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双極性障害を告白した有名人たち【困難を乗り越えた生き方】

双極性障害という病気は、気分が高揚する「躁状態」と、気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返すことが特徴です。
かつては「躁うつ病」とも呼ばれ、その気分の波は、日常生活や社会生活に大きな影響を与えることがあります。
しかし、適切な治療と周囲の理解があれば、多くの人が病気を管理し、社会生活を送ることが可能です。
近年、国内外で双極性障害であることを公表する有名人が増えてきました。
彼らが病気を明かすことは、病気に対する社会の認識を変え、同じように病気と向き合っている人々に勇気を与えるきっかけとなっています。
この記事では、双極性障害の基本的な知識、症状、診断・治療法に加え、病気を公表した国内外の有名人の事例や、彼らが公表する理由についてご紹介します。
双極性障害について正しい知識を深め、病気に悩む本人やそのご家族、周囲の人々にとって、何らかのヒントとなれば幸いです。

双極性障害は、脳の機能障害によって引き起こされると考えられている精神疾患の一つです。
特徴的なのは、「躁状態」と「うつ状態」という、対極にある気分の波を繰り返すことです。
これらの気分の波は、数週間から数ヶ月といった比較的長い期間続きます。
感情の起伏が激しいという日常的なレベルを超え、その病的な気分の変動によって、学校や仕事、家庭生活などの社会生活に支障をきたす点が、単なる性格や気分のムラとは異なります。

双極性障害には、主に2つのタイプがあります。

  • 双極I型障害: 顕著な躁状態とうつ状態を繰り返します。躁状態の程度が強く、しばしば入院が必要になることもあります。
  • 双極II型障害: 軽躁状態(躁状態よりも軽度で、社会生活への支障が比較的少ない状態)とうつ状態を繰り返します。軽躁状態は本人や周囲が気づきにくく、うつ状態の期間が長くなる傾向があります。

これらのタイプ以外にも、急速交代型(1年間に4回以上、躁状態・軽躁状態・うつ状態を繰り返す)など、症状のパターンによってさらに細かく分類されることもあります。

双極性障害の主な症状について

双極性障害の症状は、躁状態、うつ状態、そして両者が同時に現れる混合状態の3つに分けられます。
それぞれの状態には、以下のような特徴的な症状が見られます。

躁状態(あるいは軽躁状態)の症状

気分が高揚し、普段とはかけ離れた状態になります。
軽躁状態の場合は社会生活への影響は少ないこともありますが、躁状態が重くなると、自分でもコントロールが難しくなります。

  • 気分の高揚または易怒性: 異常に気分が高まったり、イライラしやすくなったりします。
  • 活動性・目的志向性活動の増加: やる気に満ち溢れ、様々な活動に精力的に取り組みます。睡眠時間を削っても平気なこともあります。
  • 多弁: 普段よりもおしゃべりになり、一方的に話し続ける傾向があります。
  • 思考の奔逸: 次々とアイデアが浮かび、考えがまとまらずに話が飛躍します。
  • 注意散漫: 一つのことに集中できず、気が散りやすくなります。
  • 睡眠欲求の減少: 眠らなくても平気だと感じたり、睡眠時間が極端に短くなったりします。
  • 自己評価の肥大、誇大: 自分は何でもできると感じ、自信過剰になります。
  • 快楽的な活動への過度の関与: 衝動的に高額な買い物やギャンブル、無謀な投資など、リスクの高い行動に走ることがあります。

うつ状態の症状

気分の落ち込みが続き、日常生活に大きな支障をきたします。
これは単なる一時的な落ち込みではなく、病的な状態です。

  • 気分の落ち込み: ゆううつな気分が続き、何をしても楽しめなくなります。
  • 興味や喜びの喪失: 以前は楽しかったことや趣味に対して、全く興味や喜びを感じなくなります。
  • 食欲や体重の変化: 食欲がなくなったり、逆に過食になったりして、体重が増減することがあります。
  • 睡眠障害: 眠れなくなったり(不眠)、逆に寝すぎたり(過眠)することがあります。
  • 精神運動性の焦燥または制止: 落ち着きがなくそわそわしたり(焦燥)、反対に動きが遅くなったり口数が減ったりします(制止)。
  • 疲労感や気力の減退: 些細なことでも疲れやすく、何をするにも億劫になります。
  • 無価値感または過度の罪悪感: 自分には価値がないと感じたり、過去の出来事を悔やみすぎたりします。
  • 思考力や集中力の低下: 物事を考えるのが難しくなったり、集中力が続かなくなったりします。
  • 希死念慮または自殺企図: 死ぬことを考えたり、自殺を試みたりすることがあります。

これらの症状は、躁状態とうつ状態が周期的に現れるのが双極性障害の大きな特徴です。
また、躁状態とうつ状態が短期間に交互に現れたり、同時に症状が出現したりする「混合状態」となることもあります。

双極性障害の診断基準と治療法

双極性障害の診断は、精神科医や心療内科医といった専門医による問診が中心となります。
患者さんの症状や経過について詳しく聞き取り、いつ頃からどのような気分の波があったのか、家族歴なども含めて総合的に判断します。
必要に応じて、血液検査や画像検査などを行い、他の病気(甲状腺機能亢進症や脳の病気など)の可能性を除外することもあります。
国際的な診断基準(DSMやICDなど)に基づいて診断が下されます。

治療の目標は、気分の波を安定させ、再発を防ぎながら、患者さんが安定した社会生活を送れるようにすることです。
治療は、主に以下の柱で行われます。

  1. 薬物療法:
    • 気分安定薬: 気分の波を抑え、躁状態とうつ状態の両方の再発を予防する中心的な薬です。炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン、ラモトリギンなどがあります。
    • 非定型抗精神病薬: 躁状態やうつ状態が重い場合、あるいは気分安定薬で効果が不十分な場合に使用されます。アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピンなどがあります。
    • 抗うつ薬: うつ状態に対して使用されることがありますが、単独で使用すると躁転(うつ状態から躁状態に移行すること)や急速交代化のリスクがあるため、通常は気分安定薬と併用されます。使用には慎重な判断が必要です。

薬物療法は、症状が改善しても自己判断で中止せず、医師の指示に従って継続することが非常に重要です。
再発予防のためには、数年間にわたって薬を服用し続けることも少なくありません。

  1. 精神療法(心理療法):
    • 疾病教育: 双極性障害という病気について正しく理解し、自分の症状や治療の必要性を認識することは、治療を継続する上で非常に重要です。
    • 認知行動療法(CBT): 否定的な思考パターンや行動パターンを修正し、気分の波にうまく対処できるようになることを目指します。
    • 対人関係・社会リズム療法(IPSRT): 生活リズムの乱れが気分の波に影響を与えることに着目し、規則正しい生活を整えることで気分の安定を目指します。対人関係の問題を解決することも含みます。
    • 家族療法: 家族が病気について理解し、患者さんをどのようにサポートすれば良いかを学ぶ機会となります。

薬物療法と精神療法を組み合わせることで、より効果的に病気を管理し、再発を防ぐことが期待できます。
また、規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理なども、病気の安定には欠かせません。

目次

双極性障害を公表している国内の有名人

双極性障害であることを公表した国内の有名人は複数いらっしゃいます。
彼らが自身の病気について語ることは、多くの人々に影響を与えています。
ここでは、公表されている情報に基づき、いくつかの事例をご紹介します。

長嶋一茂さん:病気との向き合い方

プロ野球選手として活躍後、タレントやスポーツコメンテーターとして幅広く活動されている長嶋一茂さんは、自身の著書やテレビ番組などで、双極性障害であることを公表しています。
長嶋さんは、激しい躁状態とうつ状態を経験し、一時期はうつ状態が非常に重く、日常生活もままならない状態だったことを明かしています。

長嶋さんの公表は、双極性障害という病気が、特定の職業や立場の人だけでなく、誰にでも起こりうる身近な病気であるという認識を広めるきっかけとなりました。
また、病気を公表しつつも第一線で活躍を続けている姿は、同じ病気を持つ人々にとって希望となります。
長嶋さんは、適切な治療と休息、そして病気と「うまく付き合っていく」という考え方で、自身の健康を管理されています。
病気を隠すのではなく、オープンにすることで、自分自身も楽になれるというメッセージを伝えています。

竹内文書さん:公表による社会への影響

小説家として知られる竹内文書(たけうち もんじょ)さんも、双極性障害であることを公表しています。
竹内さんは、自身の作品やブログ、講演活動などを通じて、病気の経験やそれによる苦悩、そして治療への道のりについて率直に語っています。

竹内さんのように、創作活動に携わる方が病気を公表することは、芸術や文学と精神疾患との関係について考える機会を与えます。
また、公表したことで、読者やファンから共感や励ましの声が多く寄せられるなど、社会的な反響も大きいことが分かります。
竹内さんの事例は、病気と向き合いながらも創造的な活動を続けることができるという希望を示すとともに、公表が病気への理解を深め、社会の偏見を和らげることに貢献する可能性を示唆します。

大槻ケンヂさん:活動休止や復帰の経緯

ロックミュージシャン、作家として活動する大槻ケンヂさんも、双極性障害であることを公表されています。
大槻さんは、過去に激しい躁状態やうつ状態を経験し、それが原因で活動を休止した時期があることを明かしています。

特にミュージシャンは、激しい感情の起伏が創作の源になる側面がある一方で、それが病的な気分の波に繋がるリスクも抱えています。
大槻さんが、病気と診断され、治療を受け、そして再び活動の場に戻ってきた経緯を語ることは、病気によってキャリアが断たれるのではないかという不安を抱える人々にとって、大きな励みになります。
また、病気を抱えながらも第一線で活動を続ける姿勢は、病気と共存しながら自分らしい生き方を見つけることの重要性を伝えています。

これらの他にも、双極性障害であることを公表している国内の有名人は複数いらっしゃいます。
彼らの勇気ある公表は、社会全体が精神疾患についてよりオープンに語り合い、理解を深めるための重要な一歩となっています。

双極性障害を公表している海外の有名人

双極性障害は世界中で見られる病気であり、海外でも多くの著名人が自身の病気を公表しています。
彼らの経験は、国境を越えて多くの人々に影響を与えています。

マライア・キャリーさん:キャリアとメンタルヘルス

世界的な歌姫であるマライア・キャリーさんも、双極II型障害であることを公表しています。
長年、自身の精神的な不調に悩まされてきたマライアさんは、2018年に雑誌のインタビューで初めてこの病気について明かしました。
彼女は、うつ病だと思っていた不調が、実は双極II型障害によるものであることを診断され、適切な治療を受けることの重要性を語っています。

マライアさんのように、華やかな世界のトップで活躍する人物がメンタルヘルスの問題を抱えていることを公表することは、多くの人々にとって驚きとともに、精神疾患が決して特別なことではないという認識を広げます。
彼女は、適切な薬物療法とセラピーによって、病気と向き合い、コントロールできていると述べており、キャリアを続けながらもメンタルヘルスをケアすることの重要性を示しています。

デミ・ロヴァートさん:双極性障害への理解を求める活動

歌手や女優として活躍するデミ・ロヴァートさんは、若くして双極性障害と診断されたことを公表し、メンタルヘルス問題について積極的に発言しています。
摂食障害や薬物依存の経験も持つデミさんは、自身の苦悩や治療の経験を隠さずに語り、特に若い世代に対してメンタルヘルスケアの重要性を訴えています。

デミさんは、単に自身の病気を公表するだけでなく、メンタルヘルス関連の啓発活動にも積極的に取り組んでいます。
自身のドキュメンタリー作品などを通じて、病気の内実や治療のプロセスを公開し、精神疾患に対するスティグマ(偏見)の解消を目指しています。
彼女の活動は、特に若いファンに対して、メンタルヘルスについてオープンに話し合うこと、助けを求めることを奨励する大きな力となっています。

他にも、俳優のキャサリン・ゼタ=ジョーンズさんや、ミュージシャンのカニエ・ウェスト(現在はイェ)さんなど、双極性障害を公表している海外の有名人は多数います。
彼らの存在は、双極性障害という病気が、才能や成功とは無関係に誰にでも起こりうることを示し、世界中で病気への理解を深めることに貢献しています。

なぜ有名人は双極性障害を公表するのか?

有名人が自身の双極性障害を公表することは、非常に個人的な決断であり、勇気が必要な行動です。
なぜ彼らは、自らの病気について公に語る道を選ぶのでしょうか。
そこには、個人的な理由だけでなく、社会全体に向けた強いメッセージが込められていることが多いようです。

病気への偏見をなくすために

精神疾患、特に双極性障害のような病気には、依然として社会的な偏見や誤解が存在します。
「性格の問題」「気分のムラが激しいだけ」「甘えている」といった心ない声や、病気であることを理由に差別や不利益を被ることもあります。
こうしたスティグマ(偏見・差別)は、患者さんが治療に繋がることを妨げたり、孤立感を深めたりする大きな要因となります。

有名人が双極性障害であることを公表することは、その病気が「特別な人」だけの問題ではなく、社会の一員である有名人でさえ罹患しうる、一般的な病気であるという認識を広める力があります。
彼らが病気と向き合いながら社会生活を送っている姿を示すことで、病気に対する根拠のない恐れや誤解を和らげ、偏見のない目で病気を捉えるきっかけとなります。
これは、精神疾患全体に対する社会の意識を変えるための重要な一歩と言えます。

同じ病気で悩む人々へのメッセージ

双極性障害と診断されたり、その疑いを感じたりしている人々は、しばしば大きな不安や孤立感を抱えます。
「自分だけがおかしいのではないか」「将来はどうなるのだろう」といった悩みを一人で抱え込んでしまうことも少なくありません。

そのような状況にある人々にとって、自身と同じ病気と診断された有名人が、病気を乗り越え、あるいは病気とうまく付き合いながら活躍している姿を知ることは、大きな希望となります
有名人の公表は、「自分だけじゃないんだ」「適切な治療を受ければ、自分も前向きに生きていけるかもしれない」というメッセージとなり、治療への一歩を踏み出す勇気を与えます。
また、自身の経験を語ることで、病気のつらさに共感し、励ますエールを送ることもできます。
有名人の影響力は大きく、彼らの発言は、同じ病気で悩む多くの人々の心に届き、救いとなることがあるのです。

双極性障害かもと思ったら:相談先と必要なサポート

もし、ご自身や身近な人に双極性障害の症状かもしれないと感じたら、一人で悩まず、専門家や信頼できる人に相談することが大切です。
早期に適切な診断と治療を受けることが、病気の経過を良好にする上で非常に重要だからです。

精神科・心療内科の受診を検討する

双極性障害の診断や治療は、精神科医または心療内科医といった精神医療の専門家が行います。
気分の波が激しい、抑えきれない衝動的な行動がある、激しい落ち込みが続く、といった症状に心当たりがある場合は、まずは精神科または心療内科を受診することを検討しましょう。

  • 精神科: 気分障害(うつ病、双極性障害など)、統合失調症、不安障害、発達障害など、精神疾患全般を専門としています。
  • 心療内科: ストレスなどが原因で体に症状が出る「心身症」を中心に扱いますが、うつ病や双極性障害など、精神疾患の初期段階や軽症の場合も相談できます。

どちらを受診すべきか迷う場合は、かかりつけ医に相談したり、インターネットで地域の医療機関情報を調べたり、精神保健福祉センターに問い合わせてみたりするのも良いでしょう。
受診する際には、現在の症状、いつ頃から始まったか、気分の波のパターン、家族歴、服用中の薬などを医師に伝えることが診断の助けになります。
受診には勇気が必要かもしれませんが、専門家のサポートを受けることが、病気との向き合い方の第一歩となります。

家族や周囲が知っておくべきこと

双極性障害の患者さんをサポートする上で、家族や周囲の理解と協力は非常に重要です。
しかし、どのように接すれば良いか分からず、悩んでしまうこともあるでしょう。
以下は、家族や周囲の人が知っておくべきこと、できるサポートの例です。

  • 病気を正しく理解する: 双極性障害は、性格の問題でも、怠けているわけでもありません。脳の機能障害による病気であることを理解しましょう。病気について書かれた書籍を読んだり、家族向けの心理教育プログラムに参加したりするのも良い方法です。
  • 非難せず、話を聞く: 躁状態やうつ状態の時の言動に対して、感情的に非難したり責めたりすることは避けましょう。病気の症状として現れている可能性があることを理解し、まずは本人のつらい気持ちに寄り添い、ゆっくりと話を聞いてあげることが大切です。
  • 治療をサポートする: 病院への通院や服薬の継続が滞らないよう、優しく声かけをしたり、一緒に病院に行ったりするサポートは有効です。ただし、過干渉にならないようバランスが重要です。
  • 気分の波の予兆に気づく: 患者さんの気分の波には、しばしば予兆が見られます。睡眠時間の変化、活動性の変化、普段と違う言動など、どのような変化が気分の波のサインとなるかを本人と一緒に話し合って理解しておくことで、早期の対応に繋がります。
  • 規則正しい生活をサポートする: 双極性障害は、生活リズムの乱れが気分の波を誘発しやすいと言われています。できる範囲で、患者さんの睡眠時間や食事時間などが規則正しくなるようサポートしましょう。
  • 本人だけでなく、家族自身のケアも大切にする: 患者さんを支える家族や周囲の人も、精神的な負担を抱えやすくなります。一人で抱え込まず、他の家族と協力したり、地域の相談窓口や家族会などを利用して、自身の休息や心のケアも忘れないようにしましょう。

双極性障害は、治療によって症状をコントロールし、安定した状態を保つことが可能な病気です。
本人だけでなく、周囲の人々も病気について学び、適切なサポートを行うことで、患者さんがより穏やかな日常生活を送ることに繋がります。

【まとめ】双極性障害への正しい理解と支援の重要性

双極性障害は、激しい気分の波を特徴とする精神疾患であり、本人だけでなく周囲の人々にも大きな影響を与えうる病気です。
しかし、適切な治療と周囲の理解・サポートがあれば、多くの人が病気と上手く付き合いながら、自分らしい人生を送ることができます。

近年、双極性障害であることを公表する国内外の有名人が増えています。
彼らの公表は、病気に対する社会の偏見を和らげ、正しい理解を広める上で非常に重要な役割を果たしています。
また、同じ病気に悩む人々にとっては、「一人ではない」という安心感や、治療への希望を与える大きな力となっています。
長嶋一茂さん、竹内文書さん、大槻ケンヂさん、マライア・キャリーさん、デミ・ロヴァートさんなど、様々な分野で活躍する有名人がそれぞれの言葉で病気について語ることで、双極性障害の多様な側面や、病気と向き合う様々な方法があることを示唆しています。

もし、ご自身や身近な人が双極性障害かもしれないと感じたら、まずは精神科や心療内科の専門医に相談することが、早期の診断と治療に繋がる最も重要な一歩です。
そして、家族や周囲の人は、病気を正しく理解し、温かい心で患者さんに寄り添い、治療をサポートすることが大切です。

双極性障害は、適切な治療を継続することで、多くの人が症状を安定させ、再発を防ぐことが可能な病気です。
病気についてオープンに語れる社会になり、偏見なくサポートし合える環境が整うことが、双極性障害を持つ人々が安心して暮らせる未来につながります。

免責事項: 本記事は、双極性障害に関する一般的な情報提供を目的としています。個別の症状に関する診断や治療方針については、必ず医療機関を受診し、専門医の判断を仰いでください。記事中の有名人の事例は、公表されている情報に基づいて記載していますが、個人の病状や経験の全てを表すものではありません。

双極性障害について よくある質問

双極性障害は治る病気ですか?

双極性障害は、糖尿病や高血圧のような慢性の病気に近いと考えられています。完全に病気がなくなる「完治」は難しいことが多いですが、適切な薬物療法や精神療法によって症状を安定させ、再発を防ぎながら、穏やかな日常生活を送ることは十分可能です。症状が安定している状態を「寛解」と呼びます。寛解の状態を維持するためには、医師の指示通りに治療を続けることが非常に重要です。

双極性障害とうつ病はどう違いますか?

最も大きな違いは、「躁状態(または軽躁状態)」の有無です。
うつ病(単極性うつ病)は、気分の落ち込みや意欲の低下といった「うつ状態」のみが現れる病気です。
一方、双極性障害は、うつ状態に加え、気分が高揚したり、活動性が異常に高まったりする「躁状態(または軽躁状態)」を経験するのが特徴です。
診断にあたっては、過去に一度でも躁状態や軽躁状態を経験したことがあるかどうかが重要な判断基準となります。

双極性障害は遺伝しますか?

双極性障害は、遺伝的な要因が関係していると考えられています。
しかし、遺伝だけで発症が決まるわけではなく、複数の遺伝子が複雑に関与し、さらに環境要因(ストレス、ライフイベントなど)が組み合わさって発症すると考えられています。
両親や兄弟姉妹に双極性障害の方がいる場合、そうでない場合に比べて発症リスクは高まりますが、必ずしも発症するわけではありません。
遺伝要因があっても発症しない人も多くいますし、家族歴がなくても発症することもあります。

双極性障害でも仕事はできますか?

適切な治療によって症状が安定していれば、多くの人が仕事をすることができます
ただし、病気の重さや、仕事の内容、職場の理解や配慮によって状況は異なります。
症状が不安定な時期は、休職して治療に専念する必要がある場合もあります。
職場に病気のことをオープンにするかどうかは個人の判断ですが、病気について理解してもらい、必要に応じて業務内容や勤務時間について配慮を求めることで、仕事を続けやすくなる場合もあります。
リワークプログラムなどを利用して、職場復帰を目指す方もいます。

双極性障害の人にはどう接すれば良いですか?

双極性障害の人への接し方で大切なのは、病気を正しく理解し、非難せず、温かく見守り、サポートすることです。
躁状態の時の衝動的な言動や、うつ状態の時の無気力な態度を「わがまま」や「怠け」として責めないようにしましょう。
病気の症状であることを理解し、共感的に耳を傾ける姿勢が大切です。
治療を継続するよう促したり、生活リズムを整えるサポートをしたりすることも有効ですが、過度な干渉は避け、本人の意思を尊重することも重要です。
家族や周囲の人自身も、病気について学び、必要に応じて専門家や支援機関に相談するなど、一人で抱え込まないようにすることが大切です。

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