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自律神経失調症が「治らない」と感じたら?原因と改善策を解説

自律神経失調症は、診断名としては「自律神経失調症」という独立した疾患ではなく、様々な原因によって自律神経のバランスが崩れ、身体的・精神的な不調が生じている状態を指します。
そのため、「治らない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、自律神経失調症は適切な治療とケアによって多くのケースで改善が見込める状態です。
「治らない」と感じる原因は何か、そしてどのように対処すれば改善に向かうのか、専門的な視点から解説します。

目次

自律神経失調症が「治らない」と感じてしまう原因

自律神経失調症の症状に長期間苦しんでいる方の中には、「もう治らないのではないか」と絶望的な気持ちになる方もいらっしゃいます。
なぜ、そう感じてしまうことが多いのでしょうか。
そこにはいくつかの理由が考えられます。

症状の多様性と診断の難しさ

自律神経失調症の症状は非常に多岐にわたります。
頭痛、めまい、動悸、息切れ、吐き気、胃の不調、便秘、下痢といった身体症状から、倦怠感、不眠、イライラ、不安感、集中力の低下といった精神症状まで、人によって現れる症状やその組み合わせは様々です。

これらの症状は、他の疾患でも起こり得るため、診断が難しい場合があります。
内科、耳鼻科、消化器科など、身体症状に合わせて様々な医療機関を受診しても、「検査では異常がない」と言われ、原因が特定できないまま時間だけが過ぎてしまうことも少なくありません。
明確な診断がつかないと、適切な治療にたどり着けず、「どこに行っても治らない」と感じてしまうことがあります。

ストレスなど根本原因への対処不足

自律神経失調症の多くは、精神的なストレス、身体的な疲労、不規則な生活習慣といった、根本的な原因によって引き起こされます。
しかし、表面的な症状(頭痛、めまいなど)に対してのみ対症療法を行っても、根本的な原因が解決されなければ、症状は繰り返し現れたり、別の症状が出現したりします。

例えば、職場の人間関係による強いストレスが原因であるにも関わらず、めまい止めだけを服用していても、ストレス因子が除去されない限り、根本的な改善は難しいでしょう。
根本原因に気づき、それに対処していくプロセスがなければ、「治療しているのに効果がない」「治らない」と感じてしまいます。

治療法と体質・個人差のミスマッチ

自律神経失調症の治療法は一つではありません。
薬物療法、心理療法、生活習慣の改善指導、鍼灸、マッサージなど、様々なアプローチがあります。
しかし、どの治療法が有効かは、症状の種類、原因、個人の体質や性格によって大きく異なります。

ある人には効果があった薬が、別の人には合わなかったり、副作用が出たりすることもあります。
また、心理療法や生活習慣の改善は、実践するのに時間と労力がかかります。
自分に合った治療法を見つけるまでに試行錯誤が必要であり、その過程で一時的に効果を感じられなかったり、悪化したように感じたりすると、「この治療法では治らないのか」「自分は特別なのだろうか」といった不安につながることがあります。

症状の波と再発

自律神経失調症の症状は、一本調子で改善していくのではなく、良くなったり悪くなったりと波があるのが特徴です。
調子の良い時期があった後、何かのきっかけで再び症状が悪化すると、「せっかく良くなったのに」「やっぱり治っていなかったんだ」と落ち込んでしまい、治らない病気だと思い込んでしまうことがあります。

また、一度症状が改善しても、再び強いストレスにさらされたり、生活習慣が乱れたりすることで再発する可能性もあります。
再発を経験すると、「根本的には治っていないのではないか」と感じやすくなります。
症状の波や再発は、自律神経失調症の経過で起こり得ることですが、その特性を理解していないと、「治らない」という印象を強く持つことになります。

自律神経失調症は本当に「治らない」病気なのか?

「治らない」と感じてしまう原因は多々ありますが、では、自律神経失調症は本当に治らない病気なのでしょうか?
結論から言うと、多くのケースにおいて、適切な治療とセルフケアによって改善・完治が見込める病気です。

適切な治療で完治は見込める

自律神経失調症は、病気そのものが生命を脅かすものではありません。
また、特定の臓器が不可逆的に破壊されるような性質のものでもありません。
自律神経のバランスが崩れている状態であり、このバランスを整えることが治療の目標となります。

根本的な原因(ストレス、生活習慣など)に適切に対処し、症状に応じた治療(薬物療法、心理療法など)を組み合わせることで、自律神経の機能は回復し、症状は改善していきます。
症状が消失し、以前のように日常生活を送れるようになることは十分に可能です。
これを「完治」と捉えることができます。

ただし、自律神経のバランスは、その後の生活習慣やストレスによって再び崩れる可能性はあります。
そのため、「治った」後も、再発予防のためのセルフケアを継続することが重要になります。

治るまでの期間は個人差が大きい

自律神経失調症が改善するまでの期間は、個人の症状の程度、原因、治療への取り組み方、環境などによって大きく異なります。
数週間から数ヶ月で症状が軽快する方もいれば、改善までに1年以上かかる方もいらっしゃいます。

「治るまでの期間は個人差が大きい」という点を理解しておくことは、治療を継続する上で非常に大切です。
短期間で劇的な改善が見られないからといって悲観せず、根気強く治療に取り組む姿勢が求められます。
医師と相談しながら、自分自身のペースで改善を目指していくことが重要です。

改善までの期間 特徴 留意点
数週間〜数ヶ月 原因が比較的単純で、早期に適切な対処ができたケース 一時的な改善の可能性もあるため、自己判断で治療を中止しないこと
数ヶ月〜1年 複数の原因が絡み合っている、あるいは慢性化しているケース 治療法の見直しや、生活習慣の根本的な改善が必要になることが多い
1年以上 長期間にわたり症状が持続している、あるいは併発疾患があるケース 専門医との連携、多角的なアプローチ、焦らず取り組む姿勢がより重要となる

自律神経失調症の正しい治し方・改善方法

自律神経失調症を改善し、「治らない」という状況から抜け出すためには、専門的な治療と、自分自身でのセルフケアの両面からのアプローチが不可欠です。

医療機関での治療(何科・薬)

自律神経失調症の疑いがある場合や、症状が改善しない場合は、まず医療機関を受診することが第一歩です。

何科を受診すべきか

自律神経失調症の症状は多岐にわたるため、「何科を受診すれば良いのか分からない」と迷う方も多いでしょう。

  • 心療内科・精神科: ストレスや心の状態が症状に大きく関わっていると考えられる場合、最も適した科です。自律神経のバランスを専門的に診てくれるだけでなく、うつ病や不安障害といった併発しやすい精神疾患の診断・治療も可能です。
  • 内科: 身体症状(動悸、めまい、胃腸の不調など)が中心で、他の身体疾患の可能性も考えられる場合は、まず内科を受診し、必要に応じて他の専門科や心療内科・精神科を紹介してもらうという流れも一般的です。
  • その他: 特定の症状が強い場合は、関連する専門科を受診することもあります。(例: 耳鳴りやめまいが強い場合は耳鼻咽喉科、特定の痛みが強い場合は整形外科や脳神経内科など)

まずは、かかりつけ医に相談するか、心療内科や精神科を受診することをお勧めします。
症状や状況に合わせて、適切な科を紹介してもらえることもあります。

薬による治療

自律神経失調症に対する薬物療法は、崩れた自律神経のバランスを直接的に整えるというよりは、現れているつらい症状を和らげることを目的として行われます。
これにより、症状による苦痛が軽減され、精神的な負担が減り、生活習慣の改善など他の治療にも取り組みやすくなります。

使用される主な薬剤の種類:

  • 抗不安薬: 不安感、緊張、イライラ、動悸、過呼吸といった精神症状や身体症状を和らげます。効果をすぐに実感しやすい反面、依存性や眠気などの副作用に注意が必要です。頓服として使用することもあれば、継続的に少量服用することもあります。
  • 抗うつ薬: 気分の落ち込み、意欲の低下、不眠、身体の痛みといった症状に効果がある場合があります。うつ病を併発しているケースだけでなく、自律神経失調症の様々な症状にも用いられることがあります。効果が出るまでに数週間かかることがあります。
  • 睡眠薬: 不眠が強い場合に使用されます。入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒など、不眠のタイプに合わせて使い分けられます。
  • 自律神経調整薬: 自律神経の働きを調整するとされる薬です。直接的な効果は限定的とされることもありますが、用いられることがあります。
  • 漢方薬: 個人個人の体質や症状に合わせて処方されます。西洋薬とは異なる作用機序で、自律神経の乱れに伴う様々な症状(冷え、のぼせ、胃腸の不調、精神的な不安定さなど)に効果が期待できる場合があります。
  • 対症療法薬: 頭痛薬、胃腸薬、めまい止めなど、個別の症状を和らげるための薬が処方されることもあります。

薬物療法は、あくまで症状を和らげるための手段であり、自律神経失調症そのものを完治させるものではありません。
医師の指示に従い、用法・用量を守って服用することが重要です。
また、自己判断で中止したり、量を変えたりすることは危険です。

ストレス管理と生活習慣の改善(自力での対処法)

医療機関での治療と並行して、あるいは症状が軽度な場合は、自分自身でストレスや生活習慣を見直し、改善していくことが非常に重要です。
これが、自律神経のバランスを根本的に整えるための鍵となります。

ストレスの特定と対処法

  • ストレスの原因を特定する: 何が自分にとってストレスになっているのか、具体的に書き出してみるなどして客観視することが大切です。職場、家庭、人間関係、経済的な問題、将来への不安など、様々な要因が考えられます。
  • ストレスへの考え方を変える(認知行動療法的な視点): ストレスの原因そのものをすぐに排除できない場合もあります。そのような時は、その出来事に対する自分の捉え方や考え方の癖に気づき、より柔軟な考え方ができるように練習することも有効です。例えば、「〜でなければならない」といった rigid な思考を和らげるなどです。
  • ストレスを解消する方法を見つける: 自分にとってリラックスできる時間や活動を見つけ、意識的に取り入れましょう。趣味、運動、音楽鑑賞、読書、友人との会話、腹式呼吸、瞑想など、人によって効果的な方法は異なります。
  • 休息をしっかり取る: ストレスがかかっている時ほど、心身を休ませることが重要です。十分な睡眠時間を確保し、昼間に軽い休憩を挟むことも有効です。
  • 人に相談する: 家族や友人、職場の同僚など、信頼できる人に自分の気持ちを話すだけでも楽になることがあります。必要に応じて、カウンセラーや心理士といった専門家に相談することも検討しましょう。

生活習慣の見直し

自律神経は、私たちの意志とは無関係に身体の機能を調整していますが、日々の生活習慣によってそのバランスは大きく影響を受けます。

  • 規則正しい生活: 毎日同じ時間に寝て起きるように心がけましょう。体内時計が整い、自律神経のリズムも安定しやすくなります。休日も極端な寝坊は避けましょう。
  • バランスの取れた食事: 偏った食事は自律神経の乱れにつながることがあります。栄養バランスの良い食事を3食規則正しく摂りましょう。特に、ビタミンB群、カルシウム、マグネシウムといった栄養素は自律神経の働きに関わるとされています。
  • 適度な運動: ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、無理なく続けられる有酸素運動は、自律神経のバランスを整えるのに効果的です。血行が促進され、リラックス効果も得られます。ただし、過度な運動はかえって負担になるので注意が必要です。
  • 入浴: ぬるめのお湯(38〜40℃)にゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になり、リラックス効果が得られます。寝る前に体温を一度上げてから下がる過程で眠りに入りやすくなります。
  • 喫煙・飲酒を控える: タバコや過度なアルコール摂取は自律神経に悪影響を及ぼします。可能な範囲で控えるようにしましょう。

併発疾患への注意(酷くなるとどうなる)

自律神経失調症の状態が長く続いたり、適切に対処されないまま放置されたりすると、他の精神疾患や身体疾患を併発したり、自律神経の不調が特定の臓器の機能障害へと移行したりする可能性があります。

併発しやすい精神疾患:

  • うつ病: 気分の落ち込み、興味・関心の喪失、強い倦怠感、不眠や過眠、食欲不振や過食、集中力の低下などが特徴です。自律神経失調症の症状とうつ病の症状は似ている部分が多く、区別が難しい場合や、両方が合併している場合もあります。
  • 不安障害: 特定の状況に対する強い不安や恐怖(社交不安障害、パニック障害、広場恐怖症など)が特徴です。動悸、息切れ、発汗、震えといった自律神経症状を伴うことが多いです。
  • パニック障害: 予期しないパニック発作(突然の激しい動悸、息苦しさ、めまい、吐き気などの身体症状と強い恐怖感)を繰り返し起こす病気です。
  • 強迫性障害: 不安を打ち消すために、特定の行為を繰り返してしまう(手洗いや確認など)病気です。

自律神経の不調に関連する身体疾患:

  • 過敏性腸症候群: ストレスなどにより自律神経のバランスが乱れ、下痢や便秘、腹痛といったお腹の症状が慢性的に続く病気です。
  • 機能性ディスペプシア: 明らかな胃の病気がないにも関わらず、胃もたれや胃痛、早期満腹感などが続く病気です。
  • 線維筋痛症: 全身のあちこちに強い痛みが生じる病気で、自律神経の機能異常が関与している可能性が指摘されています。

自律神経失調症の症状が重度化したり、長期間改善が見られない場合は、これらの併発疾患や関連疾患がないか、専門医による詳細な診察を受けることが重要です。
「たかが自律神経失調症だから」と軽視せず、つらい症状が続く場合は必ず医療機関を受診しましょう。
症状が悪化すると、日常生活(仕事、学業、家事、外出など)を送ることが困難になり、社会的に孤立してしまうリスクも高まります。
早期に適切な対応を始めることが、より早い回復につながります。

自律神経失調症が「治ったきっかけ」を知る

「治らないのではないか」と悩んでいる方にとって、実際に症状が改善した人の「治ったきっかけ」を知ることは、大きな希望につながります。
人によって様々なきっかけがありますが、共通するポイントもいくつか見られます。

  • 信頼できる医師との出会い: 自分の話をじっくり聞いてくれ、病状や治療法について丁寧に説明してくれる医師に出会えたことで、安心して治療に取り組めるようになり、症状が改善に向かったというケースは多いです。医師との信頼関係は非常に重要です。
  • ストレスの原因から離れる/対処できた: 職場を変える、人間関係を整理する、問題を解決する、といった形で、大きなストレス源から物理的・精神的に離れることができた結果、症状が劇的に改善することがあります。
  • 生活習慣の徹底的な見直し: 睡眠時間をしっかり確保する、バランスの良い食事を摂る、適度な運動を習慣にする、といった基本的な生活習慣を意識的に改善したことが、自律神経のバランスを整え、症状軽快につながることも多いです。
  • 考え方の変化: ネガティブな思考パターンや完璧主義といった考え方の癖に気づき、認知行動療法などを通じてより柔軟な考え方ができるようになったことで、ストレスを感じにくくなり、症状が改善したというケースもあります。
  • 「治る」と信じる気持ち: 悲観的にならず、「必ず良くなる」と前向きに治療やセルフケアに取り組む姿勢が、回復を後押しすることもあります。もちろん、常に前向きでいるのは難しいですが、希望を持つことは大切です。
  • 症状との上手な付き合い方を学ぶ: 症状が完全になくなるわけではないことを受け入れ、症状が出ても適切に対処する方法(リラクゼーション、休息など)を身につけたことで、症状に振り回されなくなり、結果的に症状が軽減・安定するということもあります。

これらの「きっかけ」は、どれか一つだけではなく、複数が組み合わさることで症状が改善に向かうことが多いです。
共通しているのは、受動的に治療を受けるだけでなく、自分自身でも積極的に病気と向き合い、生活や考え方を変えようと努力した点にあると言えるでしょう。

つらい症状のピークと向き合う

自律神経失調症の経過においては、症状が特に強く現れる「ピーク」のような時期を経験することがあります。
この時期は心身ともに非常につらく、「もう耐えられない」「一生このままなのではないか」と感じやすいかもしれません。

しかし、症状のピークは必ずしも永続するものではありません。
適切な休息を取り、無理をせず、医師の指示に従って治療を続けることで、多くの場合はそのピークを乗り越えることができます。

つらい症状のピークを乗り越えるために:

  • 自分を責めない: 症状がつらいのは、あなたの努力不足や気持ちの問題ではありません。心身が休息を必要としているサインです。自分を責めず、まずは休むことを優先しましょう。
  • 無理をしない: 仕事や学校、家事など、普段の活動を一時的に休止したり、ペースを落としたりすることも必要です。回復を最優先に考えましょう。
  • 専門家に頼る: 症状が特にひどい場合は、一人で抱え込まず、すぐに医師に相談しましょう。症状を和らげるための薬の調整や、休養についての診断書作成など、必要なサポートを受けることができます。
  • 安全な場所で休息する: 心地よく、安心して過ごせる場所で、ゆっくりと心身を休ませましょう。
  • 完璧を目指さない: この時期は、完璧に家事をこなすことや、誰かに気を遣うことよりも、自分が少しでも楽になることを優先して構いません。

症状のピークはつらいですが、そこを乗り越えた先に改善が見えてくることも多いです。
これは病気の経過の一部であると理解し、絶望せず、必要な休息とケアを行うことが非常に重要です。

自律神経失調症かもしれないと思ったら(診断・受診)

「もしかして、自分も自律神経失調症なのではないか?」と感じたら、一人で悩まず、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
早期に適切な診断を受け、対処を始めることが、症状の早期改善につながります。

受診を迷う理由として、「気のせいかもしれない」「大げさだと思われるのではないか」「検査で異常がなかったらどうしよう」といった不安があるかもしれません。
しかし、つらい症状を我慢して日常生活に支障が出ているのであれば、それは医療的なサポートが必要なサインです。

受診の流れ(一般的な例):

  • 医療機関を選ぶ: まずは、心療内科や精神科を探してみましょう。かかりつけの内科医に相談して紹介してもらうこともできます。
  • 予約: 多くの心療内科や精神科は予約制です。事前に電話やインターネットで予約を取りましょう。
  • 問診票の記入: 受付で問診票を渡されます。現在の症状(いつから、どのような症状か、頻度、強さなど)、既往歴、家族歴、アレルギー、現在服用中の薬、生活習慣、ストレスの原因など、できるだけ詳しく記入しましょう。
  • 診察: 医師による問診が行われます。問診票の内容をもとに、さらに詳しい話を聞かれます。つらい症状、日常生活での困りごと、抱えている悩みなどを正直に伝えましょう。症状によっては、簡単な身体的な診察が行われることもあります。
  • 検査: 症状によっては、血液検査や心電図、胃カメラなどの検査が行われ、他の病気が原因でないかを確認することがあります。(心療内科・精神科では必須ではありません。)
  • 診断と説明: 医師が問診や検査結果から総合的に判断し、診断名や病状について説明してくれます。自律神経失調症と診断されることもあれば、他の疾患(うつ病、不安障害など)と診断されることもあります。診断がつかない場合でも、「自律神経のバランスが乱れている状態」として必要な治療やアドバイスを受けられます。
  • 治療方針の決定: 医師と相談しながら、今後の治療方針(薬物療法、心理療法、生活指導など)を決定します。疑問点や不安な点があれば、遠慮せずに質問しましょう。

受診することは、決して特別なことではありません。
心身の健康を守るための大切なステップです。
つらい症状を改善し、自分らしい生活を取り戻すために、勇気を出して専門家に相談してみましょう。

自律神経失調症についてよくある質問

自律神経失調症に関して、多くの方が疑問に思われる点にお答えします。

Q1: 自律神経失調症の診断基準はありますか?

特定の統一された診断基準は確立されていません。
これは、自律神経失調症が特定の病気というよりも、様々な原因による自律神経の機能不全状態を指すためです。
診断は、問診で症状の詳細や生活状況、ストレス要因などを詳しく聞き取り、他の身体疾患や精神疾患の可能性を検査などで除外した上で、総合的に判断されます。
医師が、自律神経の乱れによって引き起こされていると考えられる身体的・精神的な症状が複数存在し、それが日常生活に支障をきたしている場合に、自律神経失調症として診断または病状を説明することが一般的です。

Q2: 民間療法やサプリメントは有効ですか?

アロマテラピー、整体、鍼灸、マッサージ、特定のサプリメント(例:GABA、セントジョーンズワートなど)といった民間療法や健康食品は、人によってはリラックス効果が得られたり、症状が和らいだと感じたりすることもあります。
しかし、科学的なエビデンスが確立されているものばかりではなく、効果には個人差が大きいです。
また、サプリメントの中には、服用中の薬との相互作用や、副作用のリスクがあるものも存在します。
これらの療法を取り入れる場合は、必ず事前に医師や薬剤師に相談し、安全性を確認するようにしましょう。
あくまで医療機関での治療や生活習慣の改善を基本とし、補助的なものとして検討するのが賢明です。

Q3: 再発を防ぐためにはどうすれば良いですか?

症状が改善しても、再発予防のための取り組みを継続することが重要です。
主な再発予防策としては、以下が挙げられます。

  • ストレス管理の継続: ストレスの原因となる状況を避けたり、ストレスを感じたときに適切に対処する方法(リラクゼーション、趣味など)を日々の生活に取り入れたりする。
  • 規則正しい生活習慣の維持: 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を継続する。
  • 定期的な休息: 意識的に休息時間を設け、心身の疲労を蓄積させない。
  • 自分自身の変化に気づく: 症状がぶり返しそうになったり、ストレスサイン(イライラ、不眠など)が現れたりしたら、早めに気づき、対処する(例:休息を増やす、医師に相談する)。
  • 定期的な通院: 症状が安定しても、医師の指示に従って定期的に通院し、状態をチェックしてもらう。

Q4: 家族や周囲のサポートはどのようにすれば良いですか?

自律神経失調症の方にとって、家族や周囲の理解とサポートは非常に重要です。

  • 病気への理解: 自律神経失調症は「怠け」や「気の持ちよう」ではなく、心身のバランスが崩れた状態であることを理解しましょう。
  • 話を傾聴する: 症状や悩みについて、否定せずに話をじっくり聞く姿勢が大切です。アドバイスよりも共感が助けになることが多いです。
  • 無理強いしない: 症状がつらい時に、「頑張れ」「外に出よう」などと無理強いすることは避けましょう。本人のペースを尊重することが重要です。
  • 治療やセルフケアをサポート: 通院に付き添ったり、生活習慣の改善を一緒に取り組んだりといった具体的なサポートも有効です。
  • 自分自身のケアも忘れずに: サポートする側も疲弊しないよう、自分自身の休息や気分転換も大切にしましょう。必要であれば、患者会や家族相談なども利用できます。

Q5: 症状が酷くなると、入院が必要になることもありますか?

自律神経失調症の症状自体で入院が必要になるケースは稀です。
しかし、症状が非常に重度で日常生活が全く送れなくなった場合や、うつ病などの精神疾患を併発して自殺のリスクが高い場合、栄養状態が悪化した場合など、自宅での療養が困難と判断される場合には、入院による専門的な治療や安静が必要となることもあります。
多くは外来治療で対応可能ですので、まずは医師に相談し、必要な治療計画を立ててもらいましょう。

【まとめ】自律神経失調症が「治らない」と感じたら、専門家へ相談を

自律神経失調症の症状に苦しみ、「治らない」と感じてしまうことは、非常につらく、希望を失いかねない状況です。
しかし、自律神経失調症は、多くのケースで適切な診断と治療、そしてご自身の生活習慣やストレスへの向き合い方を改善することで、症状の軽快や完治が見込める状態です。

「治らない」と感じてしまう背景には、症状の多様性や診断の難しさ、根本原因への対処不足、治療とのミスマッチ、症状の波などが関係しています。
これらの特性を理解し、焦らず、根気強く向き合う姿勢が大切です。

もしあなたが今、「治らない」と悩んでいるのであれば、一人で抱え込まず、心療内科や精神科といった自律神経の専門家がいる医療機関に相談することをお勧めします。
専門家は、あなたの症状や状況を詳しく把握し、適切な診断を行い、あなたに合った治療法を提案してくれます。
薬による症状緩和と並行して、ストレス管理や生活習慣改善の具体的なアドバイスを受けることもできるでしょう。

症状のピークがあることを知っておくこと、そして、多くの人が様々な「きっかけ」を経て回復していることを知ることも、希望を持つために重要です。

自律神経失調症は、適切な対処によって必ず改善への道が開ける状態です。
「治らない」と諦めずに、専門家の力を借り、自分自身とも向き合いながら、一歩ずつ回復を目指していきましょう。

【免責事項】

この記事は、自律神経失調症に関する一般的な情報を提供するものであり、個別の症状や病状に対する診断や治療法を保証するものではありません。
ご自身の体調について不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。
記事の内容に基づいて行った行動によって生じたいかなる結果に関しても、当方は一切の責任を負いかねます。

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