MENU
コラム一覧

WISC(ウィスク)検査とは?内容・結果の見方・費用・場所を解説

WISC(ウィスク)検査とは、お子さんの得意なことや苦手なことを多角的に理解するための知能検査です。単に「頭が良いか悪いか」を測るのではなく、様々な認知能力のバランスを見ることで、その子ならではの特性や、学習や生活における困りごとの原因を探る手がかりを得ることができます。この検査結果は、お子さんの学び方や関わり方、支援方法を考える上で非常に役立ちます。

この記事では、WISC検査とは具体的にどのような検査なのか、対象年齢、最新版の特徴、検査内容、結果の見方(IQや各指標の意味、ばらつきからわかること)、発達特性との関連、検査を受けるメリット・デメリット、そしてどこで検査を受けられるのか、費用はどのくらいかかるのか、といった点について、専門家監修のもと詳しく解説します。

目次

WISC検査とは?目的や対象年齢、最新版について

WISC検査について理解するためには、まずそれがどのような位置づけの検査であり、どのような目的で行われるのかを知ることが重要です。

WISC(ウィスク)検査とはどのような知能検査?

WISC検査は、正式名称を「ウェクスラー児童用知能検査」と言います。アメリカの心理学者であるデイヴィッド・ウェクスラーによって開発された、世界的に広く使用されている代表的な知能検査の一つです。

この検査は、単に知識の量を測るのではなく、言語理解、物の見方や操作、記憶、処理の速さなど、様々な角度からお子さんの認知能力を評価することを目的としています。知能を一つの能力として捉えるのではなく、いくつかの側面から見て、それぞれの能力がどのように機能しているか、そしてそれらの能力のバランスがどうなっているかを明らかにしようとします。

WISC検査の目的|何がわかる?

WISC検査を受ける主な目的は、お子さんの知的な「得意・苦手」を詳細に把握することにあります。具体的には、以下のような点を明らかにすることができます。

  • 認知能力の全体像と特性の理解: 全体的な知的能力(FSIQ)だけでなく、言語による理解力、目で見た情報を処理する力、耳で聞いた情報を一時的に記憶して使う力、簡単な作業を素早く正確に行う力など、様々な認知能力のレベルとその間のバランスがわかります。
  • 学習面や生活面での困りごとの原因探求: 「読み書きが苦手」「計算間違いが多い」「不注意が多い」「落ち着きがない」「集団行動が苦手」など、学習や日常生活での困りごとの背景に、どのような認知特性が関わっているのかを推測する手がかりになります。例えば、聞くのは得意だが、目で見て理解したり書き写したりするのが苦手、という特性が見られる場合、視覚的な情報処理の苦手さが困りごとにつながっている可能性などが考えられます。
  • 個別の支援方法や環境調整の検討: 検査結果で明らかになった得意・苦手に基づいて、その子に合った効果的な学習方法や、日常生活での困りごとを軽減するための具体的な支援方法、環境の調整(座席位置、課題の提示方法など)を検討するための重要な情報が得られます。
  • 本人の自己理解と自己肯定感の向上: 検査結果を通じて、お子さん自身が「自分はこういうことが得意なんだ」「こういうことは少し苦手だけど、他のことでカバーできるんだ」といった形で、自分自身の特性を理解する手助けになります。これにより、自己肯定感を育むことにつながる場合もあります。
  • 周囲の理解促進: 検査結果を学校の先生や関係機関と共有することで、お子さんの特性に対する周囲の理解を深め、より適切なサポート体制を築く一助となります。

ただし、WISC検査の結果はあくまで「認知特性を理解するための一つの情報」であり、それだけで発達障害の診断がつくわけではないことを理解しておく必要があります。診断は医師が、生育歴、行動観察、他の情報などを総合的に判断して行います。

WISC検査の対象年齢は?大人も受けられる?

WISC検査は、主に児童を対象とした検査です。現在の最新版であるWISC-Vの対象年齢は、5歳0ヶ月から16歳11ヶ月までと定められています。

お子さんの年齢に応じて、適切なバージョンのWISC検査が実施されます。

では、大人は知能検査を受けられないのでしょうか? いいえ、大人向けのウェクスラー式知能検査も存在します。それが「WAIS(ウェイス)」です。正式名称は「ウェクスラー成人用知能検査」といい、WAIS-IVの対象年齢は16歳0ヶ月から89歳11ヶ月です。

また、WISCよりもさらに低年齢のお子さん(2歳6ヶ月から7歳3ヶ月)を対象とした「WPPSI(ウィプシィ)」というウェクスラー式の知能検査もあります。

このように、ウェクスラー式知能検査は、幼児期から老年期まで、幅広い年齢層に対応したものが用意されています。本記事ではWISC(児童用)を中心に解説しますが、「wisc 検査 大人」で検索された方も、WAISが大人向けの検査であることを知っておくと良いでしょう。

WISC-IVとWISC-Vの違い

WISC検査は、定期的に改訂が行われ、より新しい研究知見や臨床実践に基づいた検査へと進化しています。現在、日本で主に実施されている最新版は「WISC-V」です。それ以前は「WISC-IV」が主流でした。

WISC-IVからWISC-Vへの改訂では、主に以下のような変更点があります。

  • 指標構成の変更: WISC-IVでは4つの主要な指標(言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度)で構成されていましたが、WISC-Vではこれらが再編成され、5つの主要指標(言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリー、処理速度)となりました。特に、WISC-IVの知覚推理がWISC-Vでは「視空間」と「流動性推理」の二つに分かれたことが大きな変更点です。これにより、非言語的な推理能力をより細かく分析できるようになりました。
  • 下位検査の追加・削除・変更: 検査を構成する個々の下位検査にも変更があります。新しい下位検査が追加されたり、削除されたり、実施方法が変更されたりしています。これにより、より広範囲の認知能力を効率的に測定できるようになっています。
  • 補助指標の拡充: 主要指標だけでなく、より詳細な情報を提供する補助指標が拡充されました。これにより、特定の認知機能や学習上の困難さとの関連をより深く探ることが可能になっています。
  • 実施方法や採点基準の更新: 検査の実施方法や採点基準も、標準化データに基づいて最新のものに更新されています。

WISC-Vは、WISC-IVよりもさらに多角的に認知能力を評価し、より詳細な分析を可能にすることを目的として開発されました。現在、検査を受けられるほとんどの施設でWISC-Vが導入されていますが、中にはまだWISC-IVで検査を実施している施設もあります。どちらのバージョンで受けるかによって、結果の指標構成などが異なりますので、検査を申し込む際に確認しておくと良いでしょう。

WISC検査の内容と実施方法

WISC検査は、いくつかの下位検査の集合体です。それぞれの下位検査は、異なる認知能力を測定するように設計されています。

WISC検査の構成と評価される能力(指標)

WISC-Vでは、主に以下の5つの主要指標と、それらを構成する複数の下位検査によって、お子さんの認知能力が評価されます。

主要指標 評価される能力 WISC-Vの代表的な下位検査例
言語理解指標 (VCI) 言葉に関する知識、理解力、概念形成能力、言語的推理力。言葉で説明された内容を理解したり、言葉を使って考えたりする力。 類似(二つの単語の共通点を答える)、単語(単語の意味を説明する)、知識(一般的な知識を問う)、理解(常識的な問題の解決策を考える)
視空間指標 (VSI) 視覚的な情報を捉え、全体と部分の関係を理解したり、図形を正確に認識・操作したりする力。 積木模様(見本と同じ積木模様を制限時間内に作る)、パズル(ばらばらの絵を組み立てる)
流動性推理指標 (FRI) 新しい情報や規則性を理解し、それに基づいて問題解決を行う力。抽象的な思考力や法則を見抜く力。 行列推理(マトリクス図の欠損部分に合うものを選ぶ)、図の重なり(重なった図形から元の図形を推測する)
ワーキングメモリー指標 (WMI) 耳で聞いた情報や目で見た情報を一時的に心の中に保持し、それを処理したり操作したりする力。集中力や注意の持続力とも関連。 数唱(聞いた数字をそのまま、または逆順に復唱する)、符号(数字に対応する記号を覚える)、視覚性数唱(目で見た数字の系列を記憶する)
処理速度指標 (PSI) 簡単な視覚情報を素早く正確に処理する力。注意を配分し、効率的に作業を進める力。 記号探し(特定の記号があるかどうかを素早く判断する)、符号(数字に対応する記号を書き写す)、絵の完成(欠けている部分を答える)

※上記はWISC-Vの主要な下位検査の例であり、すべての下位検査を列挙しているわけではありません。また、必須ではない下位検査(補助下位検査)もあり、実施内容は施設や目的によって異なる場合があります。

WISC-IVでは、知覚推理指標 (PRI) が上記のVSIとFRIを合わせたような能力を測っていましたが、WISC-Vではこれらの能力がより細分化されたことで、お子さんの非言語的な認知能力について、より詳細な傾向を捉えることが可能になりました。

検査はどのように行われる?所要時間

WISC検査は、検査の実施方法や採点に専門的な知識と技術が必要なため、必ず資格を持つ専門家(臨床心理士、公認心理師、言語聴覚士など)によって行われます。

検査は、お子さんと検査者が1対1で、静かで落ち着いた環境で行われます。検査室には、検査に必要な積木や絵カード、用紙などが準備されています。

検査は、様々な下位検査を一つずつ順番に進めていきます。下位検査の内容は多岐にわたり、口頭での質問に答えたり、目で見て問題を解いたり、手を使って作業を行ったりと、お子さんは色々な課題に取り組みます。

例えば、

  • 「りんごとバナナは、どんなところが似ていますか?」といった言葉の質問に答えたり(類似)。
  • 見本と同じ模様を積木で組み立てたり(積木模様)。
  • 数字を順番に復唱したり(数唱)。
  • 絵の中の欠けている部分を答えたり(絵の完成)。
  • 特定の図形に記号を書き写したり(符号)。

といった課題を行います。

検査は、お子さんの年齢や反応を見ながら、飽きないように、また集中力が持続するように配慮して進められます。途中で休憩を挟むこともあります。

検査全体の所要時間は、お子さんの年齢や検査の進捗状況、休憩時間などによって異なりますが、一般的には1時間から1時間半程度です。小さなお子さんや、集中力が続きにくいお子さんの場合は、もう少し時間がかかることもあります。

検査を受けるお子さんは、普段着でリラックスして臨めば大丈夫です。事前の特別な準備は必要ありませんが、「テストを受けに行く」というよりも「色々な面白い遊びをさせてもらえる」といったポジティブな声かけをしてあげると、お子さんの緊張が和らぐかもしれません。

WISC検査の結果の見方|IQや指標得点の意味

WISC検査の結果は、単に「IQがいくつだった」という数字だけでなく、様々な側面からお子さんの認知特性を読み取ることができます。結果を正しく理解することが、その後の支援や関わり方を考える上で非常に重要になります。

全体的な知能指数(FSIQ)とは?平均値は?

WISC検査の結果でまず示されるのが、「全検査IQ(FSIQ:Full Scale Intelligence Quotient)」です。これは、検査で測定した様々な認知能力を総合的に評価したもので、お子さんの全体的な知的能力のレベルを示します。

FSIQは、同じ年齢の子どもたちの集団の中で、お子さんの知的な位置がどのあたりにあるかを示すものです。統計的に、平均値は100と定められており、多くの人(約68%)が85から115の範囲に収まります。

FSIQの数値が高ければ全体的な知的機能が高い、低ければ全体的な知的機能に困難がある、という傾向は読み取れます。しかし、FSIQはあくまで様々な能力の合計点のようなものです。たとえFSIQが平均的であっても、特定の能力だけが突出して高かったり、逆に極端に低かったりする場合があります。そのため、FSIQだけを見てお子さんの特性を判断することは適切ではありません。

FSIQは、以下のように大まかなカテゴリに分けられることがありますが、これもあくまで目安です。

  • 130以上: 非常に高い
  • 120~129: かなり高い
  • 110~119: 平均の上
  • 90~109: 平均
  • 80~89: 平均の下
  • 70~79: 境界域
  • 69以下: 非常に低い

重要なのは、この数字が全てではないということです。検査当日の体調や気分、検査者との相性、検査環境なども結果に影響を与える可能性があります。FSIQはあくまで全体像を把握するための一つの指標として捉えましょう。

4つ(または5つ)の指標得点の解釈

WISC検査の結果でFSIQと並んで、あるいはそれ以上に重要視されるのが、それぞれの主要指標得点です。WISC-Vでは言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリー、処理速度の5つの指標得点が算出されます。WISC-IVの場合は言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度の4つです。

これらの指標得点も、FSIQと同様に平均値が100となるように標準化されています。各指標得点が平均と比べて高いか低いかを見ることで、お子さんの認知能力の側面ごとの得意・不得意を知ることができます。

  • 指標得点が高い場合: その分野の認知能力が、同年齢の子どもたちの集団と比べて優れている傾向を示します。その能力を活かせるような学習方法や環境を用意することで、より効果的に学ぶことができる可能性があります。
  • 指標得点が低い場合: その分野の認知能力が、同年齢の子どもたちの集団と比べて苦手な傾向を示します。この苦手さが、特定の学習課題や日常生活での困りごとにつながっている可能性があります。苦手な部分を補うための工夫や、得意な部分でカバーする戦略を考えるヒントになります。

例えば、VCI(言語理解指標)が高く、PSI(処理速度指標)が低いお子さんの場合、言葉で説明される内容はよく理解できるけれど、時間内に作業をこなしたり、素早く判断したりすることが苦手な傾向があると考えられます。授業中に先生の話を理解するのは得意でも、テストで記述問題に時間がかかってしまう、といった状況が考えられます。

指標間のばらつきを見る重要性

WISC検査の結果を解釈する上で、最も重要と言えるのが、各主要指標得点間の「ばらつき」を見ることです。たとえFSIQが平均的であっても、指標間で大きな差がある場合、特定の認知機能に偏りがある可能性が示唆されます。

例えば、あるお子さんの主要指標得点が以下のような場合を考えてみましょう(あくまでフィクションの例です)。

  • 言語理解指標 (VCI): 125
  • 視空間指標 (VSI): 95
  • 流動性推理指標 (FRI): 90
  • ワーキングメモリー指標 (WMI): 80
  • 処理速度指標 (PSI): 75

この場合、FSIQは平均に近い値になるかもしれませんが、VCIが非常に高い一方で、WMIやPSIは平均よりかなり低いという大きなばらつきが見られます。これは、言葉での理解力は優れているものの、短期記憶や素早い情報処理に苦手さがあることを示唆しています。

このようなばらつきが大きい場合、日常の様々な場面で「できること」と「できないこと」のギャップが生じやすく、それがお子さんの困りごとにつながっている可能性があります。「簡単なことはできるのに、なぜかあのことだけは苦手」「どうしてあんなに時間がかかるんだろう」といった状況の背景に、特定の認知能力の弱さが関わっているのかもしれません。

ばらつきの大きさそのものが、発達特性を示唆する場合があります。特に、特定の主要指標間や、主要指標とそれを構成する下位検査間で大きな差が見られる場合は、注意が必要です。専門家は、統計的に意味のあるばらつきがあるかどうかを分析し、それがお子さんの日常の様子や生育歴とどのように結びつくかを検討します。

ただし、指標間のばらつきがあることイコール発達障害というわけではありません。ばらつきは誰にでも多少はありますが、その程度や、それが生活上の困難にどのようにつながっているかが重要です。

結果からわかる得意・苦手|発達特性との関連(ADHD、ASD、ギフテッドなど)

WISC検査の結果からわかる認知特性の「得意・苦手」は、さまざまな発達特性を持つお子さんに特有のパターンとして現れることがあります。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、個々のお子さんによって結果は大きく異なります。WISCの結果だけで診断が確定するものではなく、あくまで「特性を理解するための手がかり」として捉える必要があります。

以下に、いくつかの発達特性とWISCの結果に見られることがある一般的な傾向について説明します。

  • 注意欠如・多動症(ADHD)
    ADHDのあるお子さんの中には、ワーキングメモリー指標(WMI)や処理速度指標(PSI)が他の指標と比べて低い傾向が見られることがあります。
    • WMIの低さ: 指示を覚えたり、複数のことを同時に考えたりすることが苦手な場合があり、忘れ物や授業についていくのに苦労するなどの形で現れることがあります。
    • PSIの低さ: 簡単な作業や情報の処理に時間がかかり、テストの時間が足りなくなる、課題を終わらせるのに時間がかかる、といった形で現れることがあります。

    ただし、すべてのADHDのお子さんにこのパターンが見られるわけではなく、ADHDの特性の出方によって結果は様々です。

  • 自閉スペクトラム症(ASD)
    ASDのあるお子さんの中には、指標間で大きなばらつきが見られることが多いと言われています。特に、言語理解指標(VCI)と視空間指標(VSI)または知覚推理指標(PRI)の間に大きな差が見られることがあります。
    • VCIが高いがVSI/PRIが低い: 言葉の意味を理解したり、知識を得たりすることは得意でも、図形的な理解や非言語的な推理が苦手な場合があります。場の空気を読む、相手の表情から意図を読み取るといった非言語コミュニケーションの困難さに関連する場合もあります。
    • VCIが低いがVSI/PRIが高い: 言葉でのやり取りや説明を理解するのは苦手でも、視覚的な情報やルール、パターンを理解したり、空間を把握したりするのが得意な場合があります。特定の分野(電車、恐竜など)に強い興味を持ち、関連知識が豊富な一方で、一般的な会話は苦手、といった形で現れることがあります。

    また、ASDのあるお子さんは、ワーキングメモリーや処理速度に特性が見られることもあります。対人関係やコミュニケーションの困難さの背景に、言葉以外の情報処理の特性が関わっている可能性を探る手がかりになることがあります。

  • 限局性学習症(LD、学習障害)
    LDのあるお子さんの中には、特定の主要指標や下位検査のみが他の能力と比べて極端に低い、といったパターンが見られることがあります。
    • 読み書きの困難(ディスレクシア): PSIや、視覚的な情報を素早く正確に処理する能力に関連する下位検査の得点が低い場合などがあります。視覚的な情報の捉え方に特性があることが、文字の認識や書き写しの困難につながる可能性があります。
    • 算数・数学の困難(ディスカリキュリア): WMIや、数量概念や論理的思考に関わる下位検査の得点が低い場合などがあります。数字や計算の手順を覚えたり、応用問題を解いたりすることに困難を抱える可能性があります。
    • 書字表出の困難(ディスグラフィア): PSIや、手と目を協調させて素早く正確に作業する能力に関連する下位検査の得点が低い場合などがあります。文字を正確に書く、文章を構成するといった作業に困難を抱える可能性があります。
  • ギフテッド
    ギフテッド(特定の分野や全体的な知的能力が非常に高い子供たち)のお子さんの中には、FSIQが平均より著しく高いことに加え、指標間で大きなばらつきが見られることがあります。
    • 特定の指標(例: VCIやFRI)が非常に高い一方で、PSIやWMIが平均的、といったパターンが見られることがあります。これは、高度な概念理解や思考力は突出しているものの、単純作業を素早く正確に行うことや、複数の情報を一時的に保持・処理することが苦手、といった状況を示唆する場合があります。

    ギフテッドのお子さんの場合、突出した能力がある一方で、特定の苦手さによって学校生活や社会生活で困りごとを抱えることもあります。WISCの結果は、その突出した強みと、サポートが必要な苦手さの両方を理解するのに役立ちます。

繰り返しますが、これらの傾向はあくまで一般的なものであり、すべてのお子さんに当てはまるわけではありません。WISCの結果は、お子さんの全体的な特性を理解するための出発点であり、専門家による詳しい解釈と、お子さんの日常の様子や生育歴、他の検査結果などを組み合わせた総合的な評価が不可欠です。

WISC検査を受けるメリット・デメリット

WISC検査を受けることを検討する際には、そのメリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。

WISC検査を受けるメリット

WISC検査を受けることで得られる主なメリットは以下の通りです。

  • お子さん(または自身)の認知特性を客観的に把握できる: 日常の観察だけでは気づきにくい、知的な得意・苦手を数値やグラフとして視覚的に把握できます。これにより、「なぜ特定のことがうまくいかないのか」という疑問に対する客観的な手がかりが得られます。
  • 困りごとの原因理解につながる: 学習や生活上の困難が、特定の認知能力の苦手さに関連している可能性を探ることができます。困りごとの根本原因を理解することは、効果的な対策を立てるための第一歩です。
  • 個別の支援方法や学習方法のヒントが得られる: 検査結果で明らかになった得意・苦手を踏まえ、その子に最も適した学習方法(例: 耳で聞くより目で見た方が理解しやすい、口頭で説明する方が得意など)や、苦手な部分を補うための具体的な支援策(例: 視覚的なサポートを増やす、複雑な指示を分解する、時間制限のある課題に配慮するなど)を検討できます。
  • 自己肯定感の向上につながる: 苦手な部分だけでなく、得意な能力が明確になることで、「自分にはこんな良いところがあるんだ」という自己肯定感を育むことができます。また、苦手さがあることを知ることで、「自分が頑張っていないからできないのではない」と理解し、自分を責めすぎないことにもつながります。
  • 周囲の理解促進に役立つ可能性がある: 検査結果を学校の先生や習い事の関係者など、お子さんに関わる人たちと共有することで、お子さんの特性に対する理解を深め、より適切な関わりやサポートをお願いしやすくなる場合があります。(情報の共有には、必ず本人の同意や保護者の判断が必要です。)
  • 将来の進路選択の参考になる: お子さんの得意な能力や興味が、将来の学習分野や職業選択と関連している場合があります。絶対的な指針ではありませんが、一つの参考情報として活用できます。

WISC検査のデメリットや限界

WISC検査には多くのメリットがありますが、同時にデメリットや限界も存在します。

  • 検査費用がかかる: WISC検査は専門家が1対1で時間をかけて実施するため、費用がかかります。施設や保険適用の有無によって大きく異なりますが、数万円程度かかる場合もあります。(費用については後述の項目で詳しく解説します。)
  • 検査結果が全てではない: 検査はあくまで検査時の状況を切り取ったものであり、お子さんの総合的な能力や可能性の全てを表すものではありません。検査当日の体調、機嫌、検査者との相性なども結果に影響を与える可能性があります。数値に一喜一憂しすぎないことが大切です。
  • 結果の解釈に専門知識が必要: 検査結果報告書には専門的な用語が多く含まれます。数値だけを見て自己判断するのではなく、必ず検査を実施した専門家から詳しい説明を受け、疑問点を解消することが重要です。
  • 結果を知ることでショックを受ける可能性がある: 予想外の低い数値や、特定の苦手さが明らかになることで、保護者や本人がショックを受けてしまう可能性もゼロではありません。結果をどのように受け止め、今後どう活かしていくかを事前に考えておく必要があります。
  • 診断そのものではない: WISC検査の結果は、発達障害などの診断に非常に有用な情報を提供しますが、それだけで診断が確定するわけではありません。診断は医師が総合的に判断して行います。
  • 特性に応じた支援は別途必要: 検査結果はあくまで「何を理解すべきか」を教えてくれるものであり、結果が出たからといって困りごとがすぐに解決するわけではありません。結果に基づいて、具体的な支援計画を立て、実行していくことが必要です。
  • 検査を受けること自体にストレスを感じる子供もいる: 見慣れない場所で、知らない大人と1対1で色々な課題に取り組むことに、不安やストレスを感じるお子さんもいます。無理強いするのではなく、お子さんの気持ちに配慮することが大切です。

これらのデメリットや限界を理解した上で、WISC検査を受けるかどうかを慎重に検討することが推奨されます。

WISC検査の活用方法

WISC検査の結果は、単なる数値の羅列として終わらせるのではなく、その情報を日々の生活や学習の場で積極的に活用していくことが重要です。結果を「弱点を指摘されたもの」と捉えるのではなく、「自分(子供)を理解するための地図」として捉え、より自分らしい生き方を見つけるためのヒントにしましょう。

子供の学習支援や進路選択への活用

WISC検査の結果を子供の学習支援に活用する方法は多岐にわたります。

  • 得意な能力を活かした学習方法の検討: 例えば、言語理解が高いお子さんには、文章で説明された課題や、討論・発表といった言語活動を中心にした学習が効果的かもしれません。視空間認知が高いお子さんには、図やグラフ、イラストを多用したり、ブロックやパズルを使った具体物での学習が理解を深める助けになるかもしれません。
  • 苦手な能力を補う、または迂回する工夫: ワーキングメモリーが苦手な場合は、一度に多くの指示を出すのではなく、一つずつ簡潔に伝える、メモを取る習慣をつける、視覚的なチェックリストを活用するなどの工夫が考えられます。処理速度が苦手な場合は、時間のかかる課題を分ける、他の人より少し多めに時間を与える、回答形式を工夫する(記述式から選択式へ変更するなど)といった配慮が有効かもしれません。
  • 授業での配慮事項の検討: 検査結果を担任の先生やスクールカウンセラーと共有することで、授業中の座席位置(気が散りにくい場所)、板書の見やすさ、課題の提示方法、発表の機会などについて、お子さんの特性に合わせた配慮を検討してもらうことができます。
  • 宿題の進め方、テスト対策: 宿題の量を調整したり、集中できる環境を整えたり、休憩のタイミングを決めたりといった進め方を、お子さんの処理速度や集中力に合わせて工夫できます。テスト前には、苦手な分野を補強するだけでなく、得意な分野で確実に点数を取るための戦略を立てることも重要です。
  • 将来の進路選択における適性の参考: 検査結果で突出した得意分野が見られる場合、それが将来興味を持つかもしれない学問分野や職業と関連している可能性があります。例えば、視空間認知や流動性推理が高い場合は、科学、技術、エンジニアリング、数学(STEM分野)などに適性があるかもしれませんし、言語理解が高い場合は、人文科学、社会科学、芸術、コミュニケーションに関わる分野などに興味を持つかもしれません。これはあくまで参考情報ですが、お子さんが自身の興味や才能を発見し、将来の可能性を広げる手助けになることがあります。

大人の自己理解や困りごとの対策への活用

WAIS(成人用)検査の結果は、大人になってからの自己理解や、仕事・日常生活での困りごとを改善するためのヒントとして活用できます。(WISCは児童用ですが、「wisc 検査 大人」で検索される方もいるため、WAISの活用についても触れます。)

  • 仕事や日常生活での困りごとの原因理解: 「なぜか仕事で同じミスを繰り返してしまう」「段取りを組むのが苦手」「会話についていくのが大変」「特定の作業に時間がかかりすぎる」といった困りごとの背景に、どのような認知特性(ワーキングメモリーの弱さ、処理速度の遅さ、非言語情報の理解の苦手さなど)が関わっているのかを理解する手助けになります。
  • 自分に合った働き方や環境調整の検討: 検査結果から明らかになった得意・苦手を踏まえ、自分の強みを活かせる職種や業務内容、働き方(例: 細かい作業より大まかな計画立案、一人で集中できる環境、締め切りが明確な仕事など)を検討できます。職場の同僚や上司に、特性を踏まえた配慮(例: 指示は書面でももらう、作業の手順を視覚化する、周囲の音を遮断できるイヤホンを使うなど)をお願いする際の根拠となる場合もあります。
  • コミュニケーションの工夫: 言語理解は高いが、視空間認知が苦手な場合、相手の表情や身振り手振りといった非言語的なサインを読み取るのが難しい可能性があります。その場合は、言葉での確認を丁寧に行ったり、「こういう意味ですか?」と聞き返したりするなどの工夫が有効です。
  • 苦手な作業の効率化: 処理速度が遅い、またはワーキングメモリーが少ないといった苦手さがある場合、マルチタスクを避ける、タスクを細分化する、チェックリストを作成する、デジタルツールを活用するといった方法で、作業効率を高める工夫ができます。
  • 自分の強みを活かす方法の発見: 苦手さにばかり目が行きがちですが、検査結果では必ず得意な能力も示されます。その強みをどのように仕事や趣味、人間関係に活かせるかを積極的に考えることで、自己肯定感を高め、より充実した生活を送ることにつながります。
  • 自己肯定感の向上: 検査結果によって、これまでの人生で感じてきた「なぜ自分はこうなんだろう」という疑問や自己否定感が解消され、自分自身の特性を肯定的に受け入れられるようになることがあります。

大人がWISC(WAIS)検査を受けることは、自身の認知特性を深く理解し、人生における困りごとを乗り越え、自分らしく生きるための具体的な戦略を立てる上で、非常に有益な機会となり得ます。

WISC検査はどこで受けられる?費用は?

WISC検査は専門性の高い検査であるため、どこでも受けられるわけではありません。また、費用についても施設や状況によって異なります。

病院・クリニック

WISC検査を受ける最も一般的な場所の一つは、児童精神科や精神科、心療内科などです。特に、発達に関する専門外来を設けている医療機関で実施されることが多いです。

病院やクリニックで検査を受けるのは、以下のような場合が多いです。

  • お子さん(または大人自身)の行動や学習面での困りごとについて、発達特性との関連性を調べたい場合。
  • 発達障害(ADHD、ASD、LDなど)の診断を目的として、その診断過程の一環としてWISC検査が必要となる場合。
  • 既に発達障害の診断を受けており、より詳しい認知特性を把握して、その後の支援計画に役立てたい場合。

医療機関でWISC検査を受ける場合は、まず医師の診察を受け、医師が必要と判断した場合に検査が実施される流れとなります。検査後には、医師や心理士から結果の説明を受け、診断や今後の治療・支援について相談します。

発達支援センター・療育機関

児童の発達に関する相談や支援を行っている発達支援センターや療育機関でも、WISC検査が実施されることがあります。これらの機関は、医療機関と連携している場合もあれば、行政や社会福祉法人が運営している場合もあります。

発達支援センターや療育機関で検査を受けるのは、主に以下のような場合です。

  • 就学前のお子さんの発達に関する相談の中で、必要に応じて検査を勧められる場合。
  • 既に支援を受けている機関で、より個別的な支援計画を立てるために認知特性を詳しく知りたい場合。
  • 医療機関での診断は受けたが、その後の具体的な支援について相談したい場合。

これらの機関では、検査だけでなく、検査結果を踏まえた個別の支援プログラムや、ペアレントトレーニング、集団療育など、幅広い支援を提供していることが多いです。

児童相談所・教育相談所

行政機関である児童相談所や教育相談所でも、WISC検査を含む様々な検査が実施されることがあります。

  • 児童相談所: 18歳未満のお子さんに関する様々な相談(養育、非行、障害など)に応じており、必要に応じて専門的な検査や一時保護などを行います。保護者からの相談や、学校などからの通告を受けて関わることがあります。
  • 教育相談所: 子供たちの学習や不登校、いじめ、発達など、教育に関する様々な悩みについて相談に応じ、必要に応じて心理検査や専門機関の紹介などを行います。

これらの相談所は、公的な機関であり、費用がかからない場合が多いですが、検査を受けるまでの手続きや待機期間がある場合があります。

費用相場

WISC検査の費用は、検査を受ける施設や、健康保険が適用されるかどうかによって大きく異なります。

検査を受ける場所 保険適用 費用相場
病院・クリニック 特定の疾患(発達障害など)の診断や治療目的で医師が必要と判断した場合 保険適用の場合: 数千円 ~ 1万円程度(3割負担の場合)
自費の場合: 3万円 ~ 5万円程度、またはそれ以上
発達支援センター・療育機関 施設やサービス内容による(公的な施設では無料の場合もある) 無料 ~ 数万円程度
児童相談所・教育相談所 行政機関のため、基本的に無料 基本的に無料

重要な注意点:

  • 保険適用: 検査を受ける目的が「診断のため」や「治療方針を検討するため」など、医学的な必要性があり、医師が検査実施を判断した場合に保険が適用されます。単に「子供の得意・苦手を知りたい」といった理由で希望する場合は、原則として保険適用外となり、全額自己負担(自費)となります。
  • 自費の場合: 医療機関で自費でWISC検査を受ける場合、施設によって料金設定が大きく異なります。検査費用だけでなく、事前の医師の診察料や、検査後の結果説明(カウンセリング)の費用が別途かかる場合もあります。
  • 問い合わせが必須: 上記の費用相場はあくまで目安です。実際にWISC検査を希望する場合は、必ず事前に希望する施設に電話やウェブサイトで問い合わせ、検査内容、費用、保険適用の条件、予約方法、混雑状況などを確認するようにしましょう。

地域別の情報(東京など)

WISC検査を受けられる施設は、お住まいの地域によって異なります。特に、都市部では専門機関の数が多い傾向がありますが、地方では限られている場合もあります。

お住まいの地域でWISC検査を受けられる場所を探すには、以下のような方法があります。

  • かかりつけの小児科医や学校の先生に相談する: 地域の発達支援機関や専門医に関する情報を持っている場合があります。
  • 市町村の役所や保健センターに問い合わせる: 地域の相談窓口や、WISC検査を受けられる公的な機関について案内してもらえることがあります。
  • インターネットで検索する: 「〇〇市 WISC 検査」「〇〇県 発達外来 検査」といったキーワードで検索すると、近くの医療機関や相談機関が見つかることがあります。ただし、ウェブサイトの情報が最新であるか、WISC検査を実施しているか、対象年齢は合っているかなどを必ず確認してください。
  • 心理士の専門職団体に問い合わせる: 公認心理師や臨床心理士などの専門職団体が、地域の心理相談機関のリストを公開している場合があります。

東京都内にはWISC検査を受けられる医療機関や相談機関が多くありますが、施設によって得意分野(乳幼児、学齢期、思春期など)、予約の取りやすさ、費用などが異なります。事前にしっかりと情報収集し、ニーズに合った施設を選ぶことが大切です。

WISC検査以外の知能検査

WISC検査は代表的な知能検査ですが、知能を測定する検査は他にもいくつか存在します。目的や対象年齢に応じて、他の検査が選択される場合もあります。

田中ビネー知能検査との違い

WISC検査と並んで日本でよく実施される知能検査に、「田中ビネー知能検査」があります。これは、フランスの心理学者アルフレッド・ビネーが開発した検査を基に、日本の文化に合わせて田中寛一氏が作成したものです。

WISC検査と田中ビネー知能検査は、どちらも知能を測定する検査ですが、考え方や測定方法に違いがあります。

比較項目 WISC検査(ウェクスラー式) 田中ビネー知能検査
開発背景 特定の能力(言語理解、知覚、記憶、処理速度など)の側面から知能を多角的に捉えることを重視。 全体的な知能レベルを測定し、その発達年齢(精神年齢)を把握することを重視。
対象年齢 WISC-V: 5歳0ヶ月~16歳11ヶ月(WAIS: 成人、WPPSI: 幼児) II型: 2歳0ヶ月~成人
結果の表現 全検査IQ (FSIQ) と、複数の主要指標得点(WISC-Vでは5つ)で示される。同年齢集団の中での位置づけ。 精神年齢 (MA) と生活年齢 (CA) から算出されるIQ (Deviation IQ)。年齢ごとの到達度。
結果の解釈 指標間のばらつきを見て、認知特性の得意・苦手を詳細に分析することが重視される。 精神年齢と生活年齢の差を見て、全体的な発達レベルを把握することが重視される。特定能力のばらつきは読みにくい。
適用されやすい場面 発達特性に伴う認知の偏りを詳しく知りたい場合、学習や行動の困りごとの背景を分析したい場合。 比較的低年齢のお子さんの全体的な発達の遅れを把握したい場合、精神遅滞の診断の参考としたい場合。
検査項目 各下位検査で、それぞれ異なった種類の課題に取り組む。 年齢ごとに異なる課題が設定されており、その年齢の課題がどれだけこなせるかで精神年齢を算出する。

このように、WISC検査は認知能力の「側面」を詳しく分析することに長けているのに対し、田中ビネー知能検査は知能の「発達レベル」を全体的に把握することに適しています。どちらの検査を選択するかは、検査を受ける目的や対象者の年齢、施設の考え方などによって異なります。

その他の主な知能検査

WISCや田中ビネー以外にも、様々な知能検査や認知能力を測定する検査があります。

  • KABC-II (カウフマンアセスメントバッテリー): 3歳0ヶ月~18歳11ヶ月を対象とした個別式認知能力検査。特定の文化的背景に依存しない問題が多く含まれており、多様な子供たちの認知処理スタイルや能力を評価できるとされています。認知処理過程(継次処理、同時処理など)に注目した解釈も可能です。
  • DAS (ディーエーエス): 2歳6ヶ月~17歳11ヶ月を対象とした個別式発達検査/知能検査。全体的な認知能力だけでなく、特定の学習困難さとの関連が指摘される因子(語彙、短期記憶、知覚)などを評価できます。
  • WPPSI-IV (ウィプシィ): 2歳6ヶ月~7歳3ヶ月を対象としたウェクスラー式の幼児用知能検査。WISCと同様に、言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリー、処理速度といった指標が算出されます。WISCに移行する前の幼児期の認知発達を評価するのに用いられます。

これらの検査も、WISCと同様に専門家による実施と解釈が必要です。どの検査が適切かは、対象者の年齢、検査を受ける目的、そして検査を実施する専門家の判断によって決まります。

まとめ:WISC検査で自分らしい生き方を見つける

WISC検査は、お子さん(または大人自身)の知的な得意・苦手を多角的に理解するための強力なツールです。単にIQという一つの数字に還元されるものではなく、言語理解、視空間認知、推理力、ワーキングメモリー、処理速度といった様々な認知能力のバランスや特性を詳細に分析することができます。

この検査結果は、学習面や日常生活における困りごとの背景にある認知特性を探る手がかりとなり、お子さん一人ひとりに合った効果的な学習方法や具体的な支援方法、環境調整を検討する上で非常に重要な情報を提供します。

また、検査結果を通じて自分自身の特性を客観的に理解することは、自己肯定感を育み、苦手さがあることを受け入れ、得意な部分を活かしていくための出発点となります。特に大人になってからWAIS検査を受けることは、これまでの人生で感じてきた困難の理由を理解し、自分に合った働き方や生き方を見つけるための大きな助けとなることがあります。

WISC検査は、病院やクリニック、発達支援センター、児童相談所などで受けることができますが、費用や手続き、保険適用の有無は施設によって異なりますので、事前にしっかりと確認することが大切です。

WISC検査の結果は、あくまであなたの(またはお子さんの)認知特性の「地図」です。その地図を手に、ご自身の強みを最大限に活かし、苦手な部分を補うための戦略を立て、より自分らしい、生きやすい道を見つけていくためのツールとして活用してください。もし検査結果について疑問や不安があれば、必ず検査を実施した専門家にご相談ください。

免責事項: 本記事で提供される情報は、一般的な知識の普及を目的としたものであり、個別の状況に対する医学的アドバイスや診断を代替するものではありません。WISC検査の受検、検査結果の解釈、およびそれに基づく支援計画の策定については、必ず専門家(医師、臨床心理士、公認心理師など)にご相談ください。また、検査結果は絶対的なものではなく、参考情報の一つとして捉えることが重要です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次