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PMDD とは?つらい精神症状の正体とPMSとの違い、診断・治療法

月経周期には多くの女性が心身の変化を感じますが、その中でも特に月経前の期間に、日常生活に支障をきたすほど重い精神的・身体的な不調が現れることがあります。こうした症状は「月経前症候群(PMS)」として広く知られていますが、さらに精神的な症状が強く現れ、日常生活や人間関係に深刻な影響を及ぼすものを「月経前不快気分障害(PMDD)」と呼びます。

PMDDは単なる「生理前の不調」として片付けられがちなため、ご自身や周囲の人が病気だと気づかないことも少なくありません。しかし、PMDDは正式な疾患として認められており、適切な診断と治療によって症状の改善が期待できます。この記事では、PMDDとは具体的にどのような状態なのか、PMSとの違い、主な症状、原因、診断方法、そして具体的な対処法や治療について詳しく解説します。もし月経前に強い不調に悩まされているなら、ぜひこの記事を読み進め、ご自身の状態を理解し、適切なケアを見つけるための参考にしてください。

目次

PMDD(月経前不快気分障害)とは?PMSとの違いを解説

PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder)は、日本語では「月経前不快気分障害」と呼ばれ、その名の通り、月経前の一時期に著しい気分の落ち込みやイライラ、不安などの精神的な症状が強く現れる疾患です。これは、より一般的な月経前症候群(PMS)とは区別される、精神症状が主体となるより重い病態として位置づけられています。

多くの女性が生理前に何らかの不調を感じることがありますが、その不調が感情のコントロールを困難にしたり、仕事や学業、対人関係に深刻な影響を及ぼしたりする場合は、単なるPMSではなくPMDDである可能性があります。PMDDは、月経が始まると症状が急速に軽快するか消失するという明確な周期性を持つことが特徴です。

月経前症候群(PMS)について

月経前症候群(PMS:Premenstrual Syndrome)は、月経前、特に排卵後から月経開始までの黄体期に現れる、様々な精神的・身体的な不調の総称です。日本産科婦人科学会では、PMSを「月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するもの」と定義しています。

PMSの症状は非常に多岐にわたります。精神的な症状としては、イライラ、怒りっぽくなる、気分の変動、憂うつ、不安、集中力の低下などが挙げられます。身体的な症状としては、乳房の張りや痛み、腹部膨満感、下腹部痛、頭痛、腰痛、むくみ、肌荒れ、眠気や不眠、倦怠感などがあります。これらの症状の程度は個人差が大きく、日常生活に多少影響が出る程度の軽いものから、つらいと感じるものまで様々です。

PMSの正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、排卵後に分泌される女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の急激な変動が、脳内の神経伝達物質(特にセロトニン)の働きに影響を与えることが関連していると考えられています。

PMDDとPMSの根本的な違い

PMDDとPMSは、月経周期に関連して症状が現れるという点では共通していますが、その症状の種類、重症度、そして診断基準において明確な違いがあります。簡単に言えば、PMDDはPMSの重症型であり、特に精神的な症状がより顕著で、日常生活への支障が大きい点が特徴です。

比較項目 月経前症候群(PMS) 月経前不快気分障害(PMDD)
主な症状の種類 精神症状と身体症状の両方、または身体症状が主となることが多い 精神症状が中心で、身体症状も伴う場合がある
精神症状の程度 比較的軽度〜中等度 著しく重度で、日常生活や人間関係に深刻な影響を与える
症状の例(精神) イライラ、気分の変動、軽度の落ち込み、不安など 抑うつ、絶望感、著しい不安、パニック、強い怒り・イライラ、集中力・関心の著しい低下、倦怠感など
症状の例(身体) 乳房痛、腹部膨満感、頭痛、むくみ、倦怠感など PMSと同様の身体症状を伴う場合があるが、精神症状のインパクトが大きい
診断基準 明確な国際的な診断基準はない(一般的な定義に基づく) DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)に明確な診断基準が定められている
有病率 生殖年齢女性の約50〜80%が経験するとされる 生殖年齢女性の約2〜5%とされる
治療の重点 症状緩和のための対症療法、生活習慣改善などが中心 抗うつ薬(SSRI)や低用量ピルなど、薬物療法が第一選択となることが多い

PMDDの診断においては、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)という国際的な診断基準が用いられます。この基準では、月経前の期間に特定の精神症状(例:著しい抑うつ、不安、イライラ、感情の不安定さなど)が5つ以上存在し、それによって著しい苦痛や日常生活・社会生活における機能の低下が生じていることが条件となります。また、これらの症状が他の疾患(うつ病、不安障害など)によるものではないことを鑑別することも重要です。

つまり、PMDDはPMSの範疇を超え、精神的な苦痛が特に際立っており、日常生活への影響が大きい病態として、医学的に区別されています。適切な診断と治療を受けるためには、自身の症状がPMSの範囲を超えていると感じた場合に、専門の医療機関に相談することが非常に重要です。

PMDDの主な症状

PMDDの症状は、月経前の特定の期間(通常は月経開始の7〜10日前から始まり、月経が始まって数日以内に軽快または消失)に限定して現れるという周期性が最大の特徴です。その症状は精神的なものが主体ですが、身体的な不調を伴うこともあります。PMDDの診断基準(DSM-5)では、様々な症状の中から特定の条件を満たす場合にPMDDと判断されます。

PMDDがひどい人の特徴となる精神的な症状

PMDDの症状は、PMSよりも格段に精神的な苦痛が強く、日常生活への影響が深刻です。特に以下のような精神症状が特徴的です。

気分の落ち込み、悲しさ、涙もろさ

PMDDの最も代表的な症状の一つが、深刻な気分の落ち込みや抑うつ感です。普段は前向きな人でも、月経前になると突然理由もなく悲しくなったり、涙が止まらなくなったりすることがあります。「自分なんてダメだ」「生きているのがつらい」といった強い自己否定感や絶望感に苛まれることも少なくありません。これは一過性のものではなく、その期間中は持続的に気分が沈んだ状態が続きます。

強い不安や緊張

コントロールできないほどの強い不安感や緊張感に襲われることもPMDDの特徴です。漠然とした不安に加えて、パニック発作のような症状(動悸、息苦しさ、めまいなど)を伴う場合もあります。常に心がざわついているような感覚や、落ち着かない感じが続き、リラックスすることが困難になります。些細な出来事に対しても過剰に心配したり、ネガティブに考えてしまったりします。

怒りやイライラ感

他者や自分自身に対して強い怒りやイライラを感じやすくなります。普段は穏やかな人でも、月経前になると些細なことで怒鳴ってしまったり、感情的に爆発してしまったりすることがあります。家族やパートナー、職場の同僚など、身近な人との関係が悪化する原因となることも少なくありません。この強い易刺激性は、PMDDの診断において特に注目される症状の一つです。

集中力の低下や無関心

普段は問題なくこなせる仕事や学業に集中できなくなったり、ミスが増えたりします。考えがまとまらず、物事を決められなくなることもあります。また、これまで楽しんでいた趣味や活動、人との交流などに対して関心を失い、何もする気が起きなくなることがあります。ひどい倦怠感や疲労感を伴い、横になっていたい、誰とも会いたくない、といった状態になることもあります。

これらの精神症状は、月経前の特定の期間に突然現れ、月経が始まると魔法のように消えるか、著しく軽減するという明確なパターンを示します。この周期性が、PMDDとうつ病など他の精神疾患を区別する上で非常に重要となります。

PMDDに伴う身体的な症状

PMDDは精神症状が主体ですが、PMSと同様の身体的な症状を伴うこともあります。これらの身体症状は、PMDDの診断基準上は必須ではありませんが、多くの人が経験します。

  • 乳房の張りや痛み: 月経前にバストが張って痛む、触ると痛いといった症状。
  • 腹部膨満感、下腹部痛: お腹が張る、ガスがたまる、生理痛のような鈍痛を感じる。
  • 頭痛: 片頭痛や緊張型頭痛など、様々なタイプの頭痛が現れる。
  • むくみ: 顔や手足がむくみやすくなる。体重が増加することもある。
  • 倦怠感、疲労感: 何をしていてもだるく、疲れやすい。寝ても疲れが取れない感じ。
  • 睡眠の変化: 眠気を感じやすくなる人もいれば、寝つきが悪くなったり夜中に目が覚めてしまう人もいる。
  • 食欲の変化: 食欲が増進して過食になったり、逆に食欲がなくなったりする。特定のものが無性に食べたくなる(甘いものなど)。
  • 関節痛や筋肉痛: 体のあちこちが痛むことがある。

これらの身体症状はPMSと共通していますが、PMDDの場合は精神症状のインパクトが大きいため、身体症状は「おまけ」のように感じられることもあります。しかし、これらの身体症状もまた、月経周期と関連して現れ、月経開始とともに軽快するという特徴を持ちます。

PMDDの症状は、その重さゆえに「性格の問題」や「気のせい」として見過ごされがちです。しかし、これは脳機能の一時的な変化による病気であり、意志の力でどうにかできるものではありません。もし月経前にこうしたつらい精神症状と身体症状が繰り返し現れ、日常生活に支障をきたしている場合は、PMDDの可能性を考え、専門家への相談を検討するべきです。

PMDDの原因と、なりやすい人

PMDDの正確な原因はまだ特定されていませんが、現在の研究では、月経周期に伴う女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の急激な変動が、脳内の神経伝達物質の働きに影響を与えることが最も有力な説とされています。PMDDは、ホルモンの量自体が異常なのではなく、むしろホルモンの変動に対する脳の感受性が過敏であるために起こると考えられています。

ホルモンバランスの変化と脳内物質

特に重要なのは、排卵後に分泌が増加し、月経前に急激に低下するプロゲステロンとその代謝物であるアロプレグナノロンです。アロプレグナノロンは、脳内でリラックス効果や抗不安作用を持つ神経伝達物質GABA(γ-アミノ酪酸)の受容体に作用することが知られています。PMDDの人は、このアロプレグナノロンの濃度変化に対して脳のGABA受容体の感受性が異常に高い、あるいは低いなど、応答に違いがある可能性が指摘されています。

また、幸福感や精神的な安定に関わる神経伝達物質であるセロトニンも深く関わっています。女性ホルモンは脳内のセロトニン合成や代謝に影響を与えることが分かっており、黄体期のホルモン変動によってセロトニンの量が一時的に低下したり、セロトニン受容体の機能が変化したりすることが、PMDDの精神症状(抑うつ、不安、イライラなど)を引き起こす一因と考えられています。

つまり、PMDDはホルモン異常というよりは、ホルモンの周期的な変動に対する脳の神経伝達物質系の応答異常であると考えられています。このため、生理前にホルモンが変動しない、妊娠中や閉経後にはPMDDの症状は現れません。

PMDDになりやすい人の特徴

すべての女性がPMDDになるわけではありません。PMDDになりやすい人にはいくつかの特徴やリスク要因が挙げられます。

  • 遺伝的要因: 家族の中にPMDDや重いPMS、うつ病、不安障害などの精神疾患を持つ人がいる場合、自身もPMDDを発症しやすい傾向があります。
  • 過去の精神疾患の既往歴: うつ病や不安障害、パニック障害などの精神疾患を過去に経験したことがある人、あるいは現在これらの疾患を併発している人は、PMDDを発症しやすいと考えられています。
  • ストレス: 日常生活での強いストレスや、過去のトラウマ体験(特に性的虐待など)は、PMDDの発症リスクを高める可能性があります。ストレスによってホルモンバランスや脳内神経伝達物質の調節機能が影響を受けるためと考えられます。
  • 性格特性: 完璧主義、神経質、感情の起伏が大きいといった性格特性を持つ人がPMDDになりやすいという報告もありますが、これは症状そのものなのか、それとも体質的なものなのかは区別が難しい点です。
  • 喫煙: 喫煙者の方がPMDDになりやすいという研究結果があります。
  • 肥満: BMIが高い女性の方がPMDDになりやすいという報告もあります。
  • 出産経験: 出産経験がある女性の方がPMDDになりやすいという意見もありますが、これには反論もあり、明確な関連性はまだ明らかではありません。

これらの要因が単独でPMDDを引き起こすというよりは、複数の要因が組み合わさることで発症リスクが高まると考えられます。特に、ホルモン変動に対する脳の感受性の違いに、遺伝やストレス、他の精神疾患の素因などが加わることが、PMDDの発症に関与していると言えるでしょう。

ご自身がこれらのリスク要因に当てはまるかどうかを知ることは、PMDDの可能性に気づき、早期に専門家へ相談するきっかけになるかもしれません。ただし、これらの要因がない場合でもPMDDを発症することはあります。

PMDDの診断方法

PMDDは、その症状が精神疾患と似ているため、正確な診断が非常に重要です。自己判断やインターネット上の情報だけで決めつけず、必ず専門の医療機関を受診するようにしましょう。PMDDの診断は、主に症状の周期性、症状の種類と重症度、そして他の疾患との鑑別に基づいて行われます。

医療機関での診断基準

PMDDの診断は、精神科医や心療内科医、あるいは婦人科医によって行われます。診断には、問診が中心となり、以下の要素が重視されます。

  1. 症状の周期性: 症状が月経前の特定の期間(通常、月経開始前1〜2週間)に現れ、月経開始後数日以内に改善または消失し、月経後の期間(卵胞期)には症状がない期間が少なくとも1週間続くという明確なパターンがあるかどうかが最も重要です。
  2. 症状の種類と数: DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)の診断基準に基づき、以下の症状の中から5つ以上が存在するかどうかが評価されます。
    • 著しい感情の不安定さ(例:突然悲しくなったり、涙もろくなったり、拒絶に対して敏感になったりする)
    • 著しい易刺激性、怒り、または対人関係での口論の増加
    • 著しい抑うつ気分、絶望感、または自己卑下の考え
    • 著しい不安、緊張、または「高ぶっている」「いらだっている」という感覚
    • 普段の活動への関心の低下(例:仕事、学校、友人、趣味)
    • 集中困難
    • 倦怠感、易疲労性、または気力がない
    • 食欲の著しい変化、過食、または特定の食べ物への欲求
    • 過眠または不眠
    • 圧倒される感覚、または制御不能であるという感覚
    • 乳房の圧痛または腫脹、腹部膨満感、頭痛、関節痛または筋肉痛、体重増加などの身体症状
  3. 症状の重症度: 上記の症状が、著しい苦痛を引き起こすか、または仕事、学校、通常の社会活動や対人関係に著しい支障をきたしているかどうかが評価されます。
  4. 他の疾患との鑑別: PMDDと症状が似ている他の疾患(うつ病、不安障害、双極性障害、パーソナリティ障害など)によるものではないことを確認します。精神科医や心療内科医は、こうした鑑別診断を得意としています。

診断を確定するために、医師は患者さんに少なくとも2回の月経周期にわたって症状を記録してもらうよう求めることがよくあります。これは「症状記録表」や「月経ダイアリー」と呼ばれ、いつ、どのような症状が、どのくらいの強さで現れたかを記録することで、症状と月経周期との関連性を客観的に把握するために非常に役立ちます。基礎体温を記録することも、排卵の時期を特定する上で参考になります。

PMDDのセルフチェック

正式な診断は医師が行いますが、ご自身の状態がPMDDの可能性があるかどうかを知るためのセルフチェックは有効です。以下の項目に当てはまるか、そしてその症状が月経周期と関連しているかを観察してみましょう。

PMDDセルフチェック項目(目安)

以下の症状のうち、月経前の特定の期間(通常、月経開始の1〜2週間前)に現れ、月経が始まって数日以内に消えるものが5つ以上あり、それが日常生活に支障をきたしていると感じますか?

  • 理由もなく悲しくなったり、涙が止まらなくなったりする
  • 将来に希望が持てない、絶望的な気持ちになる
  • 不安や緊張が強く、落ち着かない感じが続く
  • パニック発作のような症状(動悸、息苦しさなど)が出ることがある
  • 些細なことで怒ったり、イライラしたり、感情的に爆発してしまう
  • 家族やパートナー、友人など、身近な人にひどく当たってしまうことがある
  • 以前は楽しかったことに関心がなくなる
  • 人との交流が面倒に感じる、孤立したい気持ちになる
  • 仕事や勉強に集中できない、ミスが増える
  • 体がだるく、疲れやすい、気力がない
  • 食欲が異常に増えたり、逆に全くなくなったりする
  • 甘いものや特定のものが無性に食べたくなる
  • 寝つきが悪くなる、夜中に何度も目が覚める、または眠りすぎる
  • 自分が自分でないように感じる、コントロールできない感覚になる
  • 乳房が張って痛い、お腹が張る、体がむくむ、頭痛がするなど

月経サイクルとの関連性の確認

上記の症状が、月経が始まると嘘のように消える、または著しく軽くなるというパターンが、過去数ヶ月にわたって繰り返されていますか?

もし、上記のチェック項目に多く当てはまり、かつ月経周期との明確な関連性が見られる場合は、PMDDの可能性が高いと考えられます。このセルフチェックはあくまで目安であり、診断ではありません。正確な診断と適切なアドバイスを得るために、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

症状記録表をつけることは、セルフチェックをより客観的に行う上でも、医師に状況を正確に伝える上でも非常に有効です。簡単なもので構わないので、症状が現れた日、症状の種類と強さ(例:1〜5段階で評価)、月経が始まった日、症状が消えた日などを記録してみましょう。

PMDDの対処法と治療

PMDDの症状はつらいものですが、適切な対処法や治療によって症状を和らげ、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。治療法は、症状の重さや個人の状況によって異なりますが、大きく分けて医療機関での治療と、ご自身でできるセルフケアがあります。

医療機関での治療法(薬物療法など)

PMDDの治療において、薬物療法は症状の改善に高い効果が期待できる第一選択肢の一つです。特に精神症状が重い場合には、薬によるアプローチが有効なことが多いです。

  • SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬): PMDDの最も効果的な治療薬として広く推奨されています。SSRIは脳内のセロトニンの働きを調整することで、抑うつ、不安、イライラといった精神症状を和らげます。通常、月経前の症状が現れる期間だけ服用する(間欠的服用)ことも、周期に関わらず毎日服用する(連続的服用)ことも可能ですが、間欠的服用でも効果が期待できることがPMDDの特徴です。SSRIは服用開始から効果が現れるまでに数週間かかることがありますが、PMDDに対しては比較的早く効果が出ると言われています。副作用として吐き気、頭痛、性機能障害などがありますが、多くは一時的なものです。
  • 低用量ピル(LEP/OC): 排卵を抑制することでホルモン変動を抑え、PMDDの症状を軽減する効果が期待できます。特に、ドロスピレノンを含む特定の種類の低用量ピルがPMDDの治療薬として承認されている国もあります。低用量ピルは身体症状(腹部膨満感、乳房痛など)や精神症状の両方に効果がある場合があります。ただし、血栓症のリスクなど副作用もあるため、医師とよく相談して使用を検討します。
  • GnRHアゴニスト: 月経周期を一時的に止めることで、偽閉経状態を作り出し、ホルモン変動を完全に抑える治療法です。重症のPMDDで他の治療法が効果がない場合に検討されますが、更年期のような副作用(ほてり、骨密度低下など)が出やすいため、補充療法(カウチングバック療法)を併用することが一般的です。原則として一時的な治療法であり、長期的な使用は慎重に判断されます。
  • 精神療法: 薬物療法と並行して、あるいは薬物療法が難しい場合に有効なのが精神療法です。特に認知行動療法(CBT)は、月経前のネガティブな思考パターンや感情の反応を認識し、より建設的な対処法を学ぶのに役立ちます。ストレス管理の方法やリラクゼーション技法も症状軽減に貢献します。

どの治療法を選択するかは、症状のタイプ、重症度、他の疾患の有無、患者さんの希望などを総合的に考慮して医師が決定します。まずは婦人科、精神科、または心療内科を受診し、専門家のアドバイスを受けることが重要です。

ご自身でできるセルフケア・生活習慣の改善

医療機関での治療と並行して、あるいは症状が比較的軽い場合には、ご自身でできるセルフケアや生活習慣の改善もPMDDの症状緩和に有効です。

  • 食事: バランスの取れた食事を心がけましょう。特に月経前は、カフェイン、アルコール、塩分、糖分の摂取を控えることが推奨されます。これらは症状を悪化させる可能性があるためです。マグネシウム、カルシウム、ビタミンB6などの栄養素がPMDD症状の緩和に役立つという報告もあり、サプリメントとして補給することも検討できますが、効果には個人差があり、医師や薬剤師に相談してから利用しましょう。
  • 運動: 適度な有酸素運動は、ストレス軽減や気分の安定に効果があることが知られています。ウォーキング、ジョギング、ヨガ、ストレッチなど、ご自身が続けやすい運動を習慣にしましょう。特に月経前のつらい時期でも、軽い運動でも行うことで気分転換になります。
  • 睡眠: 十分な睡眠時間を確保し、規則正しい睡眠リズムを維持することが重要です。寝る前にカフェインやアルコールを避け、リラックスできる環境を整えましょう。
  • ストレス管理: 月経前はストレスに対して特に敏感になる時期です。自分なりのストレス解消法を見つけ、実践しましょう。リラクゼーション(深呼吸、瞑想、アロマテラピー、ぬるめのお風呂)、趣味に没頭する時間を作る、信頼できる人に話を聞いてもらうなど、様々な方法があります。
  • 症状記録: 前述した症状記録表をつけることは、自分の症状パターンを理解し、症状が現れる時期を予測するのに役立ちます。これにより、症状が重くなる前に休息を取る、予定を調整するなど、前もって対策を立てることができます。
  • トリガーの特定: どのような状況や出来事が症状を悪化させるトリガーになるかを特定することも有効です。例えば、寝不足、特定の食べ物、人間関係のトラブルなどがトリガーとなることがあります。トリガーが分かれば、それを避ける、あるいは事前に準備をするなどの対策が取れます。

これらのセルフケアは、PMDDの症状を完全に無くすものではありませんが、症状の程度を軽減したり、つらい時期を乗り越えるための助けになったりします。無理のない範囲でできることから生活に取り入れてみましょう。

周囲の理解とサポート(彼氏、家族など)

PMDDは、患者さん本人だけでなく、周囲の人々(パートナー、家族、友人、職場の同僚など)との関係にも影響を及ぼしやすい疾患です。月経前の精神的な症状(特にイライラや怒り)によって、大切な人を傷つけてしまったり、誤解を生んでしまったりすることがあります。

周囲の人にPMDDを理解してもらうことは、患者さんにとって大きな支えとなります。PMDDは「性格が悪いから」「わがまま」などではなく、ホルモン変動が脳に影響を与えることで起こる病気であることを理解してもらいましょう。症状が出やすい時期を事前に伝えておく、症状が重い時は距離を置く、そっとしておいてほしいと伝えるなど、具体的なコミュニケーションをとることも有効です。

パートナーや家族と一緒にPMDDについて学び、どのようにサポートできるかを話し合う時間を持つことも大切です。症状記録表を共有し、つらい時期を一緒に乗り越える方法を考えることもできます。患者さん本人が自分を責めすぎないように、病気であることを受け入れ、支えてもらうことが回復への重要な一歩となります。

ただし、すべての人がPMDDをすぐに理解できるとは限りません。もし身近な人からの理解が得られない場合は、一人で抱え込まず、医療機関の相談窓口や同じ悩みを抱える人のコミュニティなどを頼ることも検討しましょう。

PMDDと関連する疾患(うつ病、精神病など)の違い

PMDDの精神症状は、うつ病や不安障害など他の精神疾患の症状と似ているため、混同されやすいことがあります。しかし、診断や治療法が異なるため、正確な鑑別診断が重要です。また、PMDDは「精神病」に分類されるのかという疑問もよく聞かれます。

PMDDとうつ病の違い

PMDDとうつ病の最大の違いは、症状が現れる時期に明確な周期性があるかどうかです。

比較項目 月経前不快気分障害(PMDD) うつ病(大うつ病性障害)
症状の周期性 月経前の特定の期間(黄体期)に限定して症状が現れる。月経開始と共に軽快・消失する。 月経周期に関わらず、持続的に症状が現れる。
症状の持続期間 数日から2週間程度(黄体期) 2週間以上(診断基準による)
主な原因 ホルモン変動に対する脳の感受性の異常が有力視されている 脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)の機能障害、心理社会的要因などが複雑に絡み合う
治療薬 SSRI(特に間欠的服用)、低用量ピルなどが有効 SSRIを含む様々な抗うつ薬、精神療法などが有効

PMDDの症状は、月経が始まると急速に改善するのが特徴です。一方、うつ病は月経周期に関わらず、抑うつ気分や興味・喜びの喪失といった症状が持続的に現れます。PMDDの症状が現れない卵胞期には、気分が安定しているか、むしろ健康な状態に戻るのが一般的です。

ただし、PMDDとうつ病を併発している人もいます。この場合、月経前の期間にうつ病の症状がさらに悪化するというパターンが見られます。どちらの疾患も正確な診断には専門医による詳細な問診が必要となります。

PMDDは精神病に分類されるのか?

精神疾患は、いくつかのカテゴリーに分類されます。PMDDは、DSM-5では「抑うつ障害群」の中に含まれる疾患であり、気分障害の一種として位置づけられています。

「精神病」という言葉は、医学的には現実検討能力が著しく障害されている状態、例えば統合失調症のように幻覚や妄想が主症状である疾患群を指すことが多いです。PMDDは、気分の調節が困難になる疾患であり、通常は現実検討能力が失われることはありません。

したがって、PMDDは一般的に「精神病」には分類されません。気分障害としてのPMDDは、うつ病や双極性障害と同じカテゴリーに属します。

ただし、PMDDの症状が非常に重い場合、一時的に現実検討能力が低下したり、衝動的な行動をとってしまったりする可能性もゼロではありません。しかし、これはあくまで例外的な場合であり、PMDDの本質は気分障害です。

他の関連疾患としては、不安障害(全般性不安障害、パニック障害など)とも症状が似ていることがありますが、PMDDは症状の周期性によって鑑別されます。また、注意欠如・多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム障害(ASD)などの発達障害を持つ女性も、月経前の不調を強く感じやすいという報告があり、これらの特性がPMDDの症状を修飾したり、診断を複雑にしたりする場合があります。

このように、PMDDと他の精神疾患との鑑別は専門知識を要するため、自己判断は禁物です。症状に悩んでいる場合は、必ず精神科医や心療内科医に相談し、正確な診断を受けるようにしましょう。

PMDDと日常生活への影響(仕事、障害者手帳など)

PMDDの症状が重い場合、学業や仕事、家庭生活、人間関係といった日常生活の様々な側面に深刻な影響を及ぼします。特に月経前のつらい期間は、普段当たり前にできていたことが困難になり、大きな苦痛を感じることが少なくありません。

PMDDで仕事に行けない場合

PMDDの症状が重いと、集中力の著しい低下、倦怠感、気分の落ち込み、イライラなどから、仕事のパフォーマンスが著しく低下したり、出勤すること自体が困難になったりすることがあります。特に人と接する機会が多い仕事や、高い集中力や判断力が求められる仕事では、症状の影響が顕著に出やすいでしょう。

PMDDが原因で仕事に支障が出ている場合、以下のような対処法が考えられます。

  • 上司や同僚への相談: 可能であれば、信頼できる上司や同僚に症状について相談してみましょう。病気であることを理解してもらうことで、業務の調整やサポートが得られる場合があります。ただし、プライベートな情報であるため、相談するかどうかは慎重に判断が必要です。
  • 人事担当者や産業医への相談: 会社に産業医がいる場合は、産業医に相談するのが有効です。病気に関する専門知識を持つため、適切なアドバイスや会社との間に入っての調整が期待できます。人事担当者に相談することで、休職や時短勤務、フレックスタイム制、テレワークなど、働き方の変更について検討してもらえる可能性があります。
  • 医師の診断書の提出: PMDDと診断され、仕事に支障が出ていることを医師に伝えると、診断書を作成してもらえます。この診断書を会社に提出することで、病気であることを証明し、症状に応じた配慮や働き方の変更を相談しやすくなります。
  • 休職: 症状が非常に重く、仕事を続けることが困難な場合は、医師と相談の上、休職することも選択肢の一つです。休職期間中に治療に専念することで、症状の改善を目指します。
  • 症状が出やすい時期の働き方調整: 症状記録表などを活用し、自分の症状パターンを把握します。症状が特に重くなる時期が分かれば、その期間は重要な会議やタスクを避ける、有給休暇を取得する、テレワークを利用するなど、事前に働き方を調整する工夫ができます。

PMDDは周期的な疾患であり、症状がない期間もあります。つらい時期だけ適切なサポートや働き方の工夫を取り入れることで、仕事を継続することが可能になる場合が多いです。一人で抱え込まず、会社の制度や医療機関を頼りましょう。

PMDDで障害者手帳は取得できるのか?

PMDDの症状は非常に重く、日常生活や社会生活に著しい支障をきたすことがありますが、PMDD単体で精神障害者保健福祉手帳(いわゆる障害者手帳)を取得することは、困難な場合が多いです。

障害者手帳は、精神疾患によって長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある場合に交付されます。PMDDは、症状が現れる期間が月経前の限られた期間であるため、「長期にわたり」という基準を満たさないと判断されることが一般的です。

しかし、PMDDの症状が非常に重く、年間の大半の期間にわたって社会生活機能に著しい制限がある場合や、PMDDと並行してうつ病や双極性障害などの他の精神疾患を併発しており、そちらの診断名で申請する場合など、個別のケースによっては障害者手帳の取得が可能となる場合もあります。

障害者手帳の認定基準は、精神疾患の種類だけでなく、日常生活や社会生活への具体的な支障の程度によって判断されます。診断名がPMDDであっても、例えば以下の状態が長期間続いていると医師が判断し、診断書に記載した場合、審査の結果によっては認定される可能性があります。

  • 日常生活能力の程度が著しく低下している(食事、清潔保持、金銭管理、対人関係などが困難)
  • 仕事や学業への参加が著しく困難である
  • 引きこもり傾向が強く、社会的な交流がほとんどできない

障害者手帳の申請には、医師による診断書が必要です。まずは精神科医や心療内科医に相談し、ご自身の症状や日常生活への影響について詳しく伝え、手帳の申請が可能かどうかを相談してみましょう。手帳の取得は、様々な福祉サービスや支援制度を利用するための入り口となります。

PMDDの症状は目に見えにくく、周囲に理解されにくいことも多いですが、その苦痛は深刻です。仕事や生活に大きな影響が出ている場合は、遠慮せずに医療機関や行政の福祉窓口に相談し、利用できる支援がないか情報を集めることが大切です。

PMDDについてよくある質問

Q1: PMDDはどれくらいの女性が経験しますか?

PMDDは、生殖年齢の女性の約2%〜5%が経験するとされています。これはPMSを経験する女性(約50%〜80%)に比べると少ないですが、症状が重いため、日常生活への影響は深刻になりやすいです。

Q2: PMDDは年齢に関係なく発症しますか?

PMDDは月経周期に関連する疾患なので、初潮を迎えてから閉経するまでの生殖年齢の期間に発症する可能性があります。特定の年齢で発症しやすいという明確な傾向はありませんが、20代後半から30代にかけて症状が顕著になる人が多いと言われています。閉経後は月経がなくなるため、通常PMDDの症状は現れません。

Q3: 妊娠するとPMDDの症状はなくなりますか?

はい、妊娠中は排卵が止まり、ホルモンバランスが大きく変化するため、PMDDの症状は通常現れません。出産後、月経が再開すると再び症状が現れる可能性があります。

Q4: PMDDは自然に治ることがありますか?

PMDDは症状の強さや周期性が変動することがあり、一時的に症状が軽くなることもあります。しかし、体質的な要因やホルモン変動に対する感受性が関係しているため、完全に自然治癒することは少ないと考えられます。適切な診断と治療、セルフケアによって症状をコントロールし、生活への影響を減らすことが重要です。閉経後は月経がなくなるため、PMDDの症状は自然に消失します。

Q5: PMDDの人は全員、薬を飲まなければいけませんか?

いいえ、薬物療法が有効な治療法の一つですが、すべてのPMDDの人が必ず薬を飲まなければならないわけではありません。症状の重さや、ご自身の希望、セルフケアの効果などを考慮して、治療法は医師と相談しながら決めます。症状が比較的軽い場合は、生活習慣の改善やセルフケアだけでも症状が十分に緩和されることもあります。

Q6: PMDDは遺伝しますか?

PMDDには遺伝的な要因が関与している可能性が指摘されています。家族の中にPMDDや重いPMS、うつ病などの精神疾患を持つ人がいる場合、自身もPMDDを発症しやすい傾向があります。しかし、遺伝だけで決まるわけではなく、環境要因やストレスなども複雑に絡み合って発症すると考えられます。

Q7: PMDDと更年期障害は関係ありますか?

PMDDと更年期障害は、どちらも女性ホルモンの変動に関連して心身の不調が現れるという点で共通点があります。更年期障害は閉経前後の女性ホルモン(特にエストロゲン)の急激な減少によって起こります。PMDDは生殖年齢のホルモン周期変動への過敏な反応です。直接的な関係はありませんが、PMDDだった人が更年期に差しかかった際に、ホルモン変動に再び影響を受けて気分や体調の不安定さを感じやすいという可能性は考えられます。更年期障害の症状に悩む場合も、専門の医療機関に相談することが大切です。

Q8: PMDDのつらい時期をパートナーにどう伝えたら良いですか?

PMDDは自分だけでなく周囲にも影響が出やすい疾患です。パートナーに伝える際は、病気であることを calmly に伝えましょう。「性格やわがままではなく、ホルモン変動が原因で、自分でもコントロールが難しい時期がある」と説明します。症状が出やすい時期や、その時にどうしてほしいか(例:「そっとしておいてほしい」「少し距離を置きたい」「話を聞いてほしい」など)を具体的に伝えると、パートナーも対応しやすくなります。一緒にPMDDについて書かれた記事や書籍を読んだり、医師の診察に同行してもらったりすることも、理解を深める上で有効です。

Q9: 婦人科と精神科(心療内科)どちらを受診すれば良いですか?

PMDDは婦人科的な問題と精神的な問題の両側面を持つため、どちらの科でも診療が可能です。
* 婦人科: 月経周期の管理やホルモン療法(低用量ピルなど)によるアプローチが得意です。身体症状がメインで、ホルモンバランスの調整に重点を置きたい場合に向いています。
* 精神科または心療内科: 精神症状(抑うつ、不安、イライラなど)がメインで、精神的なつらさが大きい場合や、うつ病など他の精神疾患との鑑別が必要な場合に向いています。SSRIなどの薬物療法や精神療法によるアプローチが得意です。
どちらの科を受診しても、必要に応じて他の科へ紹介してもらえることが多いです。まずはご自身の症状に合わせて、受診しやすい方を選んで良いでしょう。PMDDの診断・治療経験が豊富な医師を選ぶことが望ましいです。

Q10: 症状記録表はどのように書けば良いですか?

特別な形式は必要ありません。簡単なカレンダーやノート、スマートフォンのアプリなどを使います。毎日、その日の気分や体調を記録します。

  • 記録する項目:
    * 日付
    * 月経周期の何日目か(月経開始日を1日目とする)
    * 月経の有無
    * 精神症状(例:イライラ、落ち込み、不安、集中力)の種類と強さ(例:なし、軽い、中程度、重い、非常に重いなど5段階評価)
    * 身体症状(例:頭痛、むくみ、乳房痛、倦怠感、腹痛)の種類と強さ
    * 睡眠時間や質
    * 食事(特に過食や特定の食べ物への欲求があったか)
    * その他(例:何か特別な出来事があったか、ストレス要因、飲酒など)
  • 記録期間: 少なくとも2ヶ月間は継続して記録しましょう。これにより、症状と月経周期との関連性が明確に見えてきます。
  • 活用方法: 記録した内容は、医療機関を受診する際に医師に提示しましょう。診断や治療方針を決める上で非常に重要な情報となります。また、ご自身でも症状のパターンを把握し、対策を立てるのに役立ちます。

【まとめ】PMDDは一人で悩まず、専門家への相談が重要です

PMDD(月経前不快気分障害)は、単なる生理前の不調や性格の問題ではなく、月経前のホルモン変動が脳機能に影響を及ぼすことで引き起こされる正式な疾患です。著しい抑うつや不安、イライラといった精神症状が月経前の特定の期間に繰り返し現れ、仕事や学業、人間関係を含む日常生活に深刻な影響を及ぼします。

PMDDの症状はつらいものですが、原因は解明されつつあり、適切な診断と治療によって症状を大きく改善することが可能です。医療機関での薬物療法(SSRIや低用量ピルなど)や精神療法、そしてご自身で取り組めるセルフケアや生活習慣の改善を組み合わせることで、月経前の期間もより穏やかに過ごせるようになります。

もし、月経前の精神的なつらさが尋常ではなく、日常生活に大きな支障が出ていると感じるなら、決して一人で抱え込まず、専門の医療機関(婦人科、精神科、心療内科)を受診してください。医師に症状を詳しく伝え、適切な診断を受けることから始めましょう。症状記録表をつけることは、診断の助けになります。

また、PMDDは周囲の理解が非常に重要な疾患です。信頼できるパートナーや家族に病気について話し、サポートを求めることも大切です。PMDDについて正しく理解し、適切なケアを受けることで、必ず症状は改善します。希望を失わずに、専門家の力を借りながら、月経周期と上手に付き合っていく方法を見つけていきましょう。


免責事項:本記事は、PMDDに関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、医学的なアドバイスや診断、治療を意図するものではありません。個々の症状や健康状態については、必ず医師やその他の資格を持つ医療専門家の診断や指導を受けてください。本記事の情報に基づいて行った行動によって生じたいかなる結果についても、当方は一切の責任を負いかねます。

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