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適応障害の診断書は簡単?もらい方・費用・休職に必要なこと

仕事や学校の特定の状況で強いストレスを感じ、憂うつな気分や不安感が続いたり、涙もろくなったり、出勤・通学ができなくなったり…。もし、あなたがそのような状況にあるなら、それは「適応障害」のサインかもしれません。
心身の限界を感じて休職を考えるとき、必要になるのが「診断書」です。しかし、どうすればもらえるのか、何が書かれているのか、会社に提出したらどうなるのか、不安なことも多いでしょう。
この記事では、適応障害の診断書について、もらい方から休職への影響、メリット・デメリットまで、あなたの疑問や不安に寄り添いながら詳しく解説します。

目次

適応障害の診断書は書いてもらえる?

結論から言うと、医師が「適応障害であり、療養が必要な状態」と判断すれば、診断書を書いてもらうことは可能です。診断書は、あなたの心身の状態を客観的に証明し、休職などの手続きをスムーズに進めるための重要な書類です。

診断書発行の条件

診断書が発行されるかどうかは、医師の診察と判断によります。以下の点が総合的に評価されます。

  • 症状の重さ: 日常生活や社会生活(仕事、学業など)に支障が出ているか。
  • ストレスの原因との関連: 特定の環境や状況(例:職場の人間関係、過重労働)が原因で症状が出ているか。
  • 治療の必要性: 投薬や精神療法、環境調整(休職など)が必要な状態か。

単に「仕事が嫌だ」「休みたい」という理由だけでは診断書は発行されません。医師による客観的な医学的判断に基づいて発行されるものです。

診断書を書いてもらえる病院・診療科

適応障害の診断や診断書の作成は、心の専門家である以下の診療科で相談できます。

  • 精神科
  • 心療内科

どちらを受診すればよいか迷う場合は、身体的な症状(頭痛、腹痛、動悸など)が強い場合は心療内科、精神的な症状(気分の落ち込み、不安、不眠など)が強い場合は精神科を選ぶのが一般的ですが、どちらの科でも対応可能です。まずは通いやすいクリニックを探して相談してみましょう。

適応障害の診断書をもらう方法・流れ

診断書を受け取るまでの具体的なステップや、事前に準備しておくと良いことを解説します。

受診から診断書発行までのステップ

  1. 病院の予約・受診: まずは精神科・心療内科に予約を取り、受診します。初診では、時間をかけて現在の症状や状況について詳しく問診が行われます。
  2. 医師による診察・診断: 問診や診察、場合によっては心理検査などを通して、医師が診断を下します。適応障害と診断されるまでには、数回の通院が必要になることもあります。
  3. 診断書の発行を依頼: 医師から適応障害と診断され、休職などの必要性について話があった際に、会社や学校に提出するための診断書が必要な旨を伝えます。使用目的(休職手続きのため、など)も明確に伝えましょう。
  4. 診断書の受け取り: 医師が診断書を作成し、後日(または即日)受け取ります。

診断書発行に必要な準備

受診や診断書の依頼をスムーズに進めるために、以下のものを準備しておくと良いでしょう。

  • 健康保険証: 必ず持参してください。
  • お薬手帳: 他の病気で薬を服用している場合に必要です。
  • 症状のメモ: いつから、どのような症状があるか、特にどのような状況でつらくなるか、などを時系列でメモしておくと、医師に正確に伝えやすくなります。
  • 会社の就業規則など: 休職制度について書かれた書類があれば、必要な診断書の内容を医師と相談する際に役立ちます。

診断書発行にかかる費用と期間

  • 費用: 診断書の発行は健康保険の適用外(自費診療)となります。費用は病院によって異なりますが、一般的に3,000円~5,000円程度が目安です。
  • 期間: 症状や状況が明確であれば初診で発行されることもありますが、診断を慎重に行うために数回の通院を経てから発行されるケースも少なくありません。即日発行を希望する場合は、予約時に確認しておくと良いでしょう。

適応障害の診断書に記載される内容

診断書には、あなたの状態を第三者(会社や学校など)に伝えるための重要な情報が記載されます。プライバシーに関わる詳細な情報まで書かれるわけではありません。

診断名と現在の症状

  • 病名: 「適応障害」など、医師が診断した病名が記載されます。
  • 症状: 「抑うつ気分、不安、不眠、食欲不振のため、〇月〇日より当院にて加療中」のように、主な症状が簡潔に記載されます。

治療計画と予後

  • 治療内容: 「薬物療法および精神療法を開始した」といった、行っている治療の概要が書かれます。
  • 予後(今後の見通し): 「〇ヶ月程度の自宅療養を要する見込み」など、回復までにかかると予想される期間が記載されることがあります。

就労に関する医師の意見(休職・勤務制限など)

ここが最も重要な部分です。会社があなたの状況を理解し、適切な配慮をするための根拠となります。

  • 休職の必要性: 「上記の診断・症状のため、〇年〇月〇日より〇ヶ月間の休職および自宅療養を要する」
  • 勤務制限: 「復職後は、残業や休日出勤を制限し、週〇時間程度の時短勤務とすることが望ましい」
  • 業務内容の変更: 「現在の部署(〇〇)での業務継続は困難であり、配置転換などの環境調整が望ましい」

このように、あなたの状態に合わせて、医師が専門的な見地から具体的な意見を記載します。

適応障害で診断書をもらうメリット

診断書を取得することには、休養に専念し、回復を目指す上で大きなメリットがあります。

休職・欠勤の正当な理由になる

診断書は、あなたの欠勤や休職が「病気療養のため」という正当な理由であることを客観的に証明します。これにより、単なる「ズル休み」や「怠慢」だと誤解されるのを防ぎ、安心して休むことができます。

傷病手当金など経済的支援の申請が可能

健康保険に加入している会社員の場合、休職中に給与が支払われない期間、傷病手当金を申請できます。これは、生活を支える重要な制度であり、申請には医師が記入した書類(意見書)が必須となります。診断書は、この手続きを進める第一歩となります。

会社や学校に状況を理解してもらいやすい

口頭で「つらいです」と伝えるだけでは、あなたの苦しさが十分に伝わらないこともあります。医師という第三者の専門家による診断書があることで、上司や人事担当者、同僚、教師などがあなたの状況を客観的に理解し、必要な配慮やサポートを得やすくなります。

適応障害で診断書をもらうデメリット・注意点

メリットがある一方で、知っておくべき注意点も存在します。

診断書発行の費用

前述の通り、診断書の発行には数千円の費用がかかります。これは健康保険が適用されないため、全額自己負担となります。

告知義務の影響(生命保険など)

新たに生命保険や医療保険に加入する際、過去の病歴を告知する義務があります。適応障害の診断を受けたことがある場合、正直に告知する必要があり、加入に条件が付いたり、場合によっては加入が難しくなったりする可能性があります。

転職活動への影響の可能性

転職時に、これまでの病歴を伝える義務はありません。しかし、面接などで休職期間について質問された際に、正直に伝えるかどうかの判断が必要になります。伝え方によっては、ストレス耐性への懸念を持たれる可能性もゼロではありません。
一方で、回復していることや、セルフケアの方法を身につけたことを前向きに伝えられれば、マイナスの影響ばかりとは限りません。

診断書提出後の流れ(休職・復職・転職)

診断書をもらってから、どのように行動すればよいのでしょうか。

会社・学校への診断書提出

診断書は、直属の上司や人事部、学校の担当部署などに提出します。提出方法(直接手渡すか、郵送かなど)は、会社の規定を確認しましょう。提出する際は、今後の手続きについて相談するため、事前にアポイントを取るのが丁寧です。

診断書が出たら必ず休職?

診断書に「休職を要する」と書かれていても、必ずしも休職しなければならないわけではありません。時短勤務や部署異動など、他の選択肢について会社と相談することも可能です。あなたの意向と会社の状況をすり合わせ、最も良い方法を一緒に探していくことが大切です。

休職中の過ごし方と期間

休職期間は、医師の診断書に記載された期間が目安となりますが、回復状況によって延長・短縮されることもあります。

休職中の過ごし方のポイント:

  • まずはしっかり休む: 最初のうちは何もせず、心と体を休めることに専念しましょう。
  • 規則正しい生活を心がける: 生活リズムを整えることが回復につながります。
  • 定期的な通院を続ける: 医師と相談しながら、治療を継続します。
  • 焦らない: 「早く復帰しないと」と焦る気持ちは回復の妨げになります。自分のペースを大切にしましょう。

復職・転職時の診断書と伝え方

復職時: 復職する際には、多くの場合「復職可能」であることを証明する診断書(治癒証明書など)の提出を求められます。主治医とよく相談し、復職後の働き方(リハビリ出勤など)についても会社と調整しましょう。

転職時: 前述の通り、病歴の告知義務はありません。もし休職期間について説明する場合は、「療養に専念し、現在は問題なく就労できる状態であること」や、「この経験を通じてストレスマネジメントを学んだ」など、ポジティブな側面を伝える工夫が大切です。

適応障害の診断書に関するよくある質問

診断書はすぐにもらえる?

症状や診断の経緯によります。初診でこれまでの状況を詳しく説明でき、医師が診断・療養の必要性を明確に判断できれば、即日発行されることもあります。しかし、慎重な判断のために数回の通院が必要な場合も多いです。

診断書の内容は会社に筒抜け?

診断書に記載されるのは、病名、主な症状、療養期間の目安など、会社が休職手続きや配慮のために最低限必要な情報のみです。診察で話した個人的な悩みや、ストレスの原因となった具体的な人物名などが記載されることはありませんので、安心してください。

適応障害以外と診断されることはある?

はい、あります。詳しい問診や診察の結果、うつ病や不安障害など、他の精神疾患が診断される可能性もあります。いずれにせよ、医師があなたの状態を最も的確に表す診断を下し、それに沿った治療方針と診断書が作成されます。

適応障害の診断書が必要な方へ:まずは専門医に相談を

仕事や学校でのストレスで心身ともに限界を感じているとき、休むことは決して逃げではありません。自分自身を守り、回復するために必要な一歩です。

その第一歩となるのが、専門医への相談と、必要に応じた診断書の取得です。診断書は、あなたが安心して療養に専念するための「お守り」のような役割を果たしてくれます。

一人で抱え込まず、まずは勇気を出して、精神科や心療内科のドアを叩いてみてください。専門家が、あなたの状況に合った最善の道筋を一緒に考えてくれるはずです。


免責事項:
本記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。心身の不調を感じる場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。また、休職や傷病手当金に関する制度は、所属する組織や健康保険組合によって異なる場合がありますので、詳細は各担当窓口にご確認ください。

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