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目をえぐるような激痛!群発頭痛とは?症状・原因・対処法を徹底解説

群発頭痛とは、数ある頭痛の中でも「最も痛みが激しい」とされるタイプの頭痛です。日常生活や仕事に支障をきたすほどの強烈な痛みが特徴で、患者さんはしばしば「眼をえぐられるような」「キリで刺されるような」と表現します。この頭痛は、特定の期間(群発期)に集中して起こり、その後しばらく症状が落ち着く(寛解期)という独特のパターンを示します。この記事では、群発頭痛の詳しい症状、原因、診断方法、最新の治療法、そして群発期を乗り越えるための日常生活での注意点について、わかりやすく解説します。群発頭痛に悩んでいる方、あるいはそのご家族や周囲の方は、ぜひ最後までお読みいただき、適切な対応や専門医への相談につなげてください。

目次

どのような頭痛か?群発頭痛の特徴

片側の眼の奥の激しい痛み

群発頭痛の最も特徴的な症状は、片側の眼の奥や周囲に集中する、非常に激しい痛みです。痛みは耐え難いほどで、しばしば「灼けるような」「突き刺すような」「えぐられるような」と表現されます。痛みの部位は常に片側で、同じ側の眼の周囲、こめかみ、頬、顎、歯などにまで広がることもあります。発作中に痛む側が変わることはほとんどありませんが、群発期ごとに痛む側が変わることはあります。

この痛みは非常に強烈であるため、多くの患者さんはじっとしていられず、痛みを紛らわせるために体を動かしたり、部屋の中を歩き回ったり、頭を抱えたりします。片頭痛の患者さんが暗く静かな場所でじっとしていたがるのとは対照的です。

随伴症状(流涙、鼻水、顔面紅潮など)

群発頭痛の発作時には、痛みと同じ側の顔面に様々な自律神経症状が現れることが特徴です。これらの症状は「随伴症状」と呼ばれ、診断の手がかりとなります。

主な随伴症状には以下のようなものがあります。

  • 流涙(涙が止まらない): 痛みのある側の眼から大量の涙が出ます。
  • 結膜充血(眼が赤くなる): 痛みのある側の眼の白目が充血します。
  • 鼻水・鼻詰まり: 痛みのある側の鼻から鼻水が出たり、鼻が詰まったりします。
  • 顔面紅潮・発汗: 痛みのある側の顔面が赤くなったり、汗をかいたりします。
  • 眼瞼下垂(まぶたが下がる): 痛みのある側のまぶたが垂れ下がります。
  • 縮瞳(瞳孔が小さくなる): 痛みのある側の瞳孔が小さくなります。

これらの随伴症状は、頭痛が最も強い時間帯に現れることが多く、痛みが和らぐにつれて消失します。片頭痛にも吐き気などの随伴症状がありますが、群発頭痛のような片側の自律神経症状はあまり見られません。

群発頭痛の発作パターンと期間

群発期と寛解期

群発頭痛は、「群発期」と呼ばれる頭痛が頻繁に起こる期間と、「寛解期」と呼ばれる頭痛が全く起こらない、または非常に少ない期間を繰り返します。

  • 群発期: 通常、数週間から数ヶ月間続きます。この期間中は、ほぼ毎日、あるいは1日に数回、頭痛発作が起こります。群発期の長さは人によって異なりますが、一般的には1〜3ヶ月程度が多いとされています。群発期が始まる時期は、特定の季節(春や秋など)に決まっている人もいれば、特に決まっていない人もいます。
  • 寛解期: 群発期が終わると、頭痛が全く起こらない状態が続きます。この期間は数ヶ月から数年、あるいはそれ以上続くこともあります。中には、一度群発頭痛を経験した後は二度と発作が起こらない人もいますが、多くの場合は数年以内に再び群発期を迎えます。

群発期と寛解期を繰り返すパターンが典型的な群発頭痛ですが、中には寛解期がなく、慢性的に頭痛が続く「慢性群発頭痛」と呼ばれるタイプもあります。

発作の時間帯と持続時間

群発頭痛の発作は、特定の時間帯に起こりやすいという特徴があります。特に、夜間や睡眠中に起こることが多く、「夜中に突然激しい痛みで目が覚めた」という経験をする患者さんが少なくありません。これは、群発頭痛の原因として体内時計(サーカディアンリズム)の乱れが関与している可能性を示唆しています。

一回の発作の持続時間は、比較的短いのが特徴です。多くの場合、15分から180分(3時間)程度で痛みがピークに達し、その後徐々に和らいでいきます。3時間以上続くことは稀ですが、中にはさらに長く続く場合もあります。痛みが短時間であっても、その強烈さゆえに患者さんの苦痛は非常に大きいものとなります。

群発期中は、1日に1回以上、多いときには1日に数回、このような激しい頭痛発作が繰り返されます。発作の頻度や時間帯は、群発期の中でも変動することがあります。

群発頭痛の原因とメカニズム

原因不明だが視床下部や体内時計が関与か

群発頭痛は、その激しい痛みの特徴から、以前は血管性頭痛の一つと考えられていましたが、近年の研究によって、脳内の特定の部位や神経系の機能異常が関与していることが明らかになってきています。しかし、現時点では明確な原因は完全に解明されていません

群発頭痛の原因として現在最も有力視されているのが、脳の視床下部という部分の機能異常です。視床下部は、体温調節、睡眠・覚醒リズム、ホルモンバランスなど、体の様々な機能を調節する役割を担っています。

特に、視床下部にある「体内時計(生物時計)」と呼ばれる部分が、群発頭痛の発作パターンと深く関わっていると考えられています。群発頭痛の発作が特定の季節や時間帯に起こりやすいのは、この体内時計の周期的な活動と関連があるためではないか、という説が有力です。

また、視床下部の機能異常が、脳の三叉神経(顔面の感覚を司る神経)や、それに伴う自律神経(涙腺や鼻腺などを支配する神経)の過活動を引き起こし、激しい痛みや随伴症状を引き起こすメカニズムも研究されています。三叉神経と自律神経の複合的な活動が、群発頭痛の痛みの強さや特徴的な症状の原因となっていると考えられています。

飲酒や喫煙など誘発因子

群発期においては、普段は問題にならないような特定の行動や物質が、頭痛発作を誘発することが知られています。これらの「誘発因子」を避けることは、群発期を乗り切る上で非常に重要です。

最も有名な誘発因子は、アルコール(飲酒)です。群発期中に少量のアルコールを摂取しただけで、数十分後から数時間以内に激しい頭痛発作が誘発されることがよくあります。そのため、群発期中は禁酒が強く推奨されます。

次いで重要な誘発因子が喫煙です。喫煙者には群発頭痛の患者さんが多いことが疫学的に知られており、喫煙自体が発作を誘発する可能性も指摘されています。可能であれば、群発期中は禁煙することが望ましいです。

その他の誘発因子としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 特定の薬剤(ニトログリセリンなど血管を拡張させる薬)
  • 睡眠不足や寝過ぎなど、睡眠リズムの乱れ
  • 特定の食品(個人差があります)
  • 強い光や匂い
  • 気圧の変化(飛行機への搭乗など)
  • 急激な温度変化(熱い風呂など)

ただし、これらの誘発因子はあくまで「群発期中」に発作を引き起こしやすくするものであり、寛解期にこれらの因子に触れても発作は起こらないのが一般的です。また、これらの誘発因子が群発頭痛そのものの「原因」であるわけではありません。

群発頭痛の診断方法

詳しい問診で特徴を把握

群発頭痛の診断において最も重要となるのは、医師による詳しい問診です。患者さんから症状について詳しく聞き取り、その特徴を把握することが診断の大部分を占めます。

医師は、主に以下のような点について質問します。

  • 痛みの場所: どこが痛みますか?(例:片側の眼の奥、こめかみ、頬など)
  • 痛みの性質・強さ: どのような痛みですか?(例:えぐられるような、突き刺すような、脈打つような)痛みの程度は?(例:耐えられないほど)
  • 発作の頻度・持続時間: どのくらいの頻度で起こりますか?一回の発作はどのくらい続きますか?
  • 発作の時間帯: 一日のうち、いつ頃起こりやすいですか?(例:夜間、睡眠中、決まった時間など)
  • 随伴症状: 痛むのと同じ側に、涙が出る、鼻水が出る、まぶたが下がるなどの症状はありますか?
  • 発作中の様子: 痛みがある間、じっとしていられますか?それとも動き回ってしまいますか?
  • 群発期・寛解期: 頭痛が続く期間と、全く起こらない期間を繰り返しますか?その期間はどのくらいですか?
  • 誘発因子: アルコールや喫煙で頭痛が誘発されますか?
  • 既往歴・内服薬: 他に病気はありますか?現在服用している薬はありますか?
  • 家族歴: ご家族に同じような頭痛の方はいらっしゃいますか?

これらの問診を通して、症状が国際頭痛分類の定める群発頭痛の診断基準を満たすかどうかを判断します。

脳疾患を除外する検査

群発頭痛は、その激しい痛みが他の重篤な疾患(例えば脳腫瘍、脳動脈瘤、脳血管の炎症など)によって引き起こされる頭痛と紛らわしい場合があります。特に、初めて群発頭痛のような症状が出た場合や、いつものパターンと異なる症状が現れた場合は、これらの疾患を除外するために画像検査などの精密検査が必要になることがあります

一般的に行われる検査としては、頭部MRI検査やCT検査があります。これらの検査によって、脳の構造に異常がないか、頭痛の原因となる他の病気がないかを確認します。

画像検査で異常が見つからなくても、群発頭痛の診断が確定するという流れが一般的です。画像検査はあくまで「群発頭痛ではない他の病気を見つけるための検査」であり、群発頭痛そのものを画像で見つけることはできません。

診断は、問診で得られた情報と、必要に応じて行った検査の結果を総合的に判断して下されます。自己診断は危険ですので、必ず専門医の診察を受けるようにしましょう。

群発頭痛の治療法

発作時の治療(頓挫療法)

群発頭痛の治療には、発作が起こった時に痛みを和らげるための治療(頓挫療法)と、群発期に発作の頻度や強度を減らすための治療(予防療法)があります。これらの治療法を組み合わせて、群発期の苦痛を軽減し、日常生活への影響を最小限に抑えることを目指します。

酸素吸入療法

群発頭痛の発作に対して、最も効果が高く、副作用が少ないとされているのが高濃度酸素吸入療法です。家庭用あるいは携帯用の酸素ボンベとマスクを用いて、100%の酸素を毎分7〜10リットルの流量で15〜20分間吸入します。

この治療法は、発作が始まった直後に行うと、多くの患者さんで15分以内に痛みが軽減または消失するという高い効果が期待できます。効果があった場合、次の発作時にも繰り返し使用できます。

酸素吸入器は医師の処方によってレンタルまたは購入できます。自宅で発作が起こった際にすぐに使用できるよう、事前に準備しておくことが重要です。ただし、効果がない方もいらっしゃいます。

トリプタン製剤(自己注射、点鼻薬)

片頭痛の治療薬としてよく知られているトリプタン製剤も、群発頭痛の発作に対して有効な場合があります。特に、効果の発現が速い自己注射製剤(スマトリプタン)や点鼻薬(スマトリプタン、ゾルミトリプタン)が、群発頭痛の激しい痛みに効果的とされています。

経口のトリプタン製剤は、群発頭痛の発作時間が短いことが多いため、薬が吸収されて効果が現れる前に痛みが治まってしまうことがあり、あまり有効ではありません。

  • スマトリプタン自己注射: 患者さん自身が皮下注射することで、速やかに成分が体内に吸収され、高い鎮痛効果が得られます。効果発現まで数分から10分程度と速いのが特徴です。使用方法について医師や薬剤師から十分な指導を受ける必要があります。1日2回まで使用可能ですが、使用量は医師の指示に従ってください。
  • スマトリプタン点鼻薬: 鼻粘膜から吸収されるため、経口薬よりも速く効果が現れます。注射が苦手な方に向いています。片側の鼻に噴霧しますが、痛みのある側の鼻が詰まっている場合は、反対側の鼻に噴霧することもあります。
  • ゾルミトリプタン点鼻薬: スマトリプタン点鼻薬と同様に、群発頭痛の発作に有効です。

トリプタン製剤には血管を収縮させる作用があるため、心臓病や脳卒中の既往がある方、コントロールされていない高血圧の方など、使用できない場合があります(禁忌)。必ず医師の診断を受けて、安全に使用できるか確認する必要があります。

その他の頓挫療法として、スマトリプタン坐剤や、オクトレオチド(成長ホルモン抑制薬)の皮下注射が有効な場合もあります。

予防療法(群発期に発作を抑える)

予防療法は、群発期に入ったら開始し、発作の頻度や強さを軽減することを目的とする治療です。群発期が終わるまで(通常は数週間〜数ヶ月間)継続して服用します。頓挫療法だけでは対応しきれない場合や、発作が頻繁に起こる場合に検討されます。

ベラパミル

予防薬として最も頻繁に使用され、第一選択薬とされるのがベラパミル(カルシウム拮抗薬)です。本来は不整脈や高血圧の治療薬ですが、群発頭痛の予防に有効であることが知られています。

ベラパミルは、効果が現れるまでに時間がかかる(通常は1〜2週間)ため、群発期が始まったらできるだけ早期に開始することが推奨されます。医師は患者さんの状態を見ながら、徐々に薬の量を増やしていくことが多いです。

主な副作用としては、便秘、徐脈(脈が遅くなる)、低血圧などがあります。特に心臓の病気がある方や、他の心臓の薬を服用している方は注意が必要です。定期的な心電図検査で心臓への影響を確認しながら使用する必要があります。

ステロイド

ステロイド(プレドニゾロンなど)は、短期間の群発期に対して、比較的速やかに効果を発揮することがあります。特に群発期の初期に、ベラパミルの効果が現れるまでのつなぎとして使用されることがあります。

通常は、高用量から開始し、数日から1週間程度かけて徐々に減量していく方法がとられます。ステロイドの長期使用は様々な副作用(消化性潰瘍、糖尿病、骨粗鬆症、感染症のリスク増加など)のリスクが高まるため、短期間の使用に限られます。

その他の予防薬として、炭酸リチウム(双極性障害の治療薬)、トピラマート(てんかん治療薬)、ガバペンチン(神経痛治療薬)などが使用されることもあります。どの予防薬を選択するかは、患者さんの状態、他の病気の有無、副作用のリスクなどを考慮して医師が総合的に判断します。

重要なのは、これらの治療薬は医師の処方に基づいて使用すること、そして自己判断で量を調整したり、中断したりしないことです。また、頓挫療法と予防療法は組み合わせて行うことが一般的です。

日常生活で気をつけること

群発頭痛の治療は薬物療法が中心となりますが、日常生活の中でいくつかの点に注意することで、発作の誘発を防いだり、群発期の苦痛を軽減したりすることが期待できます。特に群発期には、これらの注意点を守ることが非常に重要です。

群発期に避けるべきこと(飲酒、喫煙)

前述の「誘発因子」の項目でも触れましたが、群発期においては、特定の行動や物質が発作を誘発する可能性が高まります。特に強く避けるべきなのは、アルコール(飲酒)と喫煙です。

  • 飲酒: 少量のアルコールでも、群発期中には高確率で発作を誘発します。群発期に入ったら、完全に禁酒することが最も重要です。ビール一杯、日本酒一杯といった少量でも発作が起こりうるため、徹底した禁酒が必要です。
  • 喫煙: 喫煙習慣のある人は群発頭痛になりやすいことが知られており、喫煙自体が発作を誘発する可能性もあります。群発期中は、喫煙を控えるか、可能であれば禁煙することが望ましいです。

これら以外にも、特定の食品やカフェインの大量摂取、強い光や匂い、気圧の変化、熱い風呂やサウナなど、個人的に発作を誘発しやすいと感じるものがあれば、群発期中は避けるようにしましょう。

規則正しい生活(睡眠)

体内時計の乱れが群発頭痛の原因の一つと考えられていることから、規則正しい生活リズムを保つことが発作の予防に役立つ可能性があります。特に睡眠は重要です。

  • 十分な睡眠時間の確保: 睡眠不足や寝過ぎは、体内時計を乱し、発作を誘発する可能性があります。毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように努め、十分な睡眠時間を確保しましょう。
  • 日中の仮眠は避ける: 群発頭痛の発作は睡眠中に起こりやすい特徴があります。日中の長すぎる仮眠は、夜間の睡眠リズムを崩し、発作を誘発する可能性があるため、群発期中は避ける方が良いとされています。どうしても仮眠が必要な場合は、短時間(20〜30分程度)に留めるようにしましょう。

その他、適度な運動やストレスの管理も、全体的な体の調子を整え、頭痛の予防に繋がる可能性があります。無理のない範囲で取り入れてみましょう。

群発頭痛になりやすい人の特徴

群発頭痛は誰にでも起こる可能性はありますが、特定の属性を持つ人に多く見られる傾向があります。これらの特徴を知ることで、自分が群発頭痛になりやすいタイプなのか、あるいは周囲に該当する人がいないかを確認する目安になります。

20代〜40代の男性に多い

群発頭痛は、比較的若い世代、特に20代から40代の働き盛りの男性に多く見られる病気です。男女比は概ね男性が女性の3〜4倍程度とされています。ただし、女性や高齢者、小児にも起こることがあります。

男性に多い原因は明確ではありませんが、ホルモンバランスなどが関連している可能性も示唆されています。

喫煙習慣や飲酒

群発頭痛の患者さんには、喫煙習慣のある人が非常に多いことが知られています。過去の喫煙歴がある人を含めると、患者さんの8〜9割が喫煙者であるという報告もあります。喫煙が群発頭痛の原因に直接的に関与しているかどうかは不明ですが、発症リスクを高めたり、群発期中の発作を誘発したりする可能性が指摘されています。

また、前述の通り、群発期中の飲酒は強い誘発因子となります。普段から飲酒習慣がある人が群発期に入ると、その影響を受けやすくなると考えられます。

遺伝的な要因の可能性

群発頭痛は、必ずしも遺伝する病気ではありませんが、家族の中に群発頭痛の方がいる場合、そうでない場合に比べて発症リスクがやや高まるという報告があります。これは、何らかの遺伝的な要因が発症に関与している可能性を示唆しています。しかし、遺伝的な要因だけで群発頭痛になるわけではなく、多くの場合は遺伝的要因と環境要因が複合的に関与して発症すると考えられています。

これらの特徴に当てはまるからといって、必ず群発頭痛になるわけではありませんし、これらの特徴がなくても発症する可能性はあります。あくまで統計的な傾向として理解してください。

群発頭痛に関するよくある質問

群発頭痛は死亡の原因となりますか?

群発頭痛そのものが直接的な死亡原因となることは、まずありません。 頭痛自体で命を落とす病気ではありません。しかし、その激しい痛みが原因で、精神的に追い詰められたり、QOL(生活の質)が著しく低下したりすることがあります。あまりに痛みが強いため、「この痛みが続くなら死んだ方がマシだ」と感じる患者さんもいるほどです。適切な診断と治療を受けることで、痛みをコントロールし、QOLを改善することが可能です。自己判断せずに、必ず専門医に相談してください。

群発頭痛は完治しますか?

群発頭痛は、寛解期があるものの、多くの場合繰り返し群発期を迎える慢性疾患です。現在の医学では、完全に「完治」させて二度と発作が起こらないようにすることは難しいのが現状です。しかし、適切な薬物療法によって、群発期の発作の頻度や強度を大幅に減らし、痛みをコントロールすることは十分に可能です。中には、一度群発頭痛を経験した後に、数年から数十年、あるいは生涯にわたって発作が起こらない「長期寛解」となる方もいらっしゃいます。

群発頭痛は難病指定されていますか?

群発頭痛は、日本の指定難病(難病の患者に対する医療等に関する法律に基づく医療費助成の対象となる疾患)には指定されていません。 したがって、指定難病医療費助成制度の対象とはなりません。ただし、高額療養費制度など、他の医療費助成制度の対象となる可能性はあります。ご自身の加入している健康保険組合や市区町村の窓口に確認してみてください。

群発頭痛とスマホの関係はありますか?

現時点では、スマートフォン(スマホ)の利用と群発頭痛の発症や悪化との間に、明確な因果関係は確立されていません。 スマホの使用自体が直接的に群発頭痛を引き起こすという証拠はありません。

しかし、長時間のスマホ使用は、眼精疲労、肩こり、首こりなどを引き起こす可能性があり、これらは緊張型頭痛などの他のタイプの頭痛の原因となることがあります。また、夜間のスマホ使用によるブルーライトの影響は、睡眠リズムを乱す可能性があり、これが体内時計の乱れを介して群発頭痛の発作を誘発する可能性も理論上は考えられます。

したがって、群発期中に睡眠リズムの乱れや眼精疲労などが発作を誘発する可能性がある因子として働くことは否定できませんが、スマホ使用が群発頭痛の主要な原因であるとは考えられていません。気になる場合は、群発期中にスマホの使用時間を減らすなど、生活習慣を見直してみることも有効かもしれません。

専門医への相談を検討しましょう

群発頭痛は、その激しい痛みが特徴的である一方で、診断や治療には専門的な知識と経験が必要です。自己判断で市販薬を服用したり、適切でない治療を続けたりすると、痛みが十分にコントロールできず、かえって苦痛が長引いたり、治療の機会を逃してしまったりする可能性があります。

群発頭痛の診断や治療経験が豊富なのは、主に神経内科医や頭痛専門医です。初めて群発頭痛のような激しい頭痛を経験した場合、あるいは群発頭痛と診断されているものの痛みがコントロールできていない場合は、これらの専門医がいる医療機関を受診することをお勧めします。

日本頭痛学会のウェブサイトなどで、頭痛専門医のリストや、頭痛診療に力を入れている医療機関を検索することができます。インターネット上の情報や個人的な経験談は参考になりますが、最終的な診断と治療方針は、必ず医師の診察を受けて決定するようにしてください。

群発頭痛は非常に辛い病気ですが、適切な治療を受けることで、群発期の苦痛を大幅に軽減し、QOLを改善することが可能です。一人で悩まず、まずは専門医に相談してみましょう。


免責事項:この記事は、群発頭痛に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、医学的な診断や治療を代替するものではありません。個々の症状や状況については、必ず医師の診断を受け、その指示に従ってください。この記事によって生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。

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