションを取り入れる: 瞑想、深呼吸、アロマテラピー、ぬるめのお風呂に浸かるなど、自分がリラックスできる方法を見つけて、定期的に行う時間を作りましょう。
- ストレスマネジメント: ストレスの原因を特定し、それに対する対処法を考えます。考え方を変える(認知再構成)、問題解決スキルを磨く、休息をとるなど、様々なアプローチがあります。日記をつけて、どんな時に焦りやパニックが起きやすいかを記録することも有効です。
- 考え方の癖を修正する: 焦りやパニックは、ネガティブな考え方や極端な解釈によって増悪することがあります。「失敗したら終わりだ」「完璧にできないと価値がない」といった考え方の癖に気づき、より現実的で柔軟な考え方に変えていく練習(認知行動療法的なアプローチ)も有効です。
- 休息と休憩を適切にとる: 忙しい状況でも、意識的に休憩時間を設けることが大切です。短時間でも休憩をとることで、心身の緊張を和らげ、集中力を持続させることができます。
- 完璧を目指しすぎない: 「これくらいで大丈夫」と自分に許可を出すことも大切です。全てのことを完璧にこなそうとせず、優先順位をつけたり、人に頼ったりすることも時には必要です。
焦りやパニックの悩んだら|病院へ行く目安と受診先
自分でできる対処法を試しても症状が改善しない、あるいは症状によって日常生活に支障が出ている場合は、専門家への相談を検討しましょう。
受診を検討すべきサイン
以下のようなサインが見られる場合は、医療機関や専門機関への相談を検討することをお勧めします。
サイン | 具体的な状況 |
---|---|
症状の頻度や強さが増している | 以前よりも頻繁に焦りやパニックが起きるようになった、一度起きると回復に時間がかかる |
日常生活に支障が出ている | 仕事や学校に行けなくなった、家事ができない、人との交流を避けるようになった |
特定の状況を避けるようになった | 電車に乗れない、人混みが怖い、会議で発表するのが怖いなど、行動範囲が狭まった |
身体的な不調が続いている | 慢性的な動悸、息苦しさ、めまい、不眠などが続いている |
自分で対処できなくなっている | セルフケアを試しても症状が改善しない、あるいは悪化している |
原因不明の身体症状がある | 焦りやパニックだけでなく、他の身体的な不調(体重減少、倦怠感など)が見られる |
死にたいという気持ちがある | 精神的な苦痛が強く、死ぬことを考えてしまうことがある |
アルコールや薬物に頼るようになった | 焦りやパニックを紛らわすために飲酒や市販薬の量が増えた |
これらのサインは、背景に何らかの病気が隠れている可能性や、症状が重症化している可能性を示しています。一人で抱え込まず、専門家のサポートを求めることが大切です。
どこに相談・受診すれば良いか(精神科・心療内科など)
焦りやパニックの症状について相談・受診する場合、主に以下の選択肢があります。
- 精神科: 心の病気を専門に診る診療科です。パニック障害、不安障害、うつ病、双極性障害、強迫症、統合失調症など、幅広い精神疾患の診断と治療を行います。薬物療法と精神療法(カウンセリングなど)を組み合わせて治療を進めることが一般的です。
- 心療内科: ストレスや心理的な要因によって引き起こされる、身体的な症状(心身症)を専門に診る診療科です。焦りや不安が原因で胃痛や頭痛、動悸などの身体症状が強く現れている場合などに適しています。精神科と同様に、心の側面と体の側面の双方からアプローチします。
- かかりつけ医: 日頃から健康状態を知っている内科などのかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。身体的な病気が原因でないかを確認したり、専門の医療機関を紹介してもらったりすることができます。
- 精神保健福祉センター: 各都道府県や政令指定都市に設置されている公的な機関で、心の健康に関する相談を受け付けています。医師だけでなく、精神保健福祉士や公認心理師などの専門家が対応し、必要に応じて医療機関や他の支援機関を紹介してくれます。
- カウンセリング機関: 医療機関ではない民間のカウンセリングルームや、公的な機関(保健所など)でカウンセリングを受けることもできます。認知行動療法など、精神療法を専門に行う機関もあります。ただし、カウンセラーは医師ではないため、診断や薬の処方はできません。病気の診断や治療が必要な場合は、医療機関を受診する必要があります。
受診先の選び方
- 主に精神的な症状が強く、身体的な症状はそれに伴って起きていると感じる場合は、精神科が適していることが多いです。
- ストレスが原因で、胃痛や頭痛、動悸などの身体症状が強く、精神的な症状も伴っている場合は、心療内科が適していることがあります。
- まずは気軽に相談したい、身体的な病気の可能性も心配、という場合は、かかりつけ医に相談するのも良い方法です。
- 経済的な理由や、まずは匿名で相談したいという場合は、精神保健福祉センターなどの公的機関に相談することも可能です。
初めて精神科や心療内科を受診することに抵抗を感じる方もいるかもしれません。しかし、早期に適切な診断と治療を受けることは、症状の改善と回復のために非常に重要です。「焦るとパニックになる」という状態は、適切な治療によって改善することが十分に期待できます。勇気を出して専門家の扉を叩いてみましょう。最近では、オンライン診療に対応しているクリニックもあり、自宅から気軽に相談できる場合もあります。
まとめ|焦りやパニックの背景には病気も、専門家への相談が重要
「焦るとパニックになる」という症状は、多くの人が経験する可能性のある感情ですが、その程度が強く、頻繁に起こり、日常生活に支障をきたす場合は、注意が必要です。単なる性格の問題や気の持ちようではなく、パニック障害、不安障害、適応障害、うつ病などの精神疾患や、甲状腺機能亢進症、更年期障害といった身体疾患が背景にある可能性が考えられます。
こうした焦りやパニックの症状に悩んでいる場合は、まずはご自身の症状や、どんな状況でそれが起きやすいかを振り返ってみましょう。急な症状が出た時のセルフケアや、日常生活での工夫を試すことも大切です。
しかし、症状が改善しない場合や、悪化している場合、日常生活に大きな支障が出ている場合は、一人で抱え込まず、精神科や心療内科などの専門家への相談を強くお勧めします。専門家は、症状の原因を正しく診断し、一人ひとりに合った適切な治療法(薬物療法、精神療法など)を提案してくれます。
「焦るとパニックになる」という状態は、決して珍しいことではなく、適切なサポートと治療によって改善できる可能性が十分にあります。勇気を出して専門家の助けを求めることが、回復への大切な第一歩となります。
免責事項: この記事は、情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。焦りやパニックの症状でお悩みの方は、必ず医療機関を受診し、専門医の判断を仰いでください。この記事の情報に基づいて行った行為の結果について、当サイトは一切の責任を負いかねます。
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